こんにちは、ベトナム在住10年の公認会計士の永井です。
前回は税務調査概要についてお話ししました。
今回はその続きです。
「税務調査が入ると多額の追徴を指摘されるって聞くけど実際どうなの?」
残念ながらベトナムという国においては税務調査に入って指摘がゼロということはありません。
それどころか想定を超える金額、例えば数千万、時に億を超える指摘をされることもあります。
そのリスクの性質と大きさは日本とは大きく異なります。
まず、性質としては日本のように法令も整備されていて、担当官のレベル、抗弁の実行性が確保されているようなことはありません。
ベトナムでは担当官の無知、認識違い、裁量、不合理な指摘も少なくありません。
また、リスクの大きさもベトナムは高いです。
遅延税、重過失といった罰金が日本より大きいのです。
故意または重過失だとベトナムでは本税の100%‐300%となります。レンジがあるのは担当官の裁量という意味です。
一方で日本は?最大で40%になります。十分大きいですが、ベトナムと比べると小さく感じちゃいますね。
このようにベトナムの税務リスクは、質的量的に日本よりはるかに高いです。
ベトナム税務罰金概要は以下の通りだ!
追徴、罰金 | 金額 |
過失(申告書記載誤り等) | あるべき税額との差額の20% |
故意又は重過失と認められる場合 | 未納金額の100%~300% |
遅延利息 | 0.03%/日(昔は0.05~0.07%だったが下がった) |
手続違反 | 最高100百万VND |
「ベトナムの税務リスクは4倍返し!」
例えば、今年1000万円の税金を過小申告したとします。
5年後の税務調査の時に指摘されるとどうなってしまうか?
遅延税、罰金で最大約4,500万円にもなってしまいます。
それほど怖いものということを認識してくれたらと思います。
「過去はどこまで訴求するの?」
なお、過去のどこまで訴求して追徴されるかという点ですが、
本税部分は10年、罰金・手続違反は2年、脱税及び虚偽申告(重加算税)は5年です。
つまり、重加算税部分は5年を経過すると無くなってしまいます。
税務署からするとこの重加算税部分、罰金が大きな収入です。
税務調査が5年に一回は入ってくるのも、この罰金が期限切れとなる前に指摘したいとの思惑があるのだと思います。(2017年時点)
今日はこの辺にして次回は指摘されやすい内容について解説しようと思います。
ではまたお楽しみに。