ベトナムでは勘定科目が決まっている  【ベトナム会計】

こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。

ベトナムにおける会計の特徴の一つに「具体的に定められた勘定コード」と言う点があげられます。

ベトナム会計法( Circular No. 200/2014/TT-BTCI)では、勘定科目名と勘定コード(3桁)と4桁が具体的に定められています。どの企業も同じ勘定科目名と勘定コード番号を使用しなければなりません。

 

具体的な勘定科目、その背景、理由とは?

 

ベトナム経理の歴史は長くはない。新しい。

 

ベトナムの会計制度は、ドイモイ政策(1986年)後の市場経済に対応した会計制度です。欧州の指導のもと、近代的な会計が導入された経緯があります。

外資企業は、国際会計基準などの一般に公正妥当と認められる会計基準を選択し、個別に財務省の許可を得て適用していました。つまり、複数の会計基準がありました。
しかし、税務上の公平性や企業の財務諸表の比較可能性を担保する必要が生じます。そのため、1995年にベトナム固有の会計制度が誕生しました。(Decision 1141/TC/QD/CDKT)

その後、ベトナムにおける会計制度の枠組みを定めるための2003年に会計法(03/2003/QH11)が制定されました。

前後して施行されたいくつかの財務省の決定によって、ベトナム会計基準(VAS)(2001年に制定され適用は2003年)が定められました。VAS は、IFRSをベースに作成されています。(しかし、この時点でIFRSの特徴、基本精神である原則主義は、反映されていないようです。)

その後も改定が続き、会計法はNo. 88/2015/QH13にまでアップデートされています。その下の政令(Decree)においては現在No. 174/2016/NĐ-CPが適用されています。

また実務的な通達、(法令であるが実務ガイド的なもの)2006 年 15/2006/QD-BTCが発行され、現在では、 Circular No. 200/2014/TT-BTC及びCircular No. 133/2016/TT-BTC が定められ適用されています。

法令や政令 ベトナム会計システム、通達ガイダンス) ベトナム会計基準(VAS)
Law on Accounting 03/2003/QH11

Law on Accounting 88/2015/QH13

No. 174/2016/NĐ-CP

1995年(Decision 1141/TC/QD/CDKT)

2006 年 15/2006/QD-BTC

Circular No. 200/2014/TT-BTC及びCircular No. 133/2016/TT-BTC

2001年Decision 149/2001/QD-BTC

 

つまり、本格的に会計法などの会計に関する規定が定められたのは、1995年ごろです。新しい分野と言えますよね。

日本では、会計基準である「企業会計原則」が、1949年に制定されました。そして、会計制度の改革である会計ビックバンも1998年以降に生じています。

そのため、ベトナムにおける会計の歴史はまだ始まったばかりと言えます。

経理の啓蒙的活動

上記のようにベトナムでは、会計、経理の歴史が浅いです。したがって、会計経理のレベルを国際的なレベルまでの水準まであげるために急速な成長が必要だと考えられます。

具体的には、それまで複式簿記の会計システムに接していなかった企業の経理担当者に、市場経済に適した会計制度を浸透させるという必要性がありました。

そのため、会計基準のような抽象的なものでなく、具体的な実務ガイダンスが必要となったと考えられます。

その中の一つとして、勘定コードも具体的に定める必要があったのでしょう。

比較可能性

体系化された同様の勘定コードを使用することにより、業種が異なっても比較がしやすくなります。

このような背景、理由があると考えられます。

 

ベトナム勘定コードの一覧

 

下記の通りです。

クリックすると拡大します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベトナム勘定の覚え方

 

体系的になっているとはいえ、勘定コードの数が多いです。ずっと経理に携わっている人ならともかく、そうではない人とっては、なじみがないと思います。そこで、効率的に覚える1つの方法を紹介したいと思います。

 

マインドマップで大きいところから見て行く。

以下のように全体像をとらえるとわかりやすいかもしれません。

 

 

 

 

 

 

実務上の勘定コード使い方

この勘定コードですが、大項目(3桁)と中項目(4桁)については、法律で定められています。

しかし、会社の種類は千差万別であり、取引にもそれぞれ特徴があります。したがって、法令上の科目では足りないことがあります。そのため、実務上は、サブコード(5桁)を作成して利用することがよくあります。法律上、サブコードについては決まりがありません。

あれ?気になるところ

詳細に見て行くと、「うーん」となるところがいくつかあります。(個人的な意見です。)

番号が体系的か?随時アップデート?

 

体系的に定められているとなっているが、勘定番号を見て行くと、気になるところがあります。

それは、番号が体系的ではないというこです。

例えば、負債の番号(上2桁)が21、22、24、25となっています。なぜ、23がないのか?不思議です。

また、番号のグルーピングが微妙なところがあります。例えば、棚卸資産系であれば、15~にグルーピングされています。

しかし、一方で24をみると、前払費用だったり、繰延税金資産だったり、長期貸付金が登場します。勘定の性質がことなります。すこし、整合性にかけるところがありますね。

これは、途中で一部、勘定科目が廃止されているからだと思います。

仮払VATが独立している

資産側を見て行くと、ACC133 Deductible VAT(相殺可能)と言う科目が独立しています。通常の間隔でいうと、仮払金という勘定科目の一部という気がします。

一方で、借受(アウトプットVAT)については、333と言う勘定コード(未払税金)を利用します。未払税金という科目にひとくくりにされていますね。

ベトナムでは、特に外資系で仮払税金の還付が論点になることがあります。その点を考慮してのことなのでしょうか?

やたら基金(補助金?)の勘定が多い。

所有者持分(純資産)のところを見ると、~Fundという勘定科目が多いことに気が付きます。

これは、補助金などの基金の制度がベトナムにたくさんあるのかなと推測します。

441 Capital construction investment funds

461 Non-business funds

466 Non-business funds used for fixed asset acquisitions

414 Investment and development fund

417 Enterprise reorganization assistance fund

418 Other equity funds

とても多いですよね。特徴的な一つです。

特有な勘定である911が含まれる。

日本には存在しない謎の勘定911が含まれます。

下記に詳細に記載していますので、参照して頂ければと思います。

ベトナムの損益計算書のなぞの勘定科目911とは?

2017.02.21

 

営業活動と営業外活動の区分

売上をみると515財務収益が含まれています。また、費用(ビジネスに関連した原価と費用)とを見ると635財務費用が含まれています。

これらは、本業に関して発生したものでありません。しかし、売上と費用に含まれています。ビジネスと言う概念が広いのかもしれません。

特別損益にあたる勘定がない。

勘定科目表を見ると、特別損益にあたる勘定がありません。

法人税等はどこ?

法人税等が81(その他費用)というその他費用に分類されています。

日本では、税引前当期純利益と税引後当期純利益とに分類されます。性質的に81(その他費用)のグループではないので違和感を覚えます。

表示区分については、IFRSの影響だと考えられます。IFRSも営業損益と特別損益の区分の概念がありません。

本日は、ベトナムにおける特徴の一つである勘定コードについて説明させて頂きました。

あなたの会社が、ベトナムの勘定コード表を理解することにより、会計処理が少しでも正確にできることを祈っています。

 

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