ベトナム法令ニュースです。

今日は「最低賃金より7%高くなければいけないのか?」というテーマでお伝えします。

最低賃金より7%高くないといけないというルール?

結論としては2022年以降はそのようなルール自体はないということになります。

2022年7月1日までに使われていた昔のルールでは、仕事をするのに特別な訓練を受けた人は、月給が最低賃金よりも7%以上多くなければならない、という決まりがありました。

No. 38 / 2022 / ND-CPが施行された2022年7月1日以前まで適用していた旧政令(90/2019/ND-CP)の第5条b)項によれば以下のようになっています。

  • 職業訓練が必要な業務に従事する社員が実際に訓練を受けた後に就労する場合、その社員の月給を基本の最低賃金よりも7%以上多く支給しなければならない

原文も見てみましょう。

b) be at least 7% higher than the region-based minimum wage paid to a skilled worker as prescribed in Clause 2 of this Article.

引用元:90/2019/ND-CPの5条

skilled workerと定められていることからこのように解されているようです。

[skilled worker]として認められる従業員には、さまざまな教育・訓練の修了証や学位を持つ者が含まれます。これには職業訓練や高等教育の証明書、ディプロマ、学士号、修士号、博士号などが該当します。また、外国の教育機関から授与された証明書を持つ者や、企業内で提供された職業訓練プログラムを修了した者、独学で技能を習得し、企業によって技能労働者として配置された者も含まれます。

でも、その後の新しいルール(No. 38 / 2022 / ND-CP)では、この7%給料を上乗せするルールがなくなりました。これが今回のルール変更の中でも大きなポイントの一つです。

新しいルールでは、「最低賃金を下回らないちゃんとしたお給料をもらえる」ことだけが決められていて、これから新しく仕事を始める人には、最低賃金より7%多くお給料を払う必要がなくなりました。ただし、もし新しいルールができる前に、すでにお給料について約束していたことがあるなら、その約束が優先されるので、その点は注意てくださいね。

7%ルールが削除されたその背景と日系企業の実態

ではなぜこのようなルールが削除されたのでしょうか?それを一言で説明すれば

「市場の原理に従って決めればいいだけ」

です。まあそうですよね。当たり前のことでしょう。また日系企業の場合は最低賃金で採用しているケースがかなり少ないとおもいます。実際、新入社員でも優秀な人(大学など)であれば最低賃金から開始するケースは見たことがありません。

ホーチミン市の労働・傷病兵・社会省のファン・アイン・タン所長によると、訓練を受けた労働者の給料が最低賃金より7%以上高くなければならないという規定が廃止されたのは、様々な専門機関が多方面から検討した結果だそうです。

現在では、労働組合の役割が認められ、訓練を受けた労働者の交渉力も強化されています。そのため、給料は労使の交渉によって決めるべきだという考え方が広がっています。また、固定されたパーセンテージによる規定は、企業の給与方針に過度に干渉してしまうとの見方もあるんですね。そこは会社が決めてよ!ってな感じです。

2019年のベトナム労働法では、政府が給与テーブルの作成を指示する規定が削除され、企業と労働者が生産性や業績に基づいて交渉し、給料を決定することが求められています。そのため、7%の規定がなくても、市場の原則に従って給料を決める仕組みを作ることが必要です!