こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。

ベトナムで会社を設立して、社長(General Director)または法的代表者として任命されました。しかし、メインの活動は日本で、年の半分以上は日本にいます。というケースもあると思います。しかし、社長・法的代表者として任命された以上、ベトナムにおいてどうしても個人所得税は発生してしまいます。

参考記事:<<日本に居住していて、ベトナムに来ない社長であってもベトナム個人所得税を支払うべき理由とは?

それでは、いったいいくら?個人所得税を支払う必要があるのでしょうか?

この記事はこんな人のために書いています。
  • ベトナムでは、GDだけど非居住者です。と言われている。
  • 非居住者としてのベトナム国内源泉所得の意味が分からない。
  • ベトナムでの非居住者としての納税額がわからない。

本日は、ベトナムにて「非居住者」としての所得税について解説していきたいと思います。

ベトナム国内源泉所得ってなに?

結論から申し上げますと、ベトナム非居住者は、

①ベトナム国内源泉所得*②20%を個人所得税として納税します。

参考動画:<<重要!居住者・非居住者判定について

ここで、“ベトナム国内源泉所得”ってなんだろう?という疑問が思い浮かぶと思います。これは、言葉でもう少しわかりやすく言うと…。

「ベトナムで汗を流した分の給与」

ということです。ベトナム側からすると、「ベトナムで働いて得た所得ですよね?じゃあ、その分はベトナムに個人所得税を支払ってよ」というイメージです。

ベトナム国内源泉所得の計算方法

それでは、具体的にどうやって計算するのでしょうか?2つあります。それは、

  • ①日割りで計算するケース
  • ②ベトナムで給与発生

させるケースです。

①日割りでベトナム国内源泉所得を計算する方法

具体例で整理していきましょう。前提条件は以下の通り。

  • A氏の年収:1,000万円(全世界所得)(手当等も含めます。)
  • ベトナムに滞在した期間(働いた日):180日

この場合のベトナム国内源泉所得は、いくらとなるか?計算していきます。

1,000×180日/365日(営業日無視しています。)=493万円。493万円が、ベトナム国内源泉所得となりますよね。したがって、Aさんは、493×20%=98の個人所得税を申告する必要があります。

②ベトナムで給与を発生させる方法

もう一つは、ベトナムにてドンの給与を発生させて、支払う方法です。これは、とてもシンプルですよね。ベトナムで生活するためにどうしてもベトナムドンは必要ですから、そういった意味でも便利だと言えます。ただし、金額の設定については留意する必要があります。あまりに安すぎて設定してしまうと、税務リスクが生じるケースがあるからです。

なぜならば、ベトナム源泉国内所得は、あなたの“ベトナムで汗を流した分の給与”だからです。例えば、ベトナムでの給与を月500$と設定したとします。その人が、180日(約半年、50%)程度滞在していれば、その人の全世界所得は、12,000㌦と推定されてしまいますね。

  • 500㌦は全世界所得の半分(半年だから)。
  • そうすると月1,000ドルが月の全世界所得と逆算できる。
  • 1,000㌦×12ヶ月=12,000ドル

というロジックです。

ベトナム税務調査官は、日本人GDの給与相場を知っています。そうすると、

「さすがに年収12,000$(130万円)はないな…。」と思ってしまうのですね。

したがって、②ベトナムで給与を発生させる場合には、ベトナム滞在期間をきちんと考慮する必要があります。この滞在期間によっては、月1,000$が妥当である場合もありますし、月500$でも説明ができることになります。給与口座を作成し、振り込むのがいいです。ただ、銀行口座を作成するのが最近だと難しいようなので(労働契約書やワークパーミットが要求される)、現金で支払うというの考えられます。

マナボックスベトナムでは、製造会社の経験のある日本会計士およびベトナム歴9年の専門家、200社以上支援してきたベトナム人会計士が、ベトナム税制についても支援させて頂いております。

個別スポットコンサルティングも提供させて頂いております。下記から問い合わせして頂けると幸いです。

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③日本本社から業務料としてベトナムに請求する

社長である場合にはこの方法を選択することはないかと思います。ただ、出張者の場合には、この方法の検討余地があるのでご紹介します。

これは、日本からの出張者(例えば技術専門家など)1日あたりの報酬を決めてそれを「ベトナム源泉所得」とする考え方です。例えば、1日あたり5万円とします。その場合に、30日間、出張した場合、150万円かかります。この150万円をベトナム源泉所得とする考え方です。これも合理的だと考えられます。

★本日のまとめ★

  • ベトナムGDは、かならず個人所得税の論点が発生する。
  • ベトナム社長は、実務上非居住者となることもある。
  • 非居住者は、ベトナム国内源泉所得を申告する必要がある。
  • ベトナム国内源泉所得「ベトナムで汗を流した給与」
  • ベトナム国内源泉所得の計算方法は2つ 1つは、日割り。2つ目は、ベトナムっで実際にドンを払う方法。
 ①日割りで計算する方法②ベトナムで給与を発生させる方法

計算方法

 

全世界所得÷365日*ベトナム滞在日

(※説明上365日を使っています。)

ベトナムで支払っている給与

留意点

 

給与明細にて全世界所得を説明するために準備する可能性が高い。

設定金額には気を付けないといけない。安すぎるとだめ。

合理性があると判断してもらえれば、日本の給与明細を見せる必要必ずしも必要でない。

 

本日は、ベトナム国内源泉所得について解説させて頂きました。結構、勘違いというか、理解されてない方もいると思います。是非、整理につかってくださいね。