こんにちは、マナボックスベトナムの菅野です。
あなたが、ベトナムに駐在して、よく海外(日本)出張いくのなら本日のお話がお役に立てるかもしれません。
ベトナムに会社があり、よく日本出張に行く。日本でのホテル代とか食事代、交通費についての損金算入の可否が気になる。社内規定などのことも気になる。
本日の記事を読んで頂ければ、すっきりしますよ。
>>“損金不算入”ってなんだ?わかりやすく解説 ベトナムにおける典型例とは?
この記事のもくじ
ベトナムからの出張にかかる費用を3つに整理する
結論としては、
- 規定等に定めておく。
- 支出のエビデンスを用意しておく。
のベトナムのお決まりのパターンです。
以下の3つのパターンに分類し、もう少し詳しく見ていきましょう。
- 出張手当として固定額を定めているケース。
- 出張の際に支出した費用が、2,000万ドン以下(約10万円)
- 出張の際に支出した費用が、2,000万ドン超(約10万円)
表にまとめると以下のようになります。
条件 | 固定額を定めている場合(手当) | 2,000万ドン以下 | 2,000万ドン超 | |
会社が払う | 個人のクジレットカード | |||
社内規則 | ○ | ○ | ○ | ○ 個人が立て替えて払う旨も記載 |
出張命令書 | ○ | ○ | ○ | ○ |
銀行送金である必要あり | 手当として固定額しはらうため該当なし | ✖️(銀行送金でなくていい) | ○ | ○ |
請求書等のエビデンス | 必要なし。ただし、妥当性を説明する必要がある可能性あり | ○ | ○ | ○ |
エビデンス等のベトナム語への翻訳 | 該当なし | ○ | ○ | ○ |
最終的は判断は必ず直接専門家に確認しましょう
根拠条文等も紹介しますね。
No. 96/2015/TT-BTC
2.9. Expenditure on provision of leave travel allowance for employees on leave against regulations of the Labor Code.
Allowance for employees on business trips, allowance for travelling and accommodation of employees on business trips will be deductible expenses when calculating taxable income if they have adequate invoices. If the enterprise pays for the traveling, accommodation, and allowance of employees on business trips in accordance with its financial regulations or rules, such amounts will be deductible.
In case the enterprise sends an employee on a business trip (whether at home or overseas), every payment that reaches VND 20 million or above and payment for air tickets that are made with individuals’ banking cards will be considered non-cash payments and deductible if all of the conditions below are satisfied:
– There are valid invoices issued by the goods or service provider.
– The enterprise has a business trip order.
– The enterprise’s financial regulations or rules allow its employees to pay the trip expenses, air tickets with their personal banking cards and get reimbursed by the enterprise.
In case the enterprise buys an air ticket on a website for one of its employee to go on a business trip serving its business operation, the proof of deductible expense shall be the electronic ticket, the boarding pass, and proof of non-cash payments that bear the name of the traveling employee. If the enterprise fails to collect the boarding pass, the proof of deductible expense shall be the electronic ticket, the business trip order, and the proof of non-cash payments.
ここで一点、補足させて頂きます。この規定の原文をみると、
“if they have adequate invoices”
のところが、どうやら、
= if they have enough documents (invoices or regulation)というニュアンスだそうです。したがって、固定額として、手当のように支払うことも可能と解されます。
ちなみに、No. 111/2013/TT-BTCという、通達に、
また、日本での証憑(エビデンス)のベトナム語への翻訳は、以下が根拠(オフィシャクレター)となります。(一部抜粋です)
No: 70613 / CT-TTHT
– In case the employees of the Company are sent to work abroad to serve production and business, there are expenses for overseas business such as travel expenses, house rent if they are sufficient. legal invoices and documents as guided in Article 4 of Circular 96/2015 / TT-BTC dated June 22, 2015 (in Clause 1, Article 6 of Circular 78/2014 / TT-BTC as amended and supplemented). ) are included in deductible expenses when CIT calculation.
– In case the Company incurs expenses related to a representative office abroad, these expenses will be included in deductible expenses when calculating CIT if they meet the conditions specified in Article 4 of the Circular. 96/2015 / TT-BTC above (in Clause 2.9, Article 6 of Circular 78/2014 / TT-BTC as amended and supplemented).
For expenses incurred abroad, the invoices and documents of these expenses must comply with the regulations of the host country and must be translated into Vietnamese under the guidance in Clause 4, Article 5 of Circular 156. / 2013 / TT-BTC dated November 6, 2013 of the Ministry of Finance.
手当として固定額を支給した時の個人所得税の取り扱いは?
出張手当については、個人所得税の対象である課税所得には含まれません。(111/2013/TT-BTCより)
また、ベトナムの強制社会保険の対象でもありません。
日本においても、一定の条件のもと、「出張手当」は、税務上「非課税支給額」になります。
出張手当ってそもそもなに?
今回、ベトナムでの出張における費用および手当を調べていると日本との違いがあるのかなと感じました。
出張手当の意味を調べてみると以下のようになっています。
出張日当、宿泊日当などと呼ばれることもあります。
出張者が出張時に発生する「宿泊料」や「交通費」を除いた諸経費の精算や、出張に伴う精神的、肉体的疲労に対する慰労をねぎらうために支給
宿泊費は実費精算としている会社が多い。ただし、「出張手当」の中に宿泊費が含まれている場合もあり。
出張手当と出張経費の基本的な区別は、領収書などで実費精算するのが「出張経費」諸々の費用込の定額で渡し切りとなるのが「出張手当」です。
いろいろなパターンがあるようですね。「出張手当」(会社から従業員へ支払いがされるパターン)のパターンは以下に整理できると思います。(○は手当に含める。✖︎は、実費清算という意味)
出張手当のパターンを整理
整理すると以下のようになります。
項目 | パターン1 | パターン2 | パターン3 |
交通費(飛行機、新幹線など) | ✖️ | ✖️ | ○ |
宿泊費 | ✖️ | ○ | ○ |
労い「出張者の生活実費」を補填する性質 | ○ | ○ | ○ |
食事代、雑費 | ○ | ○ | ○ |
「宿泊等を伴う出張」であると、業務時間外に「宿泊」という負担のある拘束が生じます。出張者に対して『通常の日常生活では発生しないような「生活経費」の負担が発生してしまいます。例えば、通常であれば家で食事を作ることができるのに、出張にあたっては外食を行わなければならないなどです。これが出張手当の趣旨と言われています。
宿泊費について実費精算でなく、出張手当とする理由(パターン2)
実際の「宿泊費用」の実費精算ではなく、実務上「出張手当」として取り扱う場合があります。
それは、宿泊先の決定については、出張者自身に委ねることが合理的であることがあるからです。たとえば、出張が多い場合で事前に決定することが難しい場合です。この場合には、金額的な合理性を考慮して上で、出張手当を決定します。
「出張地域内での細かい交通費」の実費精算でなく「出張日当」が支給される理由(パターン3)
出張を行う場合には「出張地域内での細かな交通費(タクシーや近場の電車代」が発生することが想定されます。
「これらの細かな交通費」まで実費精算する場合、ちょっと面倒です。毎回、JRの細かいレシートをとっておかないといけないのか?などです。
したがって、実務上では、「出張地における少額な交通費」において、「出張日当」として支給するケースがあります。この場合、予め発生が予想される程度の交通費で設定する必要があります。
ベトナムでは?出張手当?経費?
ベトナムでは、以下のパターンが多いと思います。つまり、交通費と宿泊費の実費は、会社負担です。
パターン1 | |
交通費(飛行機、新幹線など) | ✖️ |
宿泊費 | ✖️ |
労い「出張者の生活実費」を補填する性質 | ○ |
食事代、雑費 | ○ |
⭐️本日のまとめ⭐️
本日は、ベトナムにおける海外出張手当、経費についてお伝えしました。
・基本社内規定や出張申請書は必要(形式面)
・一定金額以上の場合には、銀行送金である必要あり
・日本でのエビデンスも必要で、翻訳も必要
是非留意してください!損金不算入されると、その分キャッシュアウトになってしまいますからね。