ベトナムは、成長市場として多くの日本企業にとって魅力的な投資先です。

しかし、その急成長の裏には、腐敗や収賄といったカントリーリスクが潜んでいます。特に、現地での事業登録や法的手続きに関わる問題は、日系企業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。本社と現地法人が連携し、これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが成功の鍵となります。

収賄事件の具体例:2024年バクニン省でのケース

シンプルに言えばバクニン省で計画投資局がライセンス関係で賄賂が見つかったから、いろいろと手続きが厳しくなり進みずらくなるかもです。ということです。

2024年9月、バクニン省の計画投資局で、事業登録を迅速に進めるために賄賂が授受された事件が発覚しました。この事件により、事務局長を含む関係者が起訴され、現地での腐敗の実態が浮き彫りになりました。賄賂の見返りに事業登録が優先的に行われることは、競争の公平性を損なうだけでなく、日本企業にとっても大きなリスクとなりえます。

事件概要は以下の通り

バクニン省計画投資局の事務局長が収賄で起訴される
2024年9月12日(木) 

事業登録証明書を迅速に取得するために賄賂を受け取ったとして、バクニン省の計画投資局の事務局長およびその部下と共犯者が起訴されました。

9月12日、バクニン省警察は、同省の捜査警察機関が収賄に関連する事件の起訴決定、被告の起訴決定、および3人の被告に対する住居および職場の捜索令状を発行したと発表しました。この事件は事業登録証明書の取得を目的とした収賄の罪に関するものです。

具体的には、バクニン省計画投資局の事務局長であるグエン・フー・チュオン・ザン氏(1979年生まれ)、および同省の事業登録室専門官であるド・ティ・ラン・フオン氏(1991年生まれ)が収賄の罪で起訴されました。

また、バクニン省の投資促進および企業支援センターの元職員であるチャン・ティ・トアン氏(1987年生まれ)は、贈賄の罪で起訴されました。

同時に、警察はグエン・フー・チュオン・ザン氏およびチャン・ティ・トアン氏に対して逮捕状を発行し、ド・ティ・ラン・フオン氏には自宅拘禁令を発行しました。

引用元:https://www.nguoiduatin.vn/

これにより、事業登録証明書の発行過程において、優先的に迅速に証明書を発行するために賄賂が授受されたことが明らかになりました。現在、バクニン省警察の捜査機関は引き続き事件を調査し、拡大しています。

 ベトナムにおける収賄の背景、なぜ賄賂がとまらない?

ベトナムでは、過去数十年にわたり経済成長が進む中で、官僚主義や不透明な手続きがビジネスの障害となってきました。

収賄は、事業を迅速に進めるための手段として一部で容認されてきた面もあり、この文化が現在も根強く残っています。特に事業登録や許認可取得に関して、こうした腐敗行為は外国企業にとっての重大なリスクです。いろいろ変わってきていますがまだまだ時間がかかるでしょうね。

日本企業が直面するリスクと影響

このような収賄事件は、現地での事業展開において次のような影響を及ぼす可能性があります。

  • 事業登録の遅延や追加コスト: 賄賂が必要とされる状況では、手続きが遅延するリスクや、余計な費用がかかる場合があります。
  • コンプライアンス違反: 日本企業は本社のコンプライアンス基準を遵守しなければなりませんが、現地での違反行為に巻き込まれることで、企業全体の評判を損ねる恐れがあります。
  • 法的リスク: 現地での収賄行為が発覚した場合、罰金や業務停止などのペナルティを課される可能性があり、事業運営に支障をきたすことがあります。

日本本社が取るべき対策とは?現地専門家とタッグを組もう!

日本企業の本社としては、ベトナムでのリスクを適切に管理するために、次のような具体的なアプローチを取ることが重要です。

  • リスク管理部門の強化: 現地法人だけでなく、本社でもベトナム特有のカントリーリスクに対処する専門チームを設置し、定期的にリスク評価を実施することが効果的です。
  • 現地の法規制に関する最新情報の共有: 本社と現地法人の間で、ベトナムにおける最新の法規制や反汚職関連の情報を迅速に共有し、法的リスクを最小限に抑える仕組みを整えます。
  • ベトナムのパートナー選定の慎重化: 現地のコンサルタントや法務パートナーの選定には、透明性を重視し、信頼性の高い企業や個人を厳選することが重要です。

情報が常に変化しているのでベトナムの専門家にやっぱり頼ってほうがコスパがいいと思います。

予防策:現地法人での具体的な対策

ベトナム現地法人でも、以下のような具体的な取り組みが推奨されます。

  • 厳格な反汚職ポリシーの導入: 日本本社が監視する形で、現地法人に対して厳格な反汚職方針を導入します。また、現地従業員に対して定期的なトレーニングを行い、腐敗行為への対応を明確化することが重要です。
  • 内部通報制度の強化: 不正行為を早期に発見するために、匿名での内部通報制度を整備し、現地法人の透明性を高める仕組みを導入します。
  • 定期的な監査と法的チェック: 反汚職に関する監査を定期的に行い、現地の法的遵守状況を確認することが、リスク管理の鍵となります。

結論: 成功するための鍵は「リスクの理解と対策」

ベトナムは確かに多くのビジネスチャンスを提供していますが、現地の法的・倫理的なリスクを無視することはできません。日本企業として、カントリーリスクを正しく理解し、本社と現地法人が協力して対策を講じることが、長期的な成功を左右します。今こそ、ベトナム市場での成長を目指すと同時に、リスク管理に力を入れ、健全なビジネス運営を推進しましょう。