ラボの菅野(すげの)です。
今日は『ベトナムの労働許可証の更新の2つのパターン』というテーマでお伝えします。
あなたがベトナムで働いている場合には「転職」する可能性がゼロではないでしょう。
- これまでよりいいオファーがあった
- 上司との関係性がよくない
- M&Aなどで雇用主が変わった
などなど。労働許可証は「会社」に紐づいていますから会社が変わった場合、この「労働許可証」も変更する必要があります。
2つのパターンの労働許可証の変更
2つのスキームがあると考えられます。
- 特別な場合の発行(ベトナムを出国する必要なし)
- 普通に退職して、新たに「労働許可証」を取得する(この場合はベトナムを一旦出国する必要があり)
です。今日は前者の「特別な場合の発行」についてお話しします。
日本人が、ベトナムで新しい会社で同じ仕事をしたいときには、今働いているベトナムの会社の許可が必要です。そのために、新しい許可証をもらうための書類を出すときに、今の会社で働いていることを証明する紙(証明書)や、今までの許可証のコピーなどやその他の書類をつけて出さなければなりません
特別な場合とは「単なる保証人(雇用主)」の変更と理解するとスッと入ってくるかもしれません。関連する条文も紹介しますね。
Section 3. ISSUANCE OF WORK PERMITS
Article 9. Application for work permit
9. Application for work permit in some special cases:
a) For foreign employees who have been granted a valid work permit and wish to work for another employer in the same position and job title stated in the work permit, the application for a new work permit shall include: a confirmation from the previous employer that the employee is currently working, the documents specified in Clauses 1, 5, 6, 7, 8 of this Article and a certified copy of the issued work permit;
引用元:152/2020/ND-CP
どんな書類を提出する必要があるのか?
新たな労働許可証の申請書には、被雇用者が現在働いていることを示す前の雇用主からの確認書、本条(152/2020/ND-CP)の第1項、第5項、第6項、第7項、第8項に明記された書類、および発行された労働許可証の謄本を添付しなければならないとなっていますから下記のようにまとめることができます。通常の
書類 | 条文との関連 | 誰が? |
「雇用主からの確認書」(在籍証明書みたいなイメージ)及び「旧労働許可証」 | 9条 | 旧会社 |
本政令と共に発行された様式番号 11/PLI 付録 I に従った雇用主の労働許可証申請 | 9条の第1項 | 新会社 |
カラー写真2枚(サイズは4cm×6cm、背景は白、顔はまっすぐ、頭は裸、色付き眼鏡は不可)、申請書提出日から6ヶ月以内に撮影されたもの。 | 9条の第5項 | その外国人 |
外国人労働者を使用する必要性を承認する書類。 | 9条の第6項 | 新会社 |
パスポートの認証コピー | 9条の第7項 | その外国人 |
外国人労働者に関する書類
※当局によって異なるので保守的に準備しておく(詳細はコンサルに確認がいいでしょう) 健康診断などはいらなそうです。 | 9条の第8項 | その外国人や親会社による |
上記9条の第8項のところが法律と実務が異なるところがあるところです。なお、条文を要約すると以下のとおりです。
外国企業から派遣される場合:ベトナムで働く前に少なくとも12ヶ月連続でその企業に雇用されていたことを証明する書類が必要。
ベトナム企業と外国企業間の契約による場合:契約書に外国人労働者のベトナムでの就労に関する合意が含まれていること。
サービス提供契約による場合:外国の企業で少なくとも2年間働いていたことを証明する書類が必要。
サービス提供の交渉のため派遣される場合:外国のサービス提供者が交渉のために派遣することを示す書類が必要。
外国の非政府組織または国際機関のために派遣される場合:派遣元の機関の書類と、ベトナムでの運営許可証が必要。
その他の外国企業や機関による派遣の場合(管理者・専門家・技術者):ベトナムでの予定職務に適した人材として派遣されることを示す書類が必要。→ここが日系企業の駐在員様に該当するところだと思いますが抽象的だ!
ざっくりとですが通常のケースと比較するとこんな感じです。最終的にはいつもお願いしているコンサルに確認してくださいね。
内容 | 条文 | 特別なケース | 通常のケース | 備考 |
「雇用主からの確認書」(在籍証明書みたいなイメージ)及び「旧労働許可証」 | 9条の9項a) | ○ | ✖️ | |
本政令と共に発行された様式番号 11/PLI 付録 I に従った雇用主の労働許可証申請 | 9条の第1項 | ○ | ○ | コンサルが支援 |
健康診断書 | 9条の第2項 | ✖️ | ○ | |
無犯罪証明書 | 9条の第3項 | ✖️ | ○ | |
経営者、管理者、専門家、技術者および特定の職務に関する証明書類「専門家証明書」「実務経験証明書」等 | 9条の第4項 | △ | ○ | 「専門家証明書」「実務経験証明書」は必要ではないが実務的に要求されることもある。ただ説明すれば問題ない。 |
カラー写真2枚 | 9条の第5項 | ○ | ○ | |
外国人労働者を使用する必要性を承認する書類 | 9条の第6項 | ○ | ○ | |
パスポートの認証コピー | 9条の第7項 | ○ | ○ | |
外国人労働者に関する書類
| 9条の第8項 | ○✖️ | ○ | 出向者であれば「任命書」が必要 |
まとめ
今日は、ベトナムで会社が変わった場合の労働許可証について解説しました。
特別な場合 | 退職して取得(最初に取得する場合と同じケース) | |
国外に出国する必要性 | なし | あり |
書類 | 簡略化されている | 通常通り |
でした。お役にたてれば幸いです。