2018年10月15日にベトナムで働く外国人の社会保険についての法律である新政令143/2018/NĐ-CP が制定されました。

こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。

本日は、新政令143/2018/NĐ-CPについて解説していきたいと思います。

以下のお悩みを持っている人のお役に立てます。
  • ベトナムの外国人社会保険料制度を知らない。不安。
  • 日本人の社会保険料に影響あるのか不安。
  • この社会保険料制度により、自分の給与手取りが減るのか?不安

前もって、外国人の社会保険料の影響を把握しておけば適切な経営計画の策定も可能となりますよね!大事なのは金額的なインパクトがあるかどうか?です。

ベトナムの社会保険の範囲

まず、ベトナムの社会保険についておさらいしましょう。

以下のリンク先も参考となります。健康保険、失業保険と異なるので留意してくださいね。

ベトナムの社会保険が、、、、、日本人にも?? 

ベトナムでの“社会保険”の範囲は以下の通りです。

  1. 疾病手当 (病気になった時)
  2. 妊娠・出産手当(妊娠した時)
  3. 労働災害・職業病手当(労働中に怪我した時)
  4. 退職年金(定年退職して老後になった時)
  5. 死亡手当(遺族給付)(死亡してしまった時

従来、この社会保険については、外国人は対象外でした。つまり、保険料を支払う必要がありません。

しかし、今回の政令により、この社会保険が、外国人も対象となることが確定となりました。

実際、どんな外国人が対象なのか? 誰が対象外か?

これ、一番気になりますよね。

No 143/2018 / ND-CPの第2条によって定められています。

Article 2. Subjects of application

  1. Employees who are foreign nationals working in Vietnam shall be required to participate in the compulsory SI program if they obtain work permits, practicing certificates, practicing licenses issued in Vietnam, indefinite-term employment contracts or employment contracts valid for at least one year with employers in Vietnam.

2. Employees referred to in clause 1 of this Article shall be excluded from participation in the compulsory social insurance as provided herein if:

a) they are intra-company transferees as stipulated in clause 1 Article 3 of the Government’s Decree No. 11/2016/ND-CP dated February 3, 2016, providing details of the implementation of certain articles of the Labor Code regarding foreign employees working in Vietnam.

b) they reach retirement age under clause 1 Article 187 of the Labor Code.

日本語で解説致しますと、

ベトナム当局から認められたワークパーミット等を持っている事

かつ(and)

1年以上の任期または、無期限の労働契約を交わしていること

の条件を満たしているとベトナム社会保険に加入しなければいけません。

したがって、ワークパーミットを保有している日本人は、対象となりそうですね。

しかし、社内異動者は、対象外となったようです。これが、明文化されました。

それでは、“社内異動者”とはなんでしょう?

対象外の社内異動者って誰か?

社内異動者の定義は、法律によると、以下の通りです。

政令第 11/2016/ND-CP

第3条 企業内人事異動、ボランティア、専門家、管理者、代表取締役社長、技術的な労働者である外国人労働者

企業内人事異動の外国人労働者とは、ベトナム現地商業拠点を設立した外国企業の管理者、代表取締役社長、専門家、技術的な労働者として当該企業に12 ヶ月以上前に採用され、企業内からベトナム現地商業拠点に一時的に異動する者をいう。

日本本社から任命書により、ベトナムに出向する場合は、“社内異動者”に該当すると考えられます。

(ただし、法律上は、日本本社にて12か月以上前に採用されていることが必須となります。)

そのため、日本からの出向者は、社内異動となり社会保険適用外になりそうです。

ただし、この社内異動については、個人的には、留意する必要があると思っています。

※詳細な確認・最終判断は、普段お願いしているコンサル会社さんに確認することをオススメします

例えば、出向者の給与をベトナム法人が支払っていれば、それは「社内異動」ではない。と指摘される可能性はゼロではないような印象もあります。また、ベトナム法人との労働契約書があることを理由に「社内異動」ではない。と主張される可能性もあります。また、合弁会社の場合や出資会社からの出向でない(親会社は、香港だが、日本本社から出向など)、など、日本から出向したとしても「社内異動」ではないと指摘される可能性もあります。

(個人的な意見も入っていますが、現段階では、慎重になってもいいと思います。(出向=社内異動でない可能性もあり。)また、今後、専門機関等より具体的な情報が入ってくるはずです。)

いつから?なにが?どれくらいの金額で適用?

ベトナム社会保険料は、誰が負担するか?という点で以下に分類されます。

それは、会社が負担する分(雇用者)と従業員(被雇用者)です。

会社が負担する分

これは、内容という観点から、さらに3つに分類されます。

①疾病手当と妊娠・出産手当

この分について、会社は、3%負担します。

②労働災害・職業病手当

この分について、会社は、0.5%負担します。

③退職年金及び死亡手当

この分については、会社は、14%負担します。

では、いつから?

①②については、2018年12月からです。もうすぐですね。

③については、2022年1月からです。結構、先ですね。

従業員が負担する分

これは、8%負担になります。開始時期は、2022年1月です。

 

図にしてまとめると、以下の通りです。

結局、具体的にいくらのインパクトなのか?

会社として一番気になるのは、いくら負担になるのか?かと思います。また、個人としてもいくら負担(控除)するのか?も気になると思います。

この点、社会保険料を計算するにあたり、上限額が定められています。

具体的には、、、、。

社会保険料算定の月給の上限は、公務員給与の20倍です。(社会保険法58/2014/QH13第89条3項)

現状、公務員給与の最低賃金は1,390,000VNDです。(おおよそ、6,500円、安い、、、。これが不正の温床か、、、。)

1,390,000VND/月*20=27,800,000(約13万5千円)これが上限となります。

すなわち、給与が、月200万円の高級取りも、月給、約13万5千円の人も社会保険料額としての義務の金額は変わりません。

イメージが大事なので、日本円に概算して具体的にそれぞれ見て行きましょう。あくまで概算です。

おそらく、ベトナムで働く日本人の方は、給与は月額、13万5千円以上だと推測できます。これを前提に金額について解説していきますね。

2018年12月からは?

まず、2018年12月からのインパクトです。

これは上記記載の通り、会社負担のみの3.5%です。

約13万5千円*3.5%=4,725円です。月々これくらいの金額です。年間は、56,700円ですね。

2022年1月からは?

これは、会社負担増と従業員負担が開始されます。

会社負担増は、以下の通りです。

約13万5千円*17.5%=23,625円

従業員負担(被雇用者)は、以下の通りです。

約13万5千円*8%=10,800円

会社及び従業員負担の合計は、34,425円(23,625円+10,800円)です。年間金額は、413,100円です。

まあまあの負担ですよね。

ベトナム社会保険料の概算額

図にまとめると以下の通りです。

実務上では、こうなる?

給与の手取りが減る???

ベトナムで働く日本人(外国人)を大きく分けると以下になると思います。

①駐在員様等(“社内異動”を除く) ベトナムで起業した人等。

②現地採用

おそらく手取りに影響がでるでしょう。現地採用では、グロス給与で契約するケースがほとんどだからです。手取りが減ります。2022年からですが。

痛い、、、、。

社会保険料負担額が増える可能性もある。

また、社会保険料算定の月給の上限も気になります。現状は、1,390,000VNDが基礎となっていますが、将来的に劇的に上昇している可能性は否めません。(個人的な推測です。)

実質的に、最低賃金が、この金額だと低すぎるからです。さすがに6,500円程度では、暮らしていけません。

ベトナムの最低賃金の引き上げ 2018年 No.141/2017/ND-CP

仮に公務員の最低賃金が上昇した場合、日本人の社会保険料の負担は増加することになりますよね。

将来への期待!社会保険への2重加入は回避したい!

この社会保険料ですが、このままですと、日本人の場合、二重加入になってしまう可能性は否定できません。なぜならば、日本とベトナムとの間では、現状、社会保障協定が結ばれていないからです。

ベトナム現地採用の方は微妙ですね。社会保険が日本において継続していない可能性もあり、実質的に2重加入にはならない可能性もあると思います。

この点、労働傷病兵社会省は、ドイツや韓国とは、社会保障協定の交渉を完了しているようです。つまり、この国の人たちは、二重に支払う義務はありません。

日本は現在、交渉中だそうですが、2022年までに完了しているが望まれます。頑張れ日本!

ベトナムで、将来、退職年金もらう日本人は、ほとんどいないと思いますしね。

★本日のまとめ★

・ベトナムで勤労する外国人労働者に対する社会保険加入について規定した政令143/2018/ND-CPを制定 2018年12月より施行。

・対象となる外国人は、ワークパーミット等を持っていること。労働契約が1年以上、もしくは無期限の場合。したがって、現地採用の方は、基本的に対象となる。

・社内異動者は、加入対象外であることが法律上は、明記

・社内異動者の具体的な判断については、実務上、論点が出てくる可能性があり?

・現地採用を多く抱える企業は金額的な影響が大きくなるかもしれない。

・社会保険は、会社負担と従業員負担がある。

・2018年12月より適用となるのは会社負担の3.5%

・2022年1月からは、会社負担17.5%と従業員負担8%

・金額的なインパクト(2022年1月以降)は、年間で、会社負担が30万円弱、従業員負担が13円万程度

・算定には上限が定められる。

・手取りに影響する可能性。

・日本は、ベトナムと社会保険協定を完了させる事が期待される。

いかがでしたでしょうか?

本日は、ベトナムの社会保険について解説させて頂きました。

あなたの会社が、ベトナムの社会保険料をきちんと理解することにより、適切な利益計画ができることを祈っていますね。

弊社マナボックスでは、ベトナムビジネスコンサル支援をさせて頂いております。ベトナム社会保険料のことについても、支援しています。

ベトナム歴9年の経験豊富な日本人公認会計士及び日系企業を300社超、労務関係を支援してきたベトナム人専門家がタッグを組んであなたの社会保険のお悩みを解決致します!

下記よりお気軽にお問い合わせくださいませ。

ベトナムの会計・税務、法務でお困りの人は、下記フォームにより、気軽に問い合わせしてください。