こんにちは、マナボックスの菅野です。

今日は、『ベトナムでの契約書の記載のポイント』というテーマでお伝えしたいと思います。

よくライセンスの問題を気にされて、売上の販売契約書はこの文言で大丈夫ですか?という質問を受けます。

あなたの会社が、新規売上取引を実施するといった場合にどんな風に記載するのか?契約書の構成要素を大まかに分類すると以下に分類されるでしょう。

  • 形式的な箇所(名前、住所など)
  • 実質的な箇所

とくに後者について以下の留意する必要があります。

  • 税務上の話(適切な税率はどれ?)
  • ライセンス違反の可能性とその影響

そのためには「本文(具体的な契約内容」と「お金のやりとり(対価)」の文言についてどのような文言にするか?を気を付ける必要があるのです。

契約書のサービス契約の内容の記載

これはあなたの会社がどのようなサービスを提供したか?です。典型的な書き方は以下のようになるでしょう。

サービス内容 サービス提供者は、本条1項に掲げる業務(以下「本業務」といいます)を行うものとします。

  1. ___________________________________________________________
  2. ___________________________________________________________
  3. ___________________________________________________________

税務上の留意点

売り手側は以下の点について留意する必要があります。

付加価値税(VAT)が論点となる

サービスを提供する場合の文言を記載する際に留意するのは、「どこでサービスを消費したか?」です。なぜならば、10%の付加価値税をプラスして請求するか?しないか?に関わってくるからです。10%の付加価値税をプラスしなくていいと思っていたのに税務調査の結果、付加価値税の対象だと指摘されるケースもあります。

以下リンクを参照してください。
https://manabox-global.com/2020/04/servicevat10/

ライセンスの留意点

あなたが設立時(外資)に取得したライセンスの範囲内でビジネスをする必要があります。そうでない場合、「法律違反’」これに伴う「損金不算入」のリスクがあるからです。

「法律違反’」はライセンスに含まれてない業務を実施しているので、業務停止や罰金などを課される可能性があります。医療・教育、小売などのベトナム国へ影響が大きい場合は厳しい措置がされるでしょう。

一方でそうでない場合(合理的に説明できる)にはこのリスクが顕在化する印象はありません。

なお、管理コンサルを使うサービスの場合の参考として以下の記事を作成しました。ビジネスサポートの方向けのコンテンツです。

>>【M-Lab】_ベトナム進出_「管理ライセンス7020」と実際の契約書の記載の考え方のコツ

サービス対価の決定方法

続いて対価の部分です。サービスの場合、①売上金額を契約書に記載する場合と②毎月(その都度)変動する場合があります。2軸マップにすると以下のようになるでしょう。

①の場合はサービスに基づき契約書ごとに金額が決定するケースであり特に難しい論点はありません。

しかし、②の場合はどのように記載するのか?迷ってしまいます。

②のサービスの場合(契約書に対価を書かず、毎月変動する場合)以下の3つのパターンがあるでしょう。

  1. 注文書にリファーする
  2. 売上等の%として計算する
  3. 人月で決める場合(一人当たりの単価と工数)

2軸マップにすると以下のようになります。

それぞれ解説していきます。

注文書にリファーする

基本契約書を結び、あとは「注文書」で管理するパターンです。

  • 甲は乙に対し対価として、別紙注文書のとおり代金を支払うものとする。
  • 支払い方法、支払い期限、支払い進捗が別紙注文書に規定される。

売上等の%にする

例えば、以下のような文言が考えられます。

  • その売上金額の○パーセントを乙の指定する期日までに支払う
  • 年間売上額の額×5パーセント
  • 甲が乙に対して支払う手数料は商品の販売価格の○%にする

人月で決める場合(一人当たりの単価と工数)

オフショアなどでよくあります。

  • 業務にかかる報酬は、諸条件を勘案し個別に決定される乙の会社従業員1名あたりの時間単価に基づき、月単位で算定する。なお、市況の変化等を鑑み、時間単価の改定を行うものとする

本日のまとめ

本日は、契約書の実質的な書き方についての概要を解説させて頂きました。より深い情報、例えば実務上のテンプレート集はマナラボにて提供しています。

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契約書の文言ですが、ご存知の通り、ベトナムは担当官によって意見が違うことから100%大丈夫ということはありません。また、明らかにベトナムに影響が大きそうなビジネスは要注意ですので気をつけてください。