こんにちは、マナボックスベトナムの菅野です。

本日は、ベトナム貿易と外国契約者税のお話です。どういった場合に、ベトナムにおいて外国契約者税(FCT)が発生するのか?という点でお話したいと思います。

この記事はこんな人のために書いています。

ベトナムに進出している。EPEなどの企業で、海外貿易が頻繁に生じている。Dがつく貿易については、外国契約者税、FCTのリスクがあるらしい。と聞いていてなんだか不安。

こんなお悩みを解決していきます。動画も撮影しました。

インコタームの整理 Dグループの整理

まずは、貿易条件の基礎知識をおさえる必要があります。なぜならば、前提条件になるからです。

インコタームズとは、「国際商業会議所」が制定した貿易条件の解釈のことです。買主と売主の責任の範囲を定めたと言い換えることもできます。

売買取引には紛争がどうしても発生する可能性があります。そのため「責任」の明確化を図る必要があるんですね。

整理するための視点

売り手と買い手の間での以下の視点で整理するとわかりやすいです。

  • 費用負担→梱包費用、検査費用、運送費、倉庫費用など。保険料金なども。
  • リスク負担→なにか事故があった場合にはどっちが責任を負うのか?という視点

そして、Dがつく貿易は、以下のような用語です。

用語

意味
DAP

Delivered at Place/仕向地持込渡し

DPU

Delivered at Place Unloaded/荷卸込持込渡し
DDP

Delivered Duty Paid/仕向地持込渡し関税込

DAP

DAP:輸出者が輸入先の指定場所にて荷下ろしする前」までの費用とリスクを負担します。

したがって、輸出側は、荷下ろしをする義務はありません。また、荷下ろし中のリスクの負担は買い手になります。

なお、輸入通関や関税・消費税を含む税金は、輸入側つまり買い手の負担となります

ポイントは、荷下ろしする前」です。

DPU

DPUの貨物の費用負担とリスク負担は、輸出者が輸入先の指定の場所にて荷下ろしが完了」するまでの費用とリスクを負担します。

輸入通関は買い手の負担になり、輸出側に輸入通関をする義務はありません

ポイントは、荷下ろしが完了」です。DAPとの違いは、売り手が荷下ろしをやるか?やらないか?ですね。荷下ろしの責任と費用です。複雑な設備などであれば、輸出者、売り手にこの作業をしてほしいという条件があるかもしれません。

DDP

この場合の条件は、輸入国の指定仕向地での輸入通関後に、危険負担・費用負担が買主へ移転です。つまり、輸入通関手続きの費用や関税、その他の税金も、売主の負担になります。

インコタームズ11条件の中で最も売主の負担が大きいです。つまり、買い手の負担が小さいので買い手としては最も楽になる条件です。

大きなポイントは、輸入国内(ベトナム)での通関や輸送費用も売主が負担するという点です。わかりやすく表にまとめると以下のような表になります。売り手がどこまで、費用・リスクを負担するのか?という点です。

用語

✖︎→負担しない。実施しない。

輸入国の指定仕向地まで?荷下ろしは?

関税は?

DAP

✖️

✖️

DPU

✖️

DDP

図解するともっとわかりやすいです。理解を一緒に深めましょう。

Dがつく貿易条件の共通点とは?

インコタームには複数の貿易条件があります。FOBやCIF、EXWなんて言葉を聞いたことがあるかもしれません。

数あるインコタームズで、Dがつく貿易条件において、他の条件と違う条件でDグループで共通する点があります。

それは…。

売り手が、日本に留まらず、ベトナムまで来てサービスを提供している。

この点です。これが、FCTが発生する理由となっているんです。

「は?よくわからない?」

そう思う人もいるでしょう。なので、もう少し詳しく解説しますね。

なぜ、Dがつく貿易条件だと、FCTが発生するのか?

それは、売り手が、ベトナムでサービスを提供して、それによって利益を得ているからです。

外国契約者税の理屈をわかりやすく解説すると以下の通りです。

「外国契約者(日本の会社など)が、ベトナムで儲けてますよね。であれば、ベトナムで税金を払ってくださいね」

これです。以下の記事も参考になります。

>>FCT(外国契約者税)をシンプルに易しく理解する方法【ベトナム税務】

販売価格を設定する際には、売り手は、コストを回収する必要があります。かかった原価より高く販売しなければ、利益を獲得できないからです。そして、そのコストは、ベトナムで発生したコストも発生します。そのコストを含めた原価に利益を上乗せして販売するはずです。

ということは、それって、ベトナムという国で儲けてませんか?ということになりますよね。砕いた表現になってしまいましたが、イメージとして理解することこのようになります。

図解も貼っておきます。より理解が深まると思います。

⭐️本日のまとめ⭐️

本日は、なぜ、Dがつく貿易条件だと、FCTが発生するのか?という点で解説させて頂きました。

それは、「売り手がベトナムにおいてもサービスを提供し、その分についても儲けているから」という理由でした。

ちなみに、商品原価と運送費や保険料のコストを分類したとしても、FCTは全体の金額に対して発生すると考えられます。

FCTは、一番漏れやすい税金です。もし、申告漏れがあったとすると、ペナルティや利息が多額になる可能性があります。

ご留意くださいませ!

あなたの会社が、税務リスクをきちんと管理できることを祈っていますね。