ベトナムの定期預金は8%?

先日、ベトナムの定期預金についての記事を見ました。

”「ベトナムドンの普通預金は金利3%程度だが、1年定期はなんと13%なのだ」”

日本でお金を貯め、現在はベトナムでセミリタイア生活を送る宮内健吾(仮名)さんのインタビュー記事の一コマです。その中で、ベトナムの定期預金の魅力について記載されていました。

定期預金の利子が8%のベトナムで銀行口座を開くには?

そういえば、私も10年以上前に、日本で、海外で働く系のセミナーに参加した際、「ベトナムに定期預金口座を作ろう!」というツアーがありました。利率12%くらいの定期預金証書も見せてもらった記憶があります。

つまり、以前は、ベトナムへの旅行者でもベトナムで定期預金を運用することができたんですね。

12%って!!高!

>>ベトナムで日本人が定期預金口座を作成してみました!(実践編)2019年7月以降

会社を作って12%の利益率を確保するのも大変ですから、定期預金で運用した方がいいかもって感じちゃいますよね。

1千万円を預けたら、なんと120万円が利息でつきます。

こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。

本日はベトナムの定期預金についてお話したいと思います。

この記事はこんな人のために書いています。
  • ベトナムの定期預金の動向が気になる。
  • ベトナムで個人的に資金を運用したいと思っている。
  • 利率も気になる。

しかし!2019年7月5日以降は定期預金がダメ!?

「ベトナムで定期預金が出来なくなった!」

定期預金に関する通達 No.49/2018/TT-NHNN(「通達 49」)が7月5日より有効になったのです。

銀行から通知がいきなり来てビックリした人もいるかもしれません。

要は、

日本人の定期預金が認められなくなった!

ということです。

心配ですよね。

もうちょっと深堀してみます。

ちなみに、「貯蓄預金」については、貯蓄預金に関する通達「第貯蓄預金に関する通達第48号/2018/TT-NHNN(7月5日施行)」によってベトナム人のみに認められています。

誰?ベトナムで定期預金できないのは?

ざっくりとした結論から言いますと、①現地法人及び②出向者(例:ベトナム居住者、ビザ6か月以上)は、引き続き、定期預金にお金を預け入れることが可能です。

ベトナムの居住者でない旅行者や6か月以上のビザを持ってない人は、定期預金が認められません。

原則として、居住者(個人及び法人)が可能。

例外として非居住者であっても可能。(例:外交使節、領事館、ベトナムの国際機関の代表機関 、ベトナムの外国機関の駐在員事務所、プロジェクト事務所)

駐在事務所もできそうですね。

ベトナム国民も原則できますが、一定の場合は、定期預金できないようです。

そして、非居住者(レジデンスカード持ってなくても)であっても、6 ヶ月以上の滞在許可を有するという条件をクリアしていれば、定期預金が可能です。

以下原文の英語版です。

Article 3. Term deposit-making entities

Term deposit-making entities (hereinafter referred to as customers) include:

  1. Residents being organizations or individuals.
  2. Non-residents including:
  3. a) Diplomatic missions, consulates, representative bodies of international organizations in Vietnam; representative offices, project offices of foreign organizations in Vietnam;
  4. b) Vietnamese citizens not prescribed in Point e and g Clause 2 Article 4 of the Ordinance on Foreign Exchange (amended);
  5. c) Foreign individuals permitted to reside in Vietnam for at least 6 months.

現状のベトナム定期預金の利率の相場観

10年以上前は、10%以上の利息がつくこともありました。

しかし、今はそこまでいきません。

期間によって利率が異なりますが…。

  • 1 ヶ月以上 6 ヶ月未満の定期預金で5%
  • 6 ヶ月以上 12 ヶ月未満の定期預金で6%
  • 12 ヶ月以上の定期預金で 7%から8%程度

のイメージです。

いくら下がったとは言え、日本と比べると高いです!(ベトナムドンの場合)

ベトナムでの定期預金の留意点、気になる点

ベトナム定期預金の規程について気になる点を取り上げてみました。

どのように定期預金を預ける?

定期預金を預ける人は自分の当座預金口座のみを通じて定期預金に預け入れ、その支払を受けることができるようです。(第5条2項)

当座預金口座が必要のようです。個人の人は普通持っていないかもですね。

Article 5. Principles of carrying out term deposit transactions

  1. A customer may only make a term deposit and receive payment thereof via his/her checking account.

また、契約書(必要な項目を満たす必要がある)をきちんと作成する必要があるようです。(6条)

さらに、現状では、外国人個人に対するインターネットバンキングとモバイルバンキングでのオンライン定期預金サービスを一時停止しているようです。

つまり、窓口に行かないといけません。

定期預金の金額を日本に送金するのは、なかなか難しそうですね。

いつまで預け入れ可能?

定期預金の期間は、銀行と預け入れた人との間の合意によります。

しかし、顧客が外国の組織、非居住の個人、居住の外国人については、ビザ、TRC 等の滞在証明書の有効期限の残存期間を超えてはいけません。(第 5 条 5 項)

例えば、テンポラリレジデンスカードの期限が2020年7月までならその期間までということですね。

Article 5. Principles of carrying out term deposit transactions

  1. The deposit term shall be determined according to the agreement made between the credit institution and the customer. With regard to a foreign organization or individual who is a non-resident, or a foreign individual who is a resident, the deposit term may not exceed the remaining validity period of their identity proof prescribed in Clause 4 and Clause 5 Article 4 hereof.

定期預金の期間を延長することも可能ですが、やはり、ビザ、テンポラリレジデンスカード 等の滞在証明書の有効期限の縛りはあります。

この期間延長の条件を満たすことができない場合(例えば、レジデンスカードの期限が来てしまった。)期間満了時に銀行は、預け入れ者に対して元金及び金利(もしあれば)を当該顧客の当座預金口座に移さなければなりません。

  1. If the conditions for deposit term extension prescribed in Clause 2 of this Article are not met, on the maturity date of the term deposit, the credit institution shall transfer the principal and interest (if any) to the checking account of the customer.

とういうことは?どうなるの?

2019年7月5日以前に、定期預金をしていた人、例えば、現在は、ベトナムの非居住者はどうなるのでしょうか?

冒頭の記事にもあったように、そのような人はいると思います。

上記の決まり通り、定期預金から当座預金に振り替えられそうです。そうすると、新たなお金をつくるといった意味での資産ではなくなってしまいます。

ドンを日本に持って帰るといった選択肢も難しそうです。

★本日のまとめ★

・2019年7月5日より、一部の外国人が定期預金できなくなった。

・ベトナムのレジデンスカードを持ってない人、6ヶ月ビザを持ってない人は定期預金ができない。(旅行者、帰任者などはダメ)

・期間は、レジデンスカードなどの滞在期間と連動する。

・利息は今でも高く、8%程度

 

いかがでしたでしょうか?

あなたがベトナム投資事情について理解することにより、正しい意思決定ができることを祈っていますね!