2025年1月1日から、ベトナムで新しい会計書類に関する規定が施行されます。この改正は、日系企業を含む現地企業にとって重要な実務変更となるため、ポイントを押さえて対応を進めることが求められます。本記事では、改正内容を分かりやすく解説し、日系企業が実務にどのように活用できるかをご紹介します。
法56/2024/QH15が2024年11月29日に国会で可決され、2025年1月1日から会計書類に関する新しい内容規定が施行されるんだそうです。
マナボックスの「顧問支援」では会計・税務、ベトナム法律や実務についての疑問を解消するサービスを提供しています。
この記事のもくじ
2025年からの新しい会計書類の変更点について解説
これまでの規定(2015年会計法)では、会計書類には「受領者の名称と住所」を含める必要がありましたが、今回の改正ではこの要件が削除され、書類作成の簡素化が図られます。
なので日本人の社長は「そんなもんか?」くらいでいいですよ。
項目 | 現行規定(2015年会計法) | 2025年新規定 |
会計書類の名称と番号 | 必須 | 必須 |
会計書類作成の日付 | 必須 | 必須 |
作成者の名称と住所 | 必須 | 必須 |
受領者の名称と住所 | 必須 | 削除 |
経済・財務取引の内容 | 必須 | 必須 |
取引の数量、単価、金額 | 数字で記載。現金収支の合計金額は数字および文字で記載。 | 同様 |
署名と氏名 | 作成者、承認者、関係者の署名と氏名が必要。 | 同様 |
補足内容 | 書類タイプに応じて追加内容を記載可能。 | 同様 |
簡略化されていますね。
一方で変わらないものには引き続き留意。
以下3点に集約します。2015年会計法の内容です。
- 電子会計書類
- 会計書類の作成および保管に関する規定
- 会計書類の管理および使用に関する規定
です。これらも引き続き留意です。
第17条: 電子会計書類に関する規定
電子会計書類の定義
- 電子会計書類は、第16条に基づき必要な内容を満たした会計書類で、電子データ形式で表現され、転送中に変更されないよう符号化されたものを指します。
- 磁気テープ、磁気ディスク、支払カードなどの情報キャリアで保存されます。
安全性と管理
- 電子書類は、データや情報の安全性を確保し、不正な利用や侵入を防ぐ必要があります。
- 作成、送信、受信時の原本形式で管理され、適切な機器が必要です。
紙書類との相互変換
- 紙書類を電子書類に変換する場合、またはその逆の場合、電子書類は経済取引および財務取引の実行に有効です。
- 紙書類は記録および監査目的でのみ使用され、取引や支払いには無効です。
第18条: 会計書類の作成および保管に関する規定
作成の基本ルール
- 経済・財務取引が発生した場合、必ず会計書類を1回だけ作成する必要があります。
- 書類は、明確、完全、迅速、かつ正確に作成されなければなりません。
作成時の注意点
- 内容は略記、削除、修正が禁止されています。
- 記入にはインクペンを使用し、空白部分は線で消す必要があります。削除や修正された書類は無効です。
- 必要部数が指定されている場合、全てのコピー内容が一致している必要があります。
電子会計書類
- 電子書類は紙に印刷して保管するか、電子媒体に保存し、データの安全性と検索可能性を確保する必要があります。
第21条: 会計書類の管理および使用に関する規定
会計記録の基礎
- 会計書類の情報とデータは、会計記録の基礎として使用されます。
整理と保管
- 会計書類は、経済内容に基づき時系列で整理され、安全に保管されなければなりません。
国家機関の権限
- 会計書類を一時差押え、没収、または封印する権限を持つのは、適格な国家機関のみです。
- 差押えや没収の場合、理由と数量を記録し、コピーを返却しなければなりません。
封印時の対応
- 封印された書類には、理由と数量を記録した文書を作成し、署名と押印を行う必要があります。
まとめ
2025年からの規定変更により、会計書類の作成が簡素化される一方で、電子書類や保管管理の安全性がより一層重視されるかもしれません。この改正は、業務効率を高めると同時に、法令遵守を促進する重要なステップとなるでしょうね。