ベトナム子会社の社長様は、会計数値から会社の健康状態を読み取ることが必要です。しかし、貸借対照表をじっくり見ている社長様は、意外と少ないかもしれません。

ベトナム、海外に進出したけど、なかなか儲からず、資金繰りに苦労している会社も多いと思います。資金繰りが一番重要です。しかし、貸借対照表の全体図を見ていくというのもとても重要です。

こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。

本日は、貸借対照表から読み取れる“債務超過”とそれを“改善する方法”についてお話ししますね。

うちの会社はこんなに深刻な状況なの? こうやって解決できるのか!というのが理解できますよ!

債務超過の意味とは?

債務超過とは、一言で申し上げますと、、、

資産より負債が大きい状態のことです。

図にすると以下のような感じにです。

次に会計的に理解しましょう!より専門的な視点です。

貸借対照表は、①資産、②負債、③純資産という3つの大きな要素で構成されています。そして、資産=負債+純資産という公式が必ずなりたちます。かならず左と右が一致するのですね。

赤字が続くと、純資産が減っていきます。これが継続されてしまうと債務が資産を上回ることになってしまいます。

債務超過が、社長であるあなたに訴えていること

この債務超過ですが、どのような意味があるのでしょうか?社長であるあなたは正しく理解する必要があります。

まずは、資産と負債の意味をきちんと整理する必要があります。

●資産は、将来、お金を生み出すもの。

●負債は、将来、お金を持ちだすもの。

です。

そして、「お金の支払いに滞ったとき、お金がなくなったとき」というのが会社の倒産の意義です。

したがって、債務超過に陥ったからといってすぐに倒産ではありません。まだ、あなたの会社は生きています。なぜならば、上記に記載の通り、負債には返済までの猶予期間があるからです。

特に日本の海外子会社である場合、日本側の支援も期待できます。負債も日本本社からの借入という場合が多いです。であれば、返済期限を延長してもらうことも可能ですよね。

しかしながら、債務超過は倒産の根本的な原因となります。理由はもうおわかりですよね?(お金が、、、、。)

すなわち、債務超過は、倒産のシグナルといえます。

また、銀行からの視線が厳しくなります。ベトナム、海外の場合は利率がすごく高いこともあり、現地銀行からの借入はほとんど実施されません。そのため、日本の親会社が日本の銀行から借入を実施し、それを貸付するというスキームが多く利用されます。

そのため、銀行が貸付金を回収できるかどうかは、海外子会社がちゃんと儲かってるかなー。っていうのを気にします。海外子会社が“債務超過”であると、「おいおい、、大丈夫かよ。」という風に思ってしまうのですね。

債務超過を改善する4つの方法とは?

このように、債務超過にはネガティブなことばかりです。そのため、社長であるあなたは解消しなければいけません。

では、どのように解消していくのでしょうか?それには4つの方法があります。

もっと儲ける!

あなた、社長の腕の見せ所です。利益をもっと出せば、純資産が増加しますので債務超過の解消につながります。

マーケティング?人脈作り?新規ビジネスの創出?コスト削減?販売単価の交渉?

いーっぱいあります。経営改善により儲けることが債務超過解消の王道です!

「儲ける!」まずはこれを考える必要があります。

増資する!

出資者にお金を資本金として入れてもらうことです。増資とも言います。

増資してもらえれば、資産と純資産が増加しますので債務超過の解消につながりますよね。

もし、親会社の資金の状況が豊富であるならば、これを検討するのもいいでしょう。

DESする!

債務超過に陥っている企業の貸借対照表を見てみましょう。「親会社借入金」の残高があると思います。

海外子会社の場合、日本本社から借入していることが多いと思います。この債務の返済を本社に(ある意味)「諦めてもらう」のです。

借入金から資本に切り替えてもらうのですね。これをデット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap)と言います。

そうすると、たちまち「負債」は「資本」となり、債務超過が解消できます。

もし、親会社が貸付金を投資にしてもいいのならこの方法がオススメです。

債務を免除する!

上記と少し似ていますが、ちょっと違います。上記はスワップ(交換)でしたが、この方法は免除です。つまり、完全に諦めてもらうのです。

例えば、日本の会社から1億円の貸付金があるとします。子会社目線で言うと借入金ですね。

これを、日本の本社から諦めてもらうのです。

「もう回収あきらめたわ、、、。もう、しょうがないか、、、、。返さなくていいよ、、、。」

ってな感じです。

負債が減って、それが「利益」なるので、債務超過が解消されます。

もし、親会社が、ほんの少しだけ財務状態に余裕があるのなら、この方法でもいいかもしれません。

★本日のまとめ★

・債務超過とは、債務が資産を上回ること

・債務超過のサインは倒産の危険

・解消方法は4つ

・①儲ける、②増資、③借入金を資本に振り替える(DES)、④諦めてもらう(債務免除)

以下のようなイメ―ジで整理することも可能です。

海外子会社での経営、、、、。うまくいっている会社もありますが、そうでなく苦戦している会社もたくさんございます。そして、“債務超過”の会社もございます。

この債務超過の状態を改善する必要があります。本日は債務超過の意味とその解消方法についてお話させて頂きました。

あなたの会社が、健全な経営をできることを祈っていますね!

なお、4つの方法によって税務上の取り扱いがそれぞれ違ってきます。この辺の細かいところは普段依頼している会計事務所に相談してみてください!

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