こんにちは、マナボックスの菅野です。

あなたが、ベトナムで働いている日本人駐在員であれば、以下のような会話をしたことがあるかもしれません。

「外国人もベトナムの強制社会保険に加入しなければならないの?」

「年金も?退職するころには、ベトナムにいないけどね」

「損金算入のためには、どうやら労働契約書が必須らしいよ」

2018年から、No.143/2018/ND-CPには、外国人の強制保険の加入の義務化が定められました。これにより、社会保険加入とか損金算入とか、どっち?わからないよ。という疑問が生まれることになりました。

>>ベトナムで日本人駐在員の給与が”損金算入”されるために必要な2つのこと。 出向契約書か労働契約書?社会保険加入にも影響

本日は、そもそもどんな場合にベトナムの社会保険に加入しないといけないのか?というのをオフィシャルレターを用いて解説していきたいと思います。

きっと、あなたのモヤモヤが解決されるはずです。

ベトナムの強制社会保険に加入しなくてもいい場合 

結論から申し上げますね。No.1064/LDTBXH-BHXHという労働傷病兵社会省が公表しているオフィシャルレターです。

※オフィシャルレターは原則として個別の回答であり、それが全てのケースにあてはまるわけではありません。

外国人は、以下の場合、強制社会保険に参加することが義務付けられています。

  1. ベトナムのワークパーミットを持っていること
  2. ベトナム国内の雇用主との間で1年以上有効な無期労働契約または有期労働契約を締結していること。
  3. 男性は60歳、女性は55歳に達していないこと。
  4. 企業内転勤者以外の外国人で、専門家・管理職・技術者で日本で12ヶ月以上の勤務経験がある人

ふむふむ…。

「ワークパーミット」を持っており「労働契約書」を結んでいる労働者は、ベトナムで働く人なので、社会保険も加入してよね。って感じです。後はそもそも定年(ベトナム)後の年齢であれば、社会保険に加入する必要はないですよね。

まあね、理解できるな。って感じかと思います。

でも…!

気になる文言があることに気づきませんか?

それは、

「企業内転勤者以外」という文言です。これを明確に外しているんですね。つまり、「企業内転勤者」に該当する人は、社会保険に加入しなくていいよと明言しています。

もっと突っ込んで言うと、労働契約を締結して「労働契約書」がある場合でも、「企業内転勤者」に該当する場合は社会保険料を支払う必要がないってはっきり言っていることになります。

というかNo.143/2018/ND-CPの趣旨から言うと当然なんですけどね。すなわち、労働契約書を保持していることを理由に強制保険の加入を義務付けてしまうと、そもそもNo.143/2018/ND-CPの存在意義がありません。

No.1064/LDTBXH-BHXH

Following regulations mentioned above, foreign employees are required to participate in compulsory SI program if:

 they obtain a work permit or practicing certificate or practicing license issued by a competent authority in Vietnam;

 they enter into indefinite-term labor contracts or definite-term labor contracts valid for at least 1 year with employers in Vietnam;

 they have not reached the age of 60 for males and 55 for females.

 they are not intra-company transferees as specified in Clause 1 Article 3 of Decree No.11 / 2016 / ND-CP, including employees who have been managers, chief executive officers, experts and technicians of a foreign enterprise for at least 12 months and have been transferred to work in the commercial presence of such enterprise within the territory of Vietnam.

No.11/2016/ND-CP

Clause 1 Article 3 of Decree No.11/2016/ND-CP dated February 03, 2016 of the Government providing for implementation of a number of Articles of the Labor Code regarding foreign employees working in Vietnam: “Foreign employees that are intra-company transferees are the managers, chief executive officers, experts and technicians of a foreign enterprise which has established a commercial presence in Vietnam, are temporarily transferred within the same enterprise to its commercial presence in Vietnam and have been employed by the foreign enterprise for at least 12 months.”

まずは、「企業内転勤者」にあたることを確かめるべき

上記のオフィシャルレターによれば、企業内転勤者にあたるか?がキーポイントになるかと思います。

なぜならば、企業内転勤者であれば、例え労働許可書を持っていたとしても、ベトナム強制保険に加入しなくてもいいからです。

この点、実務上は、親会社と出向元が違うケースなどがあります。例えば、ベトナムの子会社の出資会社は、シンガポールであるけれども、駐在員は、日本の本社から出向しているなどです。

たしかにこのあたりの点は、微妙なので、普段お願いしているコンサルさんに相談することをおすすめします。

本日は、そもそもどんな場合に外国人がベトナムの強制保険に加入しなければいけないのか?という点でお話しさせて頂きました。

あなたの会社が社会保険について合理的な判断をできることを祈っていますね。