海外ベトナムでで経営していて、よくある悩み。
それは、不正……。などではないでしょうか?
その中でも”二重帳簿”ってどうなの?と思っている方ももいると思います。
- ベトナムのローカル企業に投資したいと考えている
- ローカル企業は二重帳簿が多いって聞くけど本当なのか知りたい。その仕組みも理解したい。
- どのように解消するかの概要を知りたい
このような悩みや疑問を解決する記事となっています。
下記の記事においてもベトナムのローカル企業では、二重帳簿が基本的には当たりまえという話をしています。
99%はそうだよ!っていう人もいますね。
3つの”会計”の意味と社長様が最も留意すべき会計とは? 財務会計・税務会計・管理会計
この記事のもくじ
なぜ、二重帳簿という事象が起きてしまうのか?
そもそも、海外でのローカルよく起きてしまう二重帳簿ってなんでしょう?
そんなのわかるよ。という人も多いと思いますが、再確認しましょう。
一言で言うと以下の通りです。
税務署に提出する帳簿
と
会社内の帳簿
が2つ存在する事
です。
では、なぜ、このようなことが発生してしまうのでしょうか?
それには2つの理由があります。
- 税金を減らしたいから!
- 政府、お客様や仕入先といい関係がビジネスで必要だから!
これです。
なんとなくイメージできませんか?
「税金なんて払っても、意味がない……。」
この理由が前提して存在するということをおさえる必要があります。
二重帳簿が起きるその2つ理由と3つの仕組み
それでは、どのような仕組み、理屈で二重帳簿が作成されるのでしょうか?
これを整理して解説して行きたいと思います。
二重帳簿の仕組みの結論はこうです。
- 法人税を減らしたい➡売上減らす。費用増やす。(VATも減りますね。)
- 個人所得税を減らしたい➡給与過少申告する。
- いい関係でいたい➡コミッション、キックバックの支払い。
それぞれ、二重帳簿にフォーカスして、わかりやすく解説していきいたいと思います。
これは、上理由とつなげて理解すると、腑に落ちやすくなります。
国に支払う税金を減らしたい
まずこれです。
税金は、法人税をイメージするといいかと思います。
法人税は、以下のように計算されます。
利益 × 税率
ですよね。
そして、利益は、売上マイナス費用で計算されます。以下の図のようなイメージです。
そうすると、以下のようなインセンティブが生まれます。
- 売上を減らしたい
- 費用を水増ししたい
です。こうする事で、利益(所得)が減りますから、当然、法人税も減ります。
このような企み、考えがあるんだなと理解することが大事です。図で理解するとスーッと理解できますよ。
これに加えて、ベトナムで所得税支払いたくないというインセンティブも生まれます。
そうすると。
- 給与を過少に申告して、個人所得税を下げたい
となります。
利害関係者といい関係でいたいから
ビジネスをしていく上で、関係性はとても重要ですよね。
例えば、得意先、仕入先、そして、ベトナムでは、政府関係の人達があげられるかもしれません。
その人たちから、キックバック、コミッションを要求されたら、断れないこともどうしても発展途中で成長している海外では避けられません。
そうすると、
- コミッションを支払うけど、記帳しない
という事が生じてしまうことがあります。
では、どのような方法で二重帳簿が作成されるのかを解説していきます。
A:法人税を減らしたい
2つありましたね。売上を減らす。費用を増やす(架空費用)。です。
売上を減らす(所得隠し)
- 売上を認識しない。(ホアドンを認識しない)
- 売上金額を調整する。価格を下げる。
- タイミングをずらす(カットオフ)
この3つです。
売上を認識しない
業種によっては、お客様が、公式インボイス(レッドインボイス、ホアドン)を要求しないこともありますよね。
例えば、あなたが、ラーメン屋などのレストランに行ったときにインボイスを要求するか?というとそうではないはずです。
すなわち、1,000という入金があったとしても売上を認識(会計帳簿に記入)しないことが可能となってしまうのです。
特にB to Cビジネスでは、これをやりやすいという事になります。イメージは、以下の通りです。
売上金額を調整する。価格を下げる。
これは、売上金額の価格を調整する場合です。具体的には、金額を下げるケースですね。
実際には、1,500の売上なのに、1,200で記帳するというパターンです。
ただ、相手(売上先)の事を考えると、あんまりないのかもしれません。相手が1,500で払っているのに、1,200のインボイスでいいよ。とは考えにくいからです。
タイミングをずらす
これは、時期を調整するとことですね。
例えば、2019年12月に売上があったのに、2019年12月期に計上したくないから、2020年にずらすという事です。
費用を増やす(架空費用など)
次にこれです。
- インボイスを購入する、入手する
- 仕入金額を調整してしまう。価格をあげる
- タイミングをずらす(カットオフ)
- 架空人員に給与を払ってことにする。
- 在庫を調整する
主にこの5つです。
インボイスを購入して費用を水増し
インボイスを、(不正)に購入して費用を水増しすることです。
基本的には、インボイスがあれば、損金として処理することができます。だから、これを不正に購入して費用を増やすのです。
でも、ちょっとわかりませんよね。
これは上記の、インボイスを発行しないという話とも関連してきます。
例えば、以下をイメージしましょう。一般的な手口かと思います。
Aカラオケ➡売上1000だけど、300しかインボイスは発行していない。これだと売上が小さいから、200くらいは発行していいなと思っている。
B商社➡費用を増やしたい。Aカラオケと仲いい。「200のインボイスくれない?」と要求。
Aカラオケ➡「いいよ。」
てな感じです。
仕入額を調整する。価格をあげる。
これは、仕入れ金額の価格を調整する場合です。具体的には、金額を上げるケースですね。
実際には、1,200の仕入れなのに、1,500で記帳するというパターンです。
このスキームはちょっとややこしいかもしれません。背景が複雑なケースかと思います。
タイミングをずらす
これは、時期を調整するとことです。
例えば、2020年1月に仕入があったのに、2020年1月期に計上したくなから、2019にずらすという事です。費用が増えますね。前倒ししちゃうってことです。売上の場合と逆です。
架空人員に給与を払ったことにする
ある従業員がすでに退職しているにもかかわらず,あたかもまだ在籍しているかのように見せかけたり,あるいは架空の従業員を在籍させることで,その従業員に給与を発生させることがあります。
そうすると、費用が見かけ上は増えます。900万ドン以下であれば、ベトナム個人所得税は発生しませんので、これくらいで設定することが多いようです。
それはそうと、実際に支払うケースもあります。給与の振込先としては,不正を働く従業員やその家族の口座,あるいは退職者と結託して退職者の口座を利用するケースもあります。これは従業員不正です。支払う必要がないのに支払っているケースですね。
在庫を調整する
在庫は、利益調整に簡単にできますよ。利益を減らすことも、利益を増やすことも簡単にできちゃいます。だから危険です。
B:個人所得税を減らしたい
海外だと特に、個人所得税払いたくないって思う人が多いです。
日本でもそういう人いますけどね。
チュートリアルの徳井さんの申告漏れ・所得隠しについて解説。もしもベトナムだったら……?
どのように減らすのか?
単純に過少申告
本当は、5,000USDだが、2,500USDで申告
ですね。そうすると個人所得税が減りますよね。
この場合、キャッシュで支払うことが多いです。実際の支払いと給与所得申告が異なるのです。
よくあるみたいです。よくない!
C:利害関係者といい関係でいたい
政府関係とか、お客様とか仕入れ先とか……。
いい関係でいる必要があります。どうしてもビジネスは大事です。
そのためにちょっとしたコミッションなどを支払う必要があるんですね。
どのように?
得意先に1,000で販売してインボイスも発行
200を得意先の担当者Aに現金で払う。
キックバックを払う方ですね。
この場合、インボイス(公式インボイス)は、1,000ですから、売上は1,000で認識します。
しかし、払った200は、インボイスがないから、記帳しないという選択肢が生まれます。
そうすると、二重帳簿になりますよね。
とはいうものの、この200の支出に対して、インボイスを(不正)に買ってきてあてがう、充当する方法で記帳する場合もあるようですね。
まとめると以下のようになります。
目的 | 手口 | |
A:法人税及びVATを減らしたい | 売上を減らしたい | 売上を減らす。隠ぺいする。 |
売上金額を調整する。 | ||
カットオフ | ||
費用を水増ししたい | インボイス(不正に)を購入 | |
インボイスの金額を調整 | ||
カットオフ | ||
架空人員の架空給与 | ||
在庫を調整 | ||
B:個人所得税(PIT)を減らしたい | 給与を過少申告する | |
C:関係者といい関係でいたい | コミッションを支払う |
BSにはどのような影響がでるのか?
上記のように二重帳簿が作成されると、どこかにほころびが出ます。複式簿記は、そういう仕組みです。とても論理的です。
どんな風にBSに影響?
主に以下に整理できます。(全部じゃないです。)
実際の現金と税務上の帳簿上の現金が異なる。
実際の在庫と税務上の帳簿の在庫が異なる。
その結果、利益剰余金も当然違いますよね。
もう少し深堀りしていきましょう。
目的 | 手口 | BSへのインパクト! | |
A:法人税及びVATを減らしたい | 売上を減らしたい | 売上を減らす。隠ぺいする。 | 実際のお金>帳簿のお金 |
売上金額を調整する。 | |||
カットオフ | |||
費用を水増ししたい | インボイスを購入 | ||
インボイスの金額を調整 | |||
カットオフ | |||
架空人員の架空給与 | |||
在庫を調整 | 実際の在庫>帳簿在庫 | ||
B:個人所得税(PIT)を減らしたい | 給与を過少申告する | 実際のお金>帳簿のお金 | |
C:関係者といい関係でいたい | コミッションを支払う | 実際のお金<帳簿のお金 |
どうでしょう??
例えば、売上の過少計上であれば、実際には10,000のお金があるのに、それを5,000で帳簿記入(借方:現金、貸方:売上)していれば、実際のお金のほうが大きくなります。
つまり、裏金
一般的には、実際のお金の方が大きくなります。勘のいい方ならお気づきかもしれません。
そう、裏金ができちゃうんですね。帳簿外のお金です。
★本日のまとめ★
・海外、特に発展途上国では、二重帳簿という問題が発生しがち
・なぜ?税金を払いたくない。いい関係でいたい
・手口は、売上を減らす(隠ぺい)、費用を過大
・個人所得税は、給与を過少申告
・コミッションも払う。この場合帳簿に記入しない場合は二重帳簿になる。
いかがでしたでしょうか?
ベトナムに進出する際には、新規設立だけでなく、イケてるローカル企業への投資や買収も選択肢として増えてきています。
しかし、二重帳簿という問題があるので財務DDは、かならず必須だと思います。
あなたが、海外における二重帳簿の背景ととその仕組みを理解して正しい判断ができることを祈っていますね。
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