M-Labのコーナーです。
今日は『債務免除の盲点!?この場合については利息というキャッシュ・アウトが増える』というテーマでお伝えします。
債務免除した時に発生する可能性のある利息・ペナルティのインパクトが理解できます。連結(家族)でキャッシュアウトを減らす方法を理解できます。
例えば、親会社である日本本社に対する以下の取引がある場合にはベトナム法人には債務が発生します。
- ロイヤリティ
- 設備の購入
- 技術支援料
- 給与の負担(日本で一旦支払いするがその一部をベトナムで負担)
以下のような場合に債務免除することを検討するはずです。
- 子会社の財務状況が厳しい時で銀行などの利害関係者へ、あまりにもひどい業績を報告できない時
- 債権者の利益を圧縮し、法人税を減らしたい時
なお、以下のコンテンツでは、債務免除にかかる手続きの概要と必要なフォームを提供しておりますの是非ご利用ください。
なぜ、債務免除により利息・ペナルティが発生するのか?
結論は以下の通りです。
付加価値税(VAT)が発生する取引(例えば設備購入)で、還付が完了しているケース
この場合、VAT還付(損金算入も)の条件を満たさないから。
です。
インプットVATとして計上、還付できる要件として「銀行を通して支払ったこと」という重要なキーワードがあります。これは損金算入の要件の一つでもあります。
この条件を満たしてないのだから、そもそも還付もできないはずだよね。というのが理屈です。であればその時から遅延が発生し「利息」も発生するという論理です。
図解すると以下のようになります。
還付(相殺して利用も含む)から期間が長ければ、留意する必要があります。
私たちはどのように判断するのか?
抽象化するとVATが発生する取引(例えば、本社からの設備や原材料の仕入れ)とVATの対象でない取引(たとえばロイヤリティ)に区分して整理するとわかりやすいです。
- VATの対象(還付済みかアウトプットVATと相殺済み)→なるべくならば免除しない。
- VATの対象外→債務免除を優先的に検討する。
例えば、連結で追加のキャッシュ・アウトが増加するような場合には、「債務免除」するべきではないと私だったら判断します。
親子間で得するか?損するか?という観点を持つことが重要です。具体的言うと以下の点を検討します。
日本側は債権放棄となるので、「損失」が増加し、利益が減るため法人税が減ります(キャッシュ増加)。一方で、債務免除するベトナム側では「債務免除益」となるため、税務上の利益が増加し法人税が増えます(キャッシュが減少)。
その際に考慮すべきなのが、債務免除する側に税務上の欠損金があるか?どうか?です。というのはもし「債務免除益」が発生したとしてもその欠損金を利用して相殺することが可能だからです。
そうすると連結において合理的にキャッシュアウトを減らすことが可能です。
債権放棄側 | 債務免除側 | |
影響 | 損失↑ 税金↓ | 利益↑ 税金↑ |
考慮すべきこと | – | 欠損金があるか?それを使えるか? |
本日のまとめ
本日は、なぜ債務免除で利息が発生するのか?どのように判断するのか?と言うテーマでお伝えしました。
- VATが発生する購入取引
- 還付や相殺(アウトプットVATと)をしてしまっている
- その後の免除はそもそも還付等の条件(銀行口座を通しての支払い)を満たしていない
- 連結でキャッシュアウト(利息や法人税の減少と発生のバランス)を考慮する
是非、検討してみてくださいね。時には数百万円や数千万円のお話になるなずです。
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