こんにちは、マナボックスの菅野です。

「設備に関して大規模な修理や改良が発生した。これって損益計算書に計上できるの?でも、経理担当者は違うって言ってるし…。」

このようなお悩みはありませんか?

本日は、会計の知識である資本的支出と収益的支出について解説させていただきます。

この記事により、資本的支出と資本的支出について、スッキリと理解することができます。

この記事はこんな人のために書いています。
  • ベトナムで社長に就任している
  • 大きな設備がある
  • 大きな修理工事等があるが、会計処理がいまいちわからない。

資本的支出と収益的支出(修繕費)の違いとは?

まずは言語で定義を確認していきます。

資本的支出:固定資産に新たな機能を追加したり、あるいは部品や外装の交換などにより価値や耐久性を向上させるための支出。

修繕費(収益的支出):通常の固定資産の現状を維持するため(維持管理)のメンテナンス費用や消耗品の交換費用、あるいは破損した固定資産をもとのあるべき状態に戻すための修理費用(原状回復)。

もう少し、簡単で感情的な言葉で言い表すと…。

価値が増加した!前よりもパワーアップしている。【資本的支出】

壊れてしまったね。修理して元に戻そう!うん、現状維持だ。【収益的支出、修繕費】

また、適切ではないかもしれませんが、我々の身近なところで例えるとすると以下のようにイメージしてもいいかもしれません。

例えば、美容であれば…。

化粧水や美容液

思い切った美容整形
収益的支出(修繕費)

資本的支出

どうですかね。逆にわかりにくいかも(汗)

図解で収益的支出及び資本的支出を理解する!

こんな感じですね。より理解が深まると思います。

ベトナムでは、収益的支出及び資本的支出をどう判断するのか?

こちらベトナムでの根拠を解説します。

Circular 200/2014/TT-BTCとVAS 03が根拠条文になります。

なお、ベトナムの固定資産の計上基準については以下をご参照ください。

参考記事:ベトナムの固定資産の減価償却計算の耐用年数表、【日本との比較あり】

資本的支出の判断基準

– 有形固定資産の一部を耐用年数の延長又は容量の増加のために変更した場合。
– 製品の品質を大幅に向上させるために、有形固定資産の一部を改良した場合。

(a)有形固定資産の部品を変更して耐用年数を延ばしたり、利用能力を高めたりする

(b)有形固定資産の部品を改良して生産される製品の品質を著しく向上させる

(c)新しい製造技術プロセスを適用して資産の運用コストを従来のものに比べて低減させる、といったように、資産の現状を実際に基準状態に比べて改善した場合

有形固定資産の一部に定期的な交換を必要とする部分がある場合、有形固定資産に規定されている4つの基準をすべて満たしていれば、独立した固定資産として会計処理します。例えば、住宅のエアコンは耐用年数の間に何度も交換が必要な場合があるので、その交換や原状回復に要した費用など。

収益的支出(修繕費)の判断基準

資産の経済的便益を当初の標準的な運用状態に回復させ、又は維持する目的で有形固定資産を修繕し、維持するための費用は、生産費及び事業費に算入しなければならない。

原文(英語)も参考として記載しておきます。

Article 35.Account 211 – Tangible fixed assets Circular 200/2014/TT-BTC:

dd) The historical cost of a tangible fixed asset shall only be modified in following cases:
– The fixed asset is undergone a re-evaluation as prescribed in regulations of the State;
– The fixed asset is constructed or equipped with additional parts;
Parts of the tangible fixed asset are modified to extend their useful life or to increase their capacity;
– Parts of the tangible fixed asset are upgraded to substantially increase product quality;
– New technology process is adopted to reduce operating expenses;
– One or several parts of the tangible fixed asset shall be dismantled.
Any case of increase or decrease in tangible fixed assets must be prepared exchange reports, liquidation reports on fixed assets and following procedures as prescribed. The accountant is responsible for preparation and completion of accounting records of fixed assets.

e) The repair and maintenance costs of a fixed asset shall not be recorded to fixed assets account but they are shall be recorded to expenses incurred during a period. With regard to those fixed assets subject to periodical repair or maintenance (power plants’ turbines, aircraft engines, etc), a provision payable shall be made and recorded to operating costs in a given period for the repair or maintenance.

Article from 23-27 of VAS 03: Tangible fixed assets


COSTS INCREASED AFTER ORIGINAL RECORD

23. The costs incurred after the initial recognition of tangible fixed assets are stated to increase the historical cost of the assets if these costs inevitably increase future economic benefits due to the use of such assets. Expenses incurred which do not satisfy the above conditions must be recorded as production and business expenses in the period.

24. The costs incurred after the initial recognition of tangible fixed assets are stated to increase the cost of the assets if they actually improve their present state compared to their original standard status, such as:(a) Changing parts of tangible fixed assets to increase useful life, or increase their utilization capacity;(b) Improve the parts of tangible fixed assets significantly increasing the quality of the products produced;(c) Applying a new manufacturing technology process reduces the operational cost of assets compared to the previous one.

25. The cost of repairing and maintaining tangible fixed assets for the purpose of restoring or maintaining the economic benefits of an asset according to its initial standard operating status shall be included in production and business costs. business in the period.

26. The accounting of expenses incurred after initial recognition of tangible fixed assets must be based on each specific case and the ability to recover the arising costs later. When the residual value of tangible fixed assets includes reductions in economic benefits, the subsequent expenses incurred to recover the economic benefits from that asset will be included in the cost of fixed assets if the value remains. return of fixed assets does not exceed the recoverable value from that asset. In case the purchase price of tangible fixed assets has included the obligation of the enterprise to add additional expenses to make the asset ready for use, the capitalization of subsequent expenses must also be based on the possibility of cost recovery. For example, when buying a house requires repairing before using, the repair cost is included in the cost of the property if that value can be recovered from the use of the house in the future. hybrid.

27. Where some parts of tangible fixed assets require regular replacement, they are accounted as independent fixed assets if they meet all four (4) criteria prescribed for tangible fixed assets. For example, the air conditioner in a house may have to be replaced many times during its useful life, so the costs incurred in replacing or restoring the air conditioner are accounted for. into an independent property and the value of the air conditioner when replaced will be reduced.

引用元:VAS

ベトナムでよくある論点の紹介 オフィスをレンタルしている場合

あなたが、もし、オフィスをレンタルしている場合、通常の修理や追加で内装する場合があると思います。

こちらも基本的には、上記の判断基準にしたがって会計処理することになります。

大きな留意点として、以下を紹介しますね。

  1. 賃貸契約書に、内装や修理等の負担関係について明記(損金生)
  2. 前払費用で処理する場合には3年以内で償却
  3. 内装であっても個々のものが固定資産の条件を満たす場合は固定資産

日本の税法では?ベトナムとの比較

それでは、資本的支出と修繕費の関係について、日本の税務上はどのような例示があるのでしょうか?確認して行きましょう。

日本の税法上は以下のような視点で整理しています。

① 資本的支出と修繕費の具体例(法人税法基本通達7-8-1、7-8-2)
② 少額または修繕の頻度が高い場合の費用(法人税法基本通達7-8-3参照)
③形式基準による判定(法人税法基本通達7-8-4参照)

すべて、法人税法基本通達が根拠となります。

資本的支出と修繕費の具体例(法人税法基本通達7-8-1、7-8-2参照)

資本的支出

収益的支出(修繕費用)

(1) 建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額

(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額

(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額

(1) 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。

(2) 機械装置の移設に要した費用(解体費を含む。)の額

(3) 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額

(4) 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額

(5) 現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額

少額または修繕の頻度が高い場合の費用(法人税法基本通達7-8-3参照)

以下の場合は、資産ではなく、修繕費として計上することができます。

金額基準

周期

1件当たりの修理、改良等のために要した費用の発生金額が20万円に満たない場合

その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合

形式基準による修繕費の判定

上記の①での判断で、修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合があるとします。

その時、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として損金経理をすることができます。

金額基準

周期

1件当たりの修理等に要した金額が60万円に満たない場合

1件当たりの修理等のために要した金額が、修理等の対象となった固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合

ベトナムと比較すると??

大雑把ですが、以下のようになります。ベトナムって少額例外の金額基準がないんですよね。総じて。

 

日本

ベトナム
資本的支出と修繕費の具体例基本的な考えは同じ基本的な考えは同じ

小額基準

税務上具体的な取り扱いありなし

形式基準

税務上具体的な取り扱いありなし

本日は、資本的支出と収益的支出の意味を具体的に解説させていただきました。

こちら判断がちょっと難しい場合は、専門家に相談することをおすすめ致します。