ラボの菅野です。

今日は「日本人(出張者や専門家)のためにベトナム側が支払った航空券およびホテルの費用(例えば日本人の専門家がベトナムに来るための費用)は、個人所得税の対象となりますか?それらの費用は契約者の課税収入に含まれますか?」というテーマでお伝えしていきます。

例えば、日本から出張者だったり、設備の備え付けのために業者さんがベトナムに来たりする時があると思います。そんな時の飛行機代だったりホテルの費用の論点ですね。

外国(日系など)企業の従業員である場合、航空券および宿泊費の3つの取り扱い

以下の3つのケースが考えられるでしょう。

  • 福利厚生費として課税所得に含まれる
  • 会社の費用として計上できる場合
  • 課税所得に含まれない

それぞれ解説していきます。

原則として福利厚生費として課税所得になる

ベトナム法人が専門家(例、日本からベトナムに出張など)に代わって支払った航空券およびホテルの費用は、現物給付と見做されます。したがって、航空券およびホテルの費用は課税所得に含まれます

オフィシャルレターを見てみましょう。ポイントは「規定」や「実際の費用」といったところですね。条件がついております。

公式通知番号 48774/CT-HTr

まとめると以下の通りです。

Fujiken HimLamBC社が外国企業と契約し、専門家をベトナムに派遣する場合、その専門家がベトナムに非居住者として滞在し、ベトナムで所得が発生するが、給与を外国で受け取る場合、その専門家はベトナムで発生する給与所得について個人所得税を支払う必要があります。専門家の個人所得税は、20%の税率で給与所得に基づいて計算されます。

給与所得は、総額の給与、報酬、その他の金銭的性質を持つ所得を含み、2013年の通知第111/2013/TT-BTC第2条第2項に基づいて計算されます。Fujiken Co., Ltd(日本)の方針および規定に従った出張費、航空券、宿泊費は、専門家の個人所得税の対象にはなりません。ただし、これらの費用が実際の費用に基づいて計算されない場合、それらは専門家の課税所得に含まれます。企業は実際の状況に基づいて支払うべき個人所得税を正確に計算することをお勧めします。

引用元:48774/CT-HTr

会社の費用として認定され計上できる場合

続いて、宿泊費等を普通に会社の費用として認められる場合です。

業務費用とは、従業員が国内外を問わず出張する際の交通費、食費、宿泊費、休憩費など、企業の業務に関連する費用です。外国人専門家は外国の企業に属する従業員であるため、ベトナムでの航空券およびホテルの費用は外国企業の費用と見なされます。

要するにみなさんが思っているような会社経費です。例えばハイフォンやダナンに出張した時の飛行機代とかホテル代について「それは個人所得税だ!」と言われたらいやでしょう?

したがって、これらの費用は外国企業の業務の費用として認定され、外国人と外国企業の間で締結された労働契約の規定に従う必要があります。この場合、これらの費用は専門家の課税所得に含まれません。ただしもし規定が満たされない場合、これらの費用は専門家の課税所得に含まれます。

ポイントは「規定」があるか?どうかです。ベトナムは形式がとっても大事なんですよね。

これも関連するオフィシャルレターを見ていきましょう。公式通知番号 5442/TCT-TNCNです。

上記の指針に基づき、外国人個人と外国契約者との間で締結された労働契約において、宿泊費、航空券、電話代、食事代、交通費などの費用が規定されている場合、Malaya Vietnamガラス株式会社が述べた内容に従い、公式通知番号 001/07-2017/OIBJCVN(2017年7月12日発行)に基づき、2013年8月15日付の財務省通知第111/2013/TT-BTC第4条、第2項、第2条の指針に適合する費用は個人所得税の対象外となります。外国契約者の規定を超える費用部分は、個人所得税の対象となります。

労働契約に規定されていない宿泊費、航空券、電話代、食事代、交通費などの費用が、外国人個人と外国契約者との間で締結された労働契約に基づいてMalaya Vietnamガラス株式会社が支払う場合、その費用は非居住者個人の個人所得税の対象となります。Malaya Vietnamガラス株式会社の支店は、上記の財務省通知第111/2013/TT-BTC第1条、第18条の指針に従い、非居住者個人の個人所得税を源泉徴収する責任があります。

契約のないサービス提供の場合個人所得税(PIT)がかからない

個人所得税がかからないケースもあるようです。要約すると「ベトナムの法人とサービス契約がない場合の活動にかかる費用は課税所得の対象外」だそうです。

参照:公式通知番号 49250/CT-TTHT

上記の指針に基づき、ドイツ赤十字社のベトナム事務所が外国人専門家のためにベトナムで行う会議や人道支援活動のための費用(食費、宿泊費、交通費など)を支払う場合、それらの専門家はベトナムでの収入を得ていないため、個人所得税の対象とはなりません。

これらの専門家はドイツ赤十字社のベトナム事務所との間で商品やサービスの提供契約を締結しておらず、ベトナムでの収入を生じないため、2013年8月15日付けの財務省通知第111/2013/TT-BTC第1条の規定に基づき、個人所得税の対象とはなりません。

引用元:49250/CT-TTHT

まとめて表にすると以下の通りになります。やや不明確なところはあります。ベトナム現地法人とサービス提供契約がポイントなのか?規定があるかか?が判断の分かれ目になるのかが曖昧ですね。

条件規定やルールがあるかどうか
課税所得に含まれるかどうか
現物給付、福利厚生(ベトナムが専門家に代わって支払った航空券およびホテルの費用)いいえ含まれる
業務費用(外国企業の業務費用として認定され、労働契約の規定に従う場合)はい(規程に従う場合)
含まれない(条件を満たす場合)
契約のないサービス提供の場合いいえ含まれない

です。

外国契約者税(FCT)の論点

FCTについても留意する必要があります。これについてお伝えします。まず結論から。

ベトナム側が外国契約者(出張者等の外国からベトナムに来た人)に代わって支払った航空券やホテルの費用は、契約者税の対象になり、その計算に含める必要があります。

これも関連するオフィシャルレターを取り上げて説明しますね。

会社がTechno Associe Hongkong Company(外国契約者)と契約を結んでサポートサービスを提供する場合、契約者税の対象となる収益には、会社が外国契約者に代わって支払った航空券、ホテルの費用、出張手当、そして外国契約者の従業員の個人所得税が含まれます。もし契約で契約者が受け取る収益にVAT(付加価値税)や法人所得税が含まれていない場合、会社はその収益をVATおよび法人所得税の対象に変換する必要があります。そして、通知番号103/2014/TT-BTCの指示に従い、収益に対して5%の税率でVATおよび法人所得税を計算します。

外国契約者が会社をサポートするために専門家をベトナムに派遣する場合、その専門家の給与や賃金は契約者が直接支払い、会社(契約者のサービスを購入する部門)は、外国の従業員が個人所得税を支払う義務があることを契約者に通知する責任があります。また、会社は通知番号111/2013/TT-BTCの第27条に従い、外国の従業員に関する情報を税務当局に通知する責任もあります。外国契約者がベトナムで働くために受け取る給与や賃金は、ベトナムの税務当局に直接申告しなければならず、通知番号111/2013/TT-BTCの第2条、第18条の指示に従って計算されます。もし契約に基づいて会社がこの専門家の個人所得税を支払う場合、会社はその個人が非居住者である場合、課税所得の20%の税率で個人所得税を控除する必要があります。

契約に基づいて合意された場合、契約者に代わって支払われた法人所得税および外国の専門家の個人所得税は、通知番号96/2015/TT-BTCの第4条に記載された条件を満たす場合、課税所得を計算する際に控除可能な経費として含めることができます。

参照:公式通知番号 10749/CT-TTHT(ホーチミン市税務局)

今日のまとめ

まとめましょう。

外国人の専門家がベトナムに来た時の飛行機代やホテル代は

  • 福利厚生費として課税所得になる
  • 通常の会社費用となる
  • サービス提供の契約がなければ個人所得税にならない

でした。FCTも条件を満たせば課税されるのでご留意ください。

お役に立てれば幸いです。