こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。

ベトナム最低賃金が上昇。10年前と比較すると約3倍?

ベトナム政府は12月7日、2018年の最低賃金に関する政令141号(141/2017/ND-CP)を発表しました。

改定後の月額最低賃金は、ハノイ市、ハイフォン市、ホーチミン市等の地域1で398万ドン(約2万円)に引き上げられるようです。上昇率の全地域平均は約6.5%となります。

地域別の詳細以下の通りです。

2018年の最低賃金(VND)
地域13,980,000
地域23,530,000
地域33,090,000
地域42,760,000

※第1地域はハノイ市、ハイフォン市、ホーチミン市などの都市部。第2地域はダナン市、フエ市など中部及び北部・南部の都市部郊外。第3地域はハナム省などの新興地方都市。第4地域は主に農村部

ワーカーさんを多く採用している製造業の方は、特に気になる指標ですよね。人件費の単価の上昇は、利益を圧迫する要因となります。10%以上の賃金上昇が続くと、非常に厳しい状況が待ち受けていると言っていいでしょう。

より競争力を確保するためには、生産性の向上など留意することがもりだくさんです。

このベトナムの最低賃金ですが、過去、数年間でどのように変化してきているのでしょうか?

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このように見て行くと約10年前から比較すると約3倍になっていることがわかります。

また、上昇率については2012年度に大きく上昇していますが、その後は徐々に落ち着いている事がわかります。(2012年なんかあったのかな。インフレ?)

高くなってきているとはいえ、日本円でいうと約2万です。先進国から比べるとまだ高くないというのが数値からわかります。実際、日系企業では最低賃金以上の金額を支払っているでしょう。

 

消費者物価指数(CPI)という観点から比較してみる。

 

次に違った視点、消費者物価指数と言う点から推移を見てみましょう。これは物価がどうだったかという視点です。

消費者物価指数とは、消費者が購入する個々の商品の価格変化を総合したものです。

同じ生活水準を維持するためにかかるコストの増減の水準がわかります。この指数は、ある時点の数値を100としてその時々の数値を比較計算して発表されるようですね。

たとえば、基準の年度の消費者物価指数が100として、次の年の120になったとします。

同じ生活レベルを維持することにかかるお金が20%増えたという意味です。いわゆる、インフレといわれる現象です。

このように消費者物価指数は、経済状態がインフレであるのか、デフレであるのかを見極める指標になります。つまり、プラスであればインフレで、マイナスであればデフレです。

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概ね、CPI上昇率と整合していることがわかりますね。CPIが上昇しているのに給与水準が同じであるとすればそれは実質、過去と比べて貧しい生活をしているということですから当然と言えば当然かもしれません。

この点、ちょっと気になるのが、最近のCPI上昇率と比べて最低賃金上昇率が下がってきているところです。これが意味するところは、実質的にベトナムの人の生活が苦しくなってきている可能性があるということです。(とはいっても、賃金上昇率の方がまだまだ高いですけどね。)

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ベトナム労務サポート支援について

ベトナムに進出している企業の経営者が今すべき事

 

以下の例を見てみましょう。

①30万円の仕事量を15万円の給与の人がする。

②5万円の仕事量を5万円の給与の人がする。

どちらが人件費が安いでしょうか?

 

 

前者ですよね。(ちょっと迷ってしまったかもしれませんね。①は利益でてますからそっちの方が結果的にいいというイメージでも大丈夫です。)

 

この違いの一つに“生産性”があげられます。新興国(ベトナムも含めて)の問題としてこの生産性の低さがあげられます。

よく日本の生産性は、先進国中最下位とか言われるようですが、新興国ではもっと深刻な問題だと感じています。

「人件費が高くないからまあいいか。」

このように感じる経営者の方もいらっしゃるでしょう。

しかし、この考え方ではいけないと思います。理由は2つあります。

それは、

1)人件費が高騰する一方で利益を圧迫する要因になるから

給与があがるのにスキルが向上しない。これは問題ですよね。生産性を改善しなければ、利益が減っていく一方、そして最終的に赤字になっていくことが予想されます。これが継続的に続くと、倒産や撤退につながっていきます。 中国は、まさにそんな感じでしょうか?

2)スキルアップしないとその人が将来苦労するから。

あなたのかわいいスタッフが、将来苦労、露頭に迷ったらどう思いますか?就職難でみじめな思いをしたら?

いやじゃないですか?

ベトナムのような成長している国では、優秀な若い人がどんどんたくさん出てきます。教育のレベルも高くなってくるでしょう。

一方で年齢だけ重ねてスキルが上達しない人は、正直たくさんいます。そのような人、正直大変なんです。ヤバいんです。

あなたは日本の過去の状況を知っているはずですよね。そうでなくても、技術革新やAIと言われていますので、いわゆる単純作業系の業務から解放される時代がきます。

その時に、単純作業や付加価値の低い作業ばかりやってきた人に明るい未来が待っているでしょうか?(単純作業や付加価値の低い作業がいけないと言ってるのではなく、人はステップアップが必要というのが私の考えです。)

待っていないと思います。

このようにならないため、生産性を上げる。というのがとても重要になってくると考えています。人の成長は、この生産性を上げることに他なりません。

なぜならば、生産性を上げることによって新しいことに挑戦できるからです。もっというと新しい事とは、AIに代替できないことです。

このためには、業務標準化・業務見える化が必要です。これを海外、ベトナム子会社の社長が意識することがとても重要です。

本日はベトナムの賃金事情から業務効率化までお話させて頂きました。

あなたの会社が、ベトナム賃金制度から将来を予想し、ベストな意思決定をできることを祈っていますね!

それではまた!