こんにちは、公認会計士のすげのです。

「会計を楽しくもっとできないか?」

ベトナムでは、経理職業が結構人気です。とくに女性からですね。経理職は安定しているという印象があるのかもです。

ただ、現状は、記帳する。申告書を作る。いわゆる、ブックキーパーなんですよね。会計でなく、経理する人です。

財務諸表からストーリーを読んで楽しむっていう感覚がすごい弱いです。とほほ。

そこで、会計をもっと楽しく!財務諸表を読み取るっていうことに興味をもってもらえないかなというで、会計クイズを実施してみようと思いました。

以下の書籍を真似させていただきました。有名ですよね。面白いです。

ベトナムを代表する3つの会社で会計クイズをしてみた。

業種が違う会社を選んでみました。選ぶセンスについては、今後改善していたきたいと思います。すいません。

以下の財務諸表は、ベトナムで上場している有名な会社BSとPL(直近の会計年度、2019年12月など)を選びました。

以下をご覧ください。どの会社も上場しているの財務諸表は公表されています。

前提条件は以下の通りです。

  • 元データ:https://vietstock.vn/
  • 会計期間:1年間(2019年1月〜12月など。直近の情報。コロナ前)
  • 利益:税引き前利益を利用しました。
  • 金額の単位:百万ドン

では、早速いきましょう!

財務諸表の図を見て、マサン、ベトジェット 、SSIがどれか?それぞれ回答してください。

こちらの財務諸表の図です。クリックすると大きくなります。

どうでしょう?

みなさんも考えてみてください。

ビジネスを理解して、財務諸表につなげる

単なる記帳、なにも深く考えずに記帳とか税務代行をすることは、もしかしたら、つまらないかもしれません。

もちろん、正確な財務諸表を作成する上で、正しく記帳することがとれも大事です。

しかしながら、テクノロジーの発展により、「記帳する・税務申告する」などの定型的な作業は、人間でなくテクノロジーが実施してくれるでしょう。その方が正確ですし。人間は勝てません。

つまり、いわゆる仕事が減るということです。必ずそうなります。

その中でも、「ビジネスモデルの理解」「その説明」、そこから生まれるアイデアというのは、人間がすると思うのです。ずーっと先はわかりませんけど。

まずは、今回の3社のビジネスの内容を確認しましょう。

マサングループ

概要は以下の通りです。

業種

製造業[食品・飲料]
事業内容
  • 食品・飲料を中心とする消費関連製品の生産
  • 販売分野への投資
  • 畜産・飼料事業への投資
  • 資源開発への投資
  • 金融・銀行事業への投資

食品大手会社というイメージが強いようです。あのヌクマム(私は好きです)でも有名みたいです。そのほかにもいろいろやってるんですね。

Vietjet

これは日本人のみなさまにも馴染みがあるのでは?と思います。概要は以下の通りです。

業種

運輸・物流業[空運]
事業内容

旅客運送、貨物運送、機内販売、機材リース等。

コロナで業界が大きく影響を受けていますが、頑張って欲しいです。

SSI証券

証券会社です。株式などを取り扱っていますね。私も利用しています。

業種

金融業[証券業]
事業内容

ブローカー業務、自己売買業務、ポートフォリオ管理業務、引受・発行代理業務、投資コンサルタント業務、証券保管・預り業務、その他

手数料の売上などが想像できますよね。

ビジネスの概要を理解したところで、FSを見てみましょう。

いろんなポイントがあります。今回は以下のポイントに絞りますね。

  • 売上総利益率
  • 資産の構成
  • 資産回転率

売上総利益率、粗利

粗利は大事です。ビジネスモデルを反映するからです。こちらいれたものの図を見てみましょう。

以下のようになっています。

A:33%

B:68%

C:11%

Bがものすごく高いですね。これはビジネスの特徴が大きく影響してそうです。

資産の構成

以下のような特徴

A:でかい。固定資産も大きい。

B:流動資産が大きい。設備とかない?

C:流動資産と固定資産半分くらい。

Bがやはり特徴がありますね。

総資産回転率をレビュー

回転率には、総資産回転率というのがあります。これは、事業に投資した総資産がどれだけ有効に活用されたかを示す指標です。

例えば、100投資して100が売上であれば1回転です。100投資して1,000が売上であれば、10回転です。

つまり、売上高が総資産の何倍あるか(何回転しているか)ですね。

売上➗総資産

A:総資産が大きいので、総資産回転率は1を切ってます。

B:売上高は小さいですが、資産の構成は流動資産の占める割合が大きいです。

C:BSとPLの高さが同じくくらいですね。1回転くらいです。

これについては、3社それぞれ特徴がありますね。やはり、Bはこの3社の中では、もっとも特徴的です。

答えは?ビジネスをリンクさせてみよう!

答えは、以下です!

A:マサングループ

B:SSI証券

C:ベトジェット 

どうでしょう。正解していましたか?

SSIは証券業なので、固定資産は比較的少ないでしょう。設備とかいらないですもんね。証券業で取引高に応じて手数料売上が生じるので、販売が好調であれば粗利は高くなりそうです。

製造や小売・卸売というビジネスで、68%という粗利を出すのは難しそうです。Bは、資産の構成を見ても、固定資産の割合が小さいです。

このことからもBは、SSIだと認識できたと思います。これは難易度低いです。

では、AとCの判断ですね。マサングループは、歴史も長く巨大企業っていうお話を聞きます。1996年創業のベトナムの大手コングロマリットと言われています。

勝手に食品だけのイメージでしたが、鉱山開発や、金融サービス、天然資源など、幅広いんですよね。なので、BSは大きくなるのかなーって予想がつきます。BSは体と同じですよ。図体が大きいか、小さいか?というイメージでもいいんじゃないかなって思います。

実際に、資産の内容を見てみると、金融投資もあったりするんですよね。でもそれだけ(図体がでかい)では、理屈として弱いです。

ここで、総資産回転率をレビューします。

AとCで、大きな違いがありますね。この時に一般的に業界の平均を知っておくと役に立ちます。

ただ、業界別に見ても平均が、1回転とかなので、これは参考にならなさそうです。

では、いろんなことに投資して、それが売上回収されてない業種はどちらか?という妄想をしてみます。

ベトジェット は、基本的には、飛行機の会社です。これがメインですので、通常通りにビジネスが進んでいれば、総資産回転率も業界平均の水準だと思います。つまり、1回転とかの業界平均の水準になりそうですよね。

マサンは、食品がメインとはいえ、いろんな事業をやっているから、投資(固定資産など)が大きくなりそうで、売上で回収できないかもという推測ができます。

というわけで、Aがマサングループかなって推測はできるんですね。ちょっと難しいですけど。

マナボックスベトナムのメンバーの回答はいかに??反応は?

こちらの問題をマナボックスのメンバーに出題してみました。その時の写真もつけますね。

回答は、いろいろあったんですが、BがSSIと回答する人がほとんどでした。やはりAとCで迷ってしまうんですよね。

Aをベトジェット と回答する人もいました。理由は飛行機がたくさんあって、固定資産が大きそうだからです。

ただ、総資本回転率はどう?っていう視点までは難しいですよね。

このプレゼンの後に、マナボックスでこういうセミナーしたらどうかな?って提案しました。

反応はというと…。

微妙でした(涙)ポカーンって。すべった感じです。

理由は、やはり、個々の税務リスクとか会計基準の決まり、細かい論点が好きなようです。あとは、個人が投資家を対象として、こういう会社のクイズをすれば面白いっていう意見

財務諸表からストーリーなんて、興味はない(今は、涙)

会計を面白く!という試みでやってみたのですが、結論としては、今は難しそうですね。会計・税務とファイナンスをくっきりわけて考えているようなニュアンスもあります。ファイナンスの人は、財務分析必要だけど、私たちはいらない!みたいなニュアンスでした。

会計・税務は、正しい仕訳、会計基準を知っておく。これが仕事と認識しているようです。先は長そうです。

「仕訳する」

「財務諸表を作る」

「税務申告書を作る」

「税務リスクを伝える」

が価値なんです。改めてこの価値観なんだなって思いました。税務リスクは、大事ですし、ベトナム人スタッフもその意識が高いようですね。

でも、根気強く伝えて行きたいと思います。会計事務所の価値が変わっていくと思うからです。

今日は、「会計クイズをベトナムでやってみた!」というお話をさせていただきました。弊社のスタッフでは、まだ、強く刺さりませんでしたが、新しいことなんてみんなそんなもんですよね。

でも、挑戦することが大事です。あなたも何か挑戦することをおすすめします。一緒に頑張りましょう!