こんにちは、マナボックスの菅野です。

あなたの会社で急に退職したいと言ってくるスタッフはいませんか?ベトナムではよくある話ですよね。

本日は、そんな場合に「損害賠償」できるのか?という点をお伝えしたいと思います。

ベトナム労働法による労働者からの事前通知義務

これ知っていましたか?実務的にはこれを守るなんてことはないことがほとんどなので知らない人もいるかもしれません。法律上は「いきなり退職してはダメだよ」という趣旨の条文が存在します。

ベトナム労働法において、以下のように労働者は退職する際、事前に通知する義務が定められています。

  • 無期期限労働契約:45日前
  • 有期労働者:30日前
  • 12ヶ月未満の場合:3営業日

ただし、お金を払ってくれない。セクハラ。パワハラ。労働条件が未整備などの場合、労働者は会社への通知なしですぐに退職できます。当たり前ですよね。

第35条 労働者の労働契約の解約の権利

1.労働者は労働契約の解約の権利を有するが,以下のように使用者に事前通知をしなければならない。

  • a) 無期限労働契約に従って働いている場合は少なくとも45日;
  • b) 12か月から36か月までの有期限労働契約に従って働いている場合は少なくとも30日;
  • c) 12か月未満の有期限労働契約に従って働いている場合は少なくとも3営業日
  • d)特殊な業種,分野,業務については,事前通知期間は政府の規定に従って実施する

引用元:ベトナム労働法

事前通知しない場合の損害賠償

では、この事前通知した場合「労働契約の解除が法令違反」になる場合、以下の規定が存在します。「事前通知」という文言があることからこれをしなかった場合は法令違反だということを想定していると考えられます。

※違法な解除について解釈は分かれているの留意が必要。

簡単にいうと、

「賃金の半分」と「事前通知してない日数の給与」を労働者が賠償しないということです。例えば、有期雇用契約で500ドルの人が当日辞める!と言った場合はざっくりと以下の金額の損害賠償ができる(労働法の文言上)ということです。

  • 500✖︎50%=250 
  • 500(30日分を1ヶ月と考える)

の750ドルです。これは当事者からするとかなりでかいですよね。

その他、「退職手当」となっていますが、通常日系企業は強制社会保険である雇用保険に加入しているため論点になりません。

訓練費用については、もしその人が「職業訓練契約」を交わしていれば論点となります。

第40条 労働契約の解約が法令に違反する場合の労働者の義務

  • 1.退職手当を受けとることができない。
  • 2.労働契約に従った賃金の2分の1及び事前通知していない日数における労働契約に従った賃金に相当する金額を使用者に賠償しなければならない。
  • 3.この法典第62条が規定する訓練費用を使用者に返済しなければならない。

引用元:ベトナム労働法

事前通知なしの私の考え

私の考えは、「損害賠償」はしないです。理由は以下の通り

  • 総合的に見て会社が損
  • 退職を前提で会社経営していったほうがメンタルにもいい

1番目は、逆恨みを買ってしまい「会社の機密情報」を暴露するみたいな行動にでる可能性がゼロでないからです。

抑止効果という点を考慮したとしても、数百ドルや数千ドルで会社の評判や会社のリスクをとるべきはありません。

世の中で一倍怖いのは「ハノイの犬」でも「災害」でも、「コロナ」でもなく、ある種の人間なのです。これはおさえておきましょう。

また、ベトナムの場合は「愛社精神」や「終身雇用」という考えは一ミリもありません。であれば、退職を前提に会社の仕組み作りに時間を使った方が業績もよくなりますし、無駄な時間も省けます。あなたの作った「仕組み」は働き続けるからです。

>>あなたのスタッフはいつかいなくなる。ずっと一緒…。それはない。 【海外子会社人材マネジメント】

是非参考にされてくださいね。