「宛先・住所が違ってますよ!」

「税コードが違ってるんだけど!勘弁してくれよ(怒)」

こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。

ベトナムに住まいのあなたは、もしかしたら、このような事を言われた経験があるかもしれません。

ベトナムでのレッドインボイスですが、とても重要な法的な文書です。なぜならば、間違っていたら法的な効力がなくなってしまうからです。

本日は、もし、あなたがレッドインボイスを発行する側で、その記載をなんらかの理由で誤ってしまった場合の対処法についてお話致します。

これを理解して頂ければ実務上もなんの問題もありませんよ!

インボイスの記載誤りのパターン

レッドインボイスには、以下の必須記載事項があります。(No. 39/2014/TT-BTC Article4 )

  • 発行者の税務コード、正式会社名、住所
  • 購入者の税務コード 正式会社名、住所
  • 商品名またはサービスの内容、単価、個数、合計金額
  • VAT率
  • VAT額
  • VATを含んだ合計額
  • 発行日付
  • 発行者及び署名、捺印
  • インボイスの種類及び番号(連番)
  • 印刷会社で印刷した場合は、印刷会社名とその税務コード

この中で間違う可能性が高いのは、以下かと感じますね。

・税務コードを誤る。特にFCTの税コードと間違うケースがあります。

・住所を誤る。

・金額を誤る。

・押印が漏れてしまう。

誤ってしまった…。時系列によるパターン

No. 39/2014/TT-BTC に具体的に記載されています。

3つにわかれます。

Article 20. Handling issued invoices

1.In case an issued invoice is found incorrect before it is given to the buyer, the seller shall cross out the copies and keep the incorrect invoice.

2.In case an issued invoice is found incorrect after it is given to the buyer but before goods are delivered or services are provided, or after it is given to the buyer but before the buyer and the seller declare tax, the invoice shall be void; the buyer and the seller shall make a record on withdrawal of copies of the incorrect invoice. The withdrawal record must specify the reasons for invoice withdrawal. The seller shall cross out the copies, keep the incorrect invoice, and issue a new invoice as prescribed.

3.In case an invoice is found incorrect after it is given to the buyer, goods are delivered or services are provided, the buyer and the seller are declared tax, the buyer and the seller shall make a record or a written agreement specifying the errors, then the seller shall make a corrective invoice. The corrective invoice must specify the adjustment (increase or decrease) to the quantity of goods, sale prices, VAT rates, VAT amounts on the invoice No. …. . According to the corrective invoice, the buyer and the seller shall adjust the sales, input tax and output tax. Negative numbers must not be written on the corrective invoices.

まとめてみましょう!

  1. インボイス発行前に気がついた。
  2. インボイス発行後に気がついた
  3. VAT申告してしまってから気がついた。

この3つのパターンに分類されます。

①の場合には、誤ったインボイスを破棄して、新しいインボイスを発行します。

②の場合には、無効である旨の議事録を作成しなければなりません。議事録には、請求書取消理由(例:税コードが違ったなど。)が明記されていなければなりません。 売り手は、誤った請求書を保管する必要があります。そして、新しく請求書を発行します。

③の場合は、ちょっと面倒くさそうです。

買い手と売り手の間で、誤りについて記載された契約書を交わします。そのうえでレッドインボイスを修正します。訂正のため、品目数、販売価格、VATレート、VAT金額に対してレッドインボイス上で修正・訂正する必要があります。

この訂正されたインボイスによってすでに申告してしまったVATを修正する必要があるようです。

しかし!!こんな場合には簡便な方法で大丈夫!

上記に記載した通りの手続きだと②、③はちょっと面倒ですよね。③は特に面倒です。

そこで、2015年に以下の決まりが出来たそうです。名前とアドレスの誤りのケースです。

No. 26/2015/TT-BTC

If the buyer’s name or address on an issued invoice is incorrect but the buyer’s TIN is correct, only an adjustment note is required instead of an adjusted invoice. Instructions of the Ministry of Finance in Article 20 of Circular No. 39/2014/TT-BTC shall apply to other cases of mistakes.”

税コードは正しいけど、買い手の名前や住所の記載が誤っていた場合には、only an adjustment noteだけでいいと言っています。簡単なメモでいいってことでしょう。

形式的な誤りで特に大きな影響はないですし、実務上、誤りが多いケースなのだと思います。このような場合にまで厳しくしてしまうと煩雑になってしまいます。それを防止するための規定なのだと思います。

確かに、引っ越しなどがあった場合にERCの修正が必要になりますが、それをタイムリーに反映できるかというとなかなか実務では難しいこともあります。どうしてもタイムラグが生まれてしまいます。

そのため、住所の記載誤りというのは、よくあります。

(以下は実際のサンプル)

破棄したインボイスについてもきちんと報告する義務

繰り返しになりますが、レッドインボイスは非常に重要な書類となります。そのため、きちんと管理しなければいけません。

間違えて使わなくなったインボイスについても、税務署に報告する義務があります。

留意してくださいね。

本日は、レッドインボイスの記載が誤って場合の対処法についてお話させて頂きました。

ベトナムに赴任しているあなたが、詳細に関わる機会はないかもしれません。それでも、年に一回はあなたの会社のチーフアカウンタントから、報告があるかもしれませんし、また、送り先からクレームがあるかもしれません。

そんな時にこの記事を読んでもらえたら、スッキリするかもしれません。

あなたの会社が、ベトナムのインボイス制度を理解することにより、余計なストレスから解放されることを祈っていますね!