こんにちは、マナボックスの菅野です。

本日は、ベトナム税務ニュースです。

ベトナム政府は、 2020年6月24日に政令20/2017/ND-CPの修正を公表、政令68/2020/ND-CPが発表しました。

この記事はこんな人のために書いています。

ベトナムに進出している。支払い利息の損金不算入が気になっている。過去の支払利息の損金不算入により、法人税が増えた。新しい政令についての具体的な影響を知りたい。借入金の金額が大きい。資金繰りを留意しなければならない。

多額な借入金等によって資金調達を行っている企業にとっては大きなインパクトになりますよ!

【結論】支払利息について20%→30%、純支払い利息、繰延

3つのポイントがあります。

  • 支払利息の損金算入限度額が、EBITDAの20%から30%
  • 純支払い利息
  • EBITDA30%を超えてしまった部分の5年間の繰越。次年度移行で純利息費用EBITDA比率が30%未満であれば、損金算入することが可能。

なお、政令ドラフトが発行された時に上記の内容については動画と一緒に解説しました。

>>ベトナム移転価格税制、支払い利息についての政令ドラフト!EBITDAの20%→30%へ?【図解あり】

EBITDAを理解する必要があります。これについても、詳細に解説しております。

>>【図解あり】EBITDAとは? その意味とは?PLから10秒でキャッシュ・フローをざっくり読み取る方法をわかりやすく3つのステップで解説

なお、対象とならない借入金利息もあります。日系企業には影響ないかと思いますが、参考のために。

金融機関法に従う金融機関、保険業法に従う保険業、政府開発援助(ODA)、ベトナム政府保証のある外国借入、国家目標(農村開発や貧困削減)を実施するための借入、社会福祉政策を実施するための借入です。

図解でまとめると以下のようになると思います。より理解が深まると思います。クリックすると大きくなります!

大きなインパクトは、訴求的に適用されるってこと

当該新政令は署名日から適用され、2019年度から適用されます。 

そして大きな影響として、20%⇒30%の変更は2017年度及び2018年度に遡って適用できるという点です。

したがって、過年度に支払利息の損金不算入の影響を受けている会社はこの規定を訴求的に修正することが可能です。

具体例でインパクトを想像してみる

理解するためには簡単な数値を用いると理解しやすいです。

会計年度

2017年

2018年2019年

EBITDA

1,0001,0001,000

支払い利息 A

240280350

上限(前)B

20%

200200

上限(この政令)C

30%

300300300

超過額(前の政令)

D=A-B

4080

超過額(修正後の政令)

E=A-C

△60(全額損金算入)△20(全額損金算入)

50 

訴求的に修正できる金額

4080

留意点として、「還付」ではなく今後に使える。申請が必要。

上記により、損金算入可能額の追加を申請する場合、法人税(CIT)修正申告書を2021年1月1日までに税務当局に提出する必要 があります。税務調査を受けたあとでも修正申請は可能です。

ただ、過年度(2017年度、2018年度)過払法人税の還付ではなく、今後の法人税申告書上で税額控除処理となります。

図解でイメージしましょう。

支払い利息の過年度修正額で心配な方へ

実際には、EBITDA の計算や申請手続が煩雑です。計算ミスをすると将来の税務リスクが高まります。そのため、不安な方は、下記よりお問い合わせくださいませ。ベトナム公認会計士を中心とした専門家が支援します。

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本日は、ベトナム税務である政令68/2020/NĐ/CP – 過大支払利の損金算入限度額の変更について解説させて頂きました。

場合によっては、将来の資金繰りに影響を及ぼしますから是非確認してください!