こんにちは、公認会計士のすげのです。

監査法人から、四半期ごとに会社が負担するベトナム個人所得税について指摘されたことはありませんか?

この記事はこんな人のために書いています。
  • ベトナムに進出している日系企業の社長
  • 駐在員の個人所得税を会社が負担している
  • ベトナムの会計上と税務上の処理についてどうしていいか悩む

ベトナムの会社と日本の親会社から給与がある場合

まず、前提条件からお話します。

ベトナムへ駐在している日本人の場合、給与を2つの口座に入金されるケース(ベトナムと日本の損益計算書に計上される)があります。

要するに、ベトナム口座と日本口座に給与が支払いされるケースです。

参考記事:>>海外駐在、ベトナムで駐在する日本人の給与の支払いの3つのパターンと税務上のリスク、実務上の留意点

この場合、個人所得税(四半期(※一定の場合は月次))の申告は、別々に行う必要があります。

所得の出所

申告書名

ベトナム給与は、会社が申告(源泉税)

05/KK-TNCN

日本からの給与は、個人が申告

02/KK-TNCN

参考記事:>>【ベトナム税務講座】ベトナム個人所得税の申告・支払い方法について解説、どこに?どのように?をわかりやすく整理しました。

この時によくあるベトナム個人所得税のサプライズ!

上記のように四半期の申告は、別々に実施しますが、確定申告は、一緒にします。なお、この場合、02QTT-TNCNという申告書を利用します。

こうするとどんなことが起きるか?

確定申告の時、めっちゃ、個人所得税の支払いが増えてない?

そうなんです。年度の確定申告の時、個人所得税の金額が増えるですね。詳しくは以下のリンクで記事で記載しています。

参考記事:>>ベトナム個人所得税でサプライズが起きてしまう2つの理由

理由を言葉で説明すると、

●「ベトナム所得」および「日本からの所得」を別々に申告・納税

●累進課税(増えるたびに所得税率が上昇する)

です。

簡単なイメージにすると以下の通りです。

ベトナム個人所得税のサプライズを避ける方法 3つ選択肢あります

このようなことがあるので、それを避けたい!って思う人もいるかと思います。

そこでその方法を紹介致します。

ベトナム給与と日本給与がある場合には、以下の3つのパターン申告・支払いが考えられます。

1
ベトナム給与及び日本給与を別々に計上

サプライズを予期しておく

2
ベトナム給与及び日本給与を合算して、四半期申告・支払い

サプライズ起きない。支払いは前持って実施してい。

3
ベトナム給与及び日本給与を合算して会計上は計算、申告は別々

いいとこどり!サプライズもPL上は防止。支払いも遅らさせる。

  • 個人所得税の申告書の金額・支払い
  • 会計上の記帳

この2つに整理できますね。表でまとめると以下の通りになります。

選択肢:1

選択肢:2選択肢:3

個人所得税の申告書の金額・支払い

別々

合算

02/KK-TNCNで調整(合算ベースから05/KK-TNCNを差し引き)

別々

会計上の記帳

別々合算合算

資金繰り

年度にまとめて

✖️

四半期ごとに支払い

年度にまとめて

PL上のサプライズ

あり

年度末に費用が増える

なし

四半期ごとに平準化

なし

四半期ごとに平準化

申告書と損益計算書の整合性(四半期)

あり

あり

なし

(PLの方が申告書より大きくなる)

 

個人的には、資金繰りが一番大事なので、選択肢1でいいかなと思います。ただ、年度末の損益計算書でのサプライズを避けたい場合は、選択肢3がいいのかなと。

お金に余裕がある人は、選択肢2でも問題ないです。

本日は、ベトナム個人所得税で確定申告でのサプライズを防止する方法についてお伝えさせて頂きました。

あなたが、ベトナム税務の仕組みをきちんと理解して、ベストな選択肢を選択できることを祈っていますね。