こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。

海外駐在されている方、ベトナムに赴任されている方は、こんな言葉をよく聞くのではないでしょうか?

  • 「グロスアップでの給与計算」
  • 「グロスアップするんでコストが2倍になるかもですね」

グロスアップってなんだろう?

なんとなくわかるけど、実際に誰が負担しているのか?どういうロジックなのか?と、ぼんやりしているという方も多いのではないかと思います。

本日は、海外駐在員の給与の“グロスアップ”(グロスアップ分会社が払う)はについてお話したいと思います。

この仕組みがわかれば、「あっなるほど!」って理解して頂けます。

なにが違うの?ベトナムとは、所得税率が違う!

日本とベトナムの所得税率の違い

ベトナムと日本の、所得税率が異なります。以下をご覧ください。

ベトナム個人所得税の論点サマリ41個と回答の概要リストでリスクに備えよ!

ベトナム歴10年の公認会計士が実体験をもとに作成したベトナムの個人所得税の論点について整理しました。ストーリーもあるので理解しやすいと思います。こちら、実体験のところで、何百時間もかかっており、作成にも時間をかかってしまっているため、有料にしました。でも、一瞬で回収できると思います。

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守りも大事

何が違うのでしょうか?

ずばり、所得税率ですね。

でもパッと見た感じ、ベトナムも日本も累進課税(給与が増えてくと税率が上がる感じ)だし、税率も同じくらいだしって感じですよよね。

しかも、ベトナムの通貨の単位はでかい(笑)!

それでは、日本円にしたら?こうするとわかりやすいです。

ざっくり(200で割った金額、私はいつも200で割ってイメージしてます。2で割ってゼロ二つを抜く。)ですが、以下の通りになります。

これでも、ちょっとわかりずらいですよね。ピンとこないと思います。

もう少し具体的な数値を使って理解してみましょう。

例えば、あなたの年収が800万だとしましょう。

とすると、ベトナムでは最大の税率である35%が適用されます。(960百万ドン、480万円を超える給与)

高所得者です。

しかし、日本ではどうでしょう?

まだ、23%ですよね。最高税率には到達していません。

つまり、日本よりもベトナムのほうが所得税率が高いのですね。

(2,000万円クラスの超高所得者となると違ってくるのですが。)

以下の図解もわかりやすいと思います。

表で日本とベトナムの所得税率の違いを確認しよう!

以下は、所得と累進課税をグラフ化したものです。日本人の年収のボリュームゾーンは500万円から1,000万円未満でしょう。そうすると、税率の違いが一目瞭然ですよね。

なんといっても、公平性が大事!

あなたがもし、日本本社から海外駐在、ベトナム赴任に命じられたとします。

税率が違うことにより、給与の手取りが下がったら、どう思いますか?

「やってらんねー!」

「ずるい!」

と感じるはずですよね。

そのため、日本とベトナムの税率を調整するために、日本駐在員の給与を日本での給与手取り額で保証する必要性があるのです。

つまり、公平性が会社側に求められるのですね。

グロスアップ計算の仕組み、税金分は「会社」が支払って負担!

公平性を担保するため、駐在者のネット給与の手取りが保証されます。

簡単な数値を使って比較してみましょう。

(あくまで概念の理解のためですので社会保険料等は無視してますし、累進課税の部分も無視して、その他論点も無視し、シンプルにしています。)

まず、手取りが先にありきということになります。そこから、所得税率を考慮し、総額(グロス)を逆算して計算します。

そのため、グロスアップ計算と言われるのですね。

税率の違いにより会社の「支出」が増える?

税率が異なることによって増えた所得税は、一般的にベトナムの会社が負担することになります。つまり会社が税務署に支払いします。

駐在者様を出向させることによって総額がいくらなのかという情報が、会社にとって大事になりますよね。

ちなみに、会社が負担している所得税は、課税対象所得に含まれることになります。上記の例で言うと1,000(給与700で税金が300)。この場合300は会社が直接、納税することになります。駐在員に1,000を払って300を駐在員が納税ではありません。

そこで、ベトナムでは、実務指針にグロスアップ計算表(速算表)を公表しています。

No. 111/2013/TT-BTCに掲載されています。

CONVERSION OF TAX-EXCLUSIVE INCOMES TO ASSESSABLE INCOMES (FROM WAGES)

No.Converted income/month

Assessable income

1Up to 4.75 million VNDConverted income/0.95
2From over 4.75 million VND to 9.25trđ million VND (converted income – 0.25 million VND)/9
3From over 9.25 million VND to 16.05trđ million VND (converted income – 0.75 million VND)/0.85
4From over 16.05 million VND to 27.25 million VND (converted income – 1.65 million VND)/0.8
5From over 27.25 million VND to 42.25 million VND (converted income – 3.25 million VND)/0.75
6From over 42.25 million VND to 61.85 million VND (converted income – 5.85 million VND)/0.7
7From over 61.85 million VND (converted income – 9.85 million VND)/0.65

これで、グロスアップ、つまり、会社がどれくらい負担するのかを含めた総額がいくらなのかすぐ計算できますよ。

 

個人所得税をグロスアップした金額、どれくらいが会社の費用となるのか?

会社を経営する側にとっては、いったいいくらが駐在員のコストなのか?

が気になりますよね。

もちろん、その方の給与水準により、その金額は変わってきます。

しかしながら、おおよその相場感というのがございます。

駐在員様の給与の構成要素は、①給与、賞与、②アパート代、③グロスアップ分、④その他(子供の日本人学校)です。

以下のケースで推定してみましょう。

①給与・賞与が年間700万円の方を想定してみます。②アパート代は、月12万円5千円(年間150万円)

そうすると、③はおおよそ350万円になります。(ざっくりですよ。)

④は、日本人学校などで年間、100万円とします。(日本人学校の学費は結構高いです。1人あたり月5万程度)

そうしますといくらでしょう……?

なんと!

年間、おおよそ1,400万円のコストとなります!

日本での費用のおおよそ1.5倍以上はかかるのです。結構、かかりますよね。

本日は、海外駐在員の典型論点であるグロスアップについてお話しさせて頂きました。

あなたの会社が適切な所得税と会社負担の費用を計算することによって合理的な将来計画を策定できることを祈っています!

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