この記事のもくじ
ベトナムのビジネスパーソンのための新しいサポート、試験導入スタート!
2024年11月21日、ハノイ税務局で「納税者支援バーチャルアシスタント」というAIチャットボットの試験導入が始まりました。このチャットボットは、みなさんが税金の手続きや質問に困ったときに、すぐに答えてくれる便利な仕組みです。
ベトナム政府が進める「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という大きな計画の一部で、特に税金の手続きがもっと簡単に、そしてスムーズになることを目指しています。
ベトナム税務AIに使用されているAI技術は?
このバーチャルアシスタントは、人工知能(AI)を活用した高度なアプリケーションで、次のような特徴を備えています:
- データ統合:100以上の専門法規や税務政策を網羅したデータベースを統合。
- FAQの充実:1万件以上の質問を二言語(ベトナム語・英語)で編集し、直感的に回答。
- 使いやすさ:スマートフォンやPCを利用し、24時間365日いつでもアクセス可能。
- 包括的なサポート:税務ポータル、eTaxMobileアプリ、「デジタルキャピタル市民」アプリを通じて利用可能。
気になるところは以下ですね。
このバーチャルアシスタントは、法規や税政策、税務行政手続き(100以上の専門法規を含む)のデータベースを統合・分類し、1万件以上の二言語の質問を学んでいるとのこと。
インプットの精度でそのアウトプットが決まるからです。
このAIは、納税者の質問に迅速かつ詳細な回答を提供し、必要に応じて行政手続きフォームや説明動画も統合しているんだそうです。
ビッグデータ構築とeコマース活動の管理
ハノイ税務局は、税務管理の効率を大幅に向上させるために、国家人口データベースを基盤とした大規模なビッグデータシステムの構築に注力しています。この取り組みは、ベトナム政府のプロジェクト06(デジタル国家戦略)を支える重要な施策の一つとして位置づけられています。
ビッグデータ構築のプロセス
国家人口データベースの活用
ベトナム国内の全住民の個人情報を含む国家人口データベースを基盤に、納税者の正確な情報を収集します。これには、氏名、住所、身分証番号、電話番号、銀行口座などが含まれます。税務データウェアハウスの構築
全国規模で80,000,000人以上の納税者(企業、組織、個人事業主など)のデータを統合し、管理します。eコマースデータベースの開発
サイバースペースでの事業活動を特定するため、eコマースプラットフォームから得られる販売記録や取引データをデータベースに統合。これにより、22万2,000の税コードに対応する325,000以上の販売ブースを特定しています。リアルタイムデータ分析
収集したデータをリアルタイムで分析することで、納税者の行動を監視し、不正行為やリスクを即座に検出します。
実際の成果はあったのか?
eコマース税収の増加
2024年の最初の10か月間で、eコマース活動による税収は35,000億ドンに達し、前年同期比で36%増加しました。不正行為の検出
データ分析により、不正確な申告や脱税の兆候がある納税者を特定し、法的対応を迅速化しています。税務手続きの透明化
データベースの整備により、納税者が自身の状況をオンラインで確認できる仕組みを提供。これにより、税務手続きの透明性が向上しています。
ビッグデータ構築による未来の可能性
AIとの融合
ビッグデータとAIを組み合わせることで、さらに高度な税務リスク分析や税務監査を自動化できます。これにより、税務職員の業務効率が向上し、重点的な監査が可能になります。国際基準への対応
ベトナム国内だけでなく、国際的な税務基準(BEPSやデジタル課税)にも対応可能なデータ管理システムの構築が期待されています。リアルタイム税務監視の実現
納税者の取引データをリアルタイムで監視し、未申告や脱税を即座に発見するシステムの実現が可能となります。
これからもっと便利になる5つの新しい仕組み
将来的には、さらに便利な仕組みが導入される予定なんだとか。
- 個人所得税還付の自動化:
「払いすぎた税金を返してほしい」という手続きがもっと簡単になります。 - eコマース事業者専用のポータルサイト:
ネットショッピング事業者が税金の登録や支払いを簡単にできるサイトを作ります。 - AIで電子請求書を分析:
不正な請求書や間違いを見つける仕組みをAIで強化します。 - ビッグデータを使った税務管理:
脱税や未申告を防ぐために、たくさんのデータをAIが分析します。 - 債務管理の自動化:
借金の通知や回収をAIがサポートする仕組みを導入します。
他の国でのAIと税の取り組みとは?
ベトナム以外でも多くの国でAIを活用した税務支援の取り組みが進んでいます。以下に主な事例をまとめました。以下のリンクも参考にしてください。
https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/1000047214.pdf
国名 | 税務機関 | AI活用の取り組み |
アメリカ | Internal Revenue Service (IRS) | – AIによる税務調査の強化: AIを活用して申告書を自動分析し、リスクの高い申告を特定。 |
イギリス | HM Revenue and Customs (HMRC) | -HMRCは、AIを活用したチャットボット「GOV.UK Chat」のベータ版を導入し、VAT(付加価値税)やその他の税務に関する質問に対応 |
オーストラリア | Australian Taxation Office (ATO) | – 仮想アシスタント「Alex」: AIチャットボット「Alex」を導入し、個人納税者や企業の税務手続きを支援。 AIモデルで5億3,000万ドルの未払い税金を特定- AIによる分析と監査: 大規模なデータ分析により、高額所得者や複雑な事業構造を持つ企業の税務リスクを評価し、ターゲットを絞った監査を実施。 |
インド | Central Board of Direct Taxes (CBDT) | – 技術、特にAIの利用と法律の変更により、税務コンプライアンスは大幅に改善 |
エストニア | エストニア税関委員会 | – 完全電子化された税務システム: AIを組み込んだ電子税務システムを導入し、納税者は申告書を手動で記入する必要がなく、AIが自動的に情報を収集し申告内容を作成。 – リアルタイム納税: 企業は取引ごとにリアルタイムでVATを計算し、AIシステムを通じて即座に納税可能。 |
参考にした本データは以下のとおり。
アメリカ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN08CW80Y3A900C2000000/
イギリス
https://www.vatcalc.com/united-kingdom/uk-hmrc-tax-ai-chatbot-trials/
オーストラリア
インド
シンガポール
https://www.iras.gov.sg/digital-services/others/iras-bot
会計士・税理士業界にあたえる影響?
こちら気になるところです。職業柄。なるべくポジティブに捉えるようにはしています。時代は変わっていく!
項目 | 詳細 |
業務効率化 |
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税務コンサルティング業務の高度化 |
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納税者とのインタラクションの変化 |
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人材スキルの再定義(どんな人が大事?) |
親しみやすい人も大事! |
税務リスクとコンプライアンスの向上 |
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コスト構造の変化 |
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変化に対応していきたいですね。
本日の内容がお役にたてば幸いです。