ここ最近のAIの影響力って半端ないです。面白いですし、AIを使っている時間もかなり増えました。そこでちょっとずつ疑問に思うのが「あれ? わたしバカになってるかも?」ということでした。
年齢の問題もあるかもなんですけど(笑)、記憶力が薄れてきていると思うんです。最近では「デジタル健忘症」という言葉もよく聞くようになりました。
そこで面白そうな論文があったのでそれと私自身の個人的な考えを述べていきたいと思っています。
この記事のもくじ
AIツールと社会における認知オフロードの影響と批判的思考の未来
スイス・ビジネススクールのマイケル・ゲーリッヒ教授という方の研究(>>AIツールと社会における認知オフロードの影響と批判的思考の未来)をAIを使って翻訳して要約してみました。まずこの言葉が気になる!ってことで「認知オフロード」について調べました。どうやら
認知的オフロードとは、外部ツールを使用して個人の作業記憶にかかる認知負荷を軽減する事
だそうです。言い換えると「負荷の少なすぎる筋トレ」ってことでしょう。たしかに私も「2nd ブレイン」としてAIを使っています。本来、それを利用することによってもっと違う価値のあるところに脳を使おうぜ!ってことだと思うんですがそれができていないのかもしれません。
この研究は、AIツールの使用が批判的思考能力に与える影響を調査し、認知的オフローディング(外部ツールへの認知的負担の転嫁)がその媒介要因であることを分析した。666人の参加者を対象に調査とインタビューを実施した結果、AIツールの使用頻度が高いほど批判的思考能力が低下し、その関係は認知的オフローディングによって説明されることが明らかになった。
なに! 要はAI使いすぎるとバカになるってことですね。バカというか「考える力」がなくなると。確かにそう感じます。「チャットGPTで調べたから大丈夫です」って言われると泣きたくなります。しくしく。
この論文でも
若い人のAIツールの使用頻度と認知的オフローディングが高く、批判的思考スコアが低かったようなんですよ。要するに「考えてない人」が多いってことです。AIツールの使用頻度が高いほど批判的思考スキルが低下することが確認されたようです。
これは危険!ですね。
じゃあほんとにバカになるの?AIを正しく使う。
AIを使うとバカになるのか?というとそんなことはありません。これも結局は昔から言われていること関連してきます。
- 受動的か?(見てるだけ)
- 主体的か?(インプットだけでなくアウトプットもする)
です。前者であれば「バカ」になってしまいます。TikTokだってあのショート動画をひたすら見て時間資本を使う人とTikTokで発信する側で全く脳への負荷が違うわけです。あのショート動画をひたすら見ているだけの人が成長しているか?って。そんなわけないでしょう? 感覚的にもわかるし科学的なエビデンスもあるはずです。
つまり、主体的になる必要があります。これって「7つの習慣」という名著で答えがすでに出されています。なので本質は変わっていませんよね。
AIの特徴を考えた時のバカにならない使い方
主体的になる!というのは正解なのですが少し抽象度が高いです。なのでもう少し具体化します。
先生、会話相手として使う、考えの「相棒」だ
まずこれです。AIは膨大な情報を学習しています。そこに「質問」を投げかけてアイデアを整理する。というのは有効でしょう。クリエイティビティも高まるはずです。
私の場合は経営戦略とか新しいアイデアについてのフィードバックとしてAIを使っています。自分のアイデアをAIに批評させるために「この企画の弱点を指摘して」と聞き、改善点を考えたりもしています。
例えば、将棋で有名な藤井聡太さんもAIを利用してどんどん強くなったと言われていますよね。
AIを「学習の加速装置」にする
中学生の英語とか歴史の勉強とかもAIがあればめちゃくちゃに伸びると思いましたね。AIを 受動的に利用する のではなく、能動的な学習ツール にすることで思考力を鍛えられます。
例えば
要約を読んだ後、書籍などの原典にも目を通す:AIが生成した要約を読んだら、「本当にそうか?」と疑問を持ち、元の文献を確認する習慣をつける。実際にこの記事もそうです。PDFの論文をAIに食わせてそれを分析しています。
AIに質問を深掘りする:「この概念の背景にある理論は何?」と追加の質問をし、理解を深めたりします。また歴史書など読む時にいろんな登場人物が出てくると思うのですがその都度、Perplexityで調べるとその理解が深まりスッキリしながら読み進めることができるんです。
AIを使ってディベートする:AIに「この意見に反論して」と言って、議論を行うことで論理的思考を強化する。
AIを「教育のパートナー」として活用する
AIを単なる情報源ではなく、「学びを深める相手」 として扱うことで、知的成長を促せるでしょう。
AIに自分の学びをテストさせる
例えば、「このトピックについてクイズを作って」とAIに頼み、自分の理解度を測ったりします。例えば私の場合は会計税務についてお客様の学びのためにクイズはAIに作ってもらっています。私の場合、会計が空気のようになっているのでどんなところで問題を作れるか?というと難しい場合があるからです。(相手がわからないを理解できない場合がある)
AIに「どう説明すれば初心者にも分かるか?」と尋ねる:自分の知識を整理する機会になる。
AIを「問題解決のトレーナー」として使う
続いてこれ。多くの仕事が抽象化すれば問題解決です。
AIに答えを出させる前に、自分で考えてみる:「この問題をどう解決すればいい?」と自分で考えた後、AIの意見と比較するのもいいでしょう。自分で考えるという負荷は減らしてはいけません。
AIに「なぜ?」を繰り返して質問する:「なぜこの方法が最適なの?」「他にどんなアプローチがある?」と問い続けながら自分の脳みそにも負荷をかける。
AIの答えを必ず検証する:AIの出力を他の資料と照らし合わせ、本当に正しいのか確認する癖をつける。AIって嘘をつく時よくあるんです。いまだに。
AIは 適切に使えば批判的思考を強化できる強力なツール です。「AIを使うとバカになる」のではなく、「使い方次第でより優れた人間になれる」と考えるべきでしょう。
どんなに発展しても結局は答えが出てる?
このAIの論文の結果は「批判的思考が低下」のリスクでした。批判的思考といえばソクラテス先生ですよね。この方が生きていたのは紀元前です。
その時から「批判的思考が大事なんじゃない?」となってるわけですから考えた方を変えてみれば、私たちは何にも変わってないとなりますよね。大事なことは変わらないものです。
弊社マナボックスでも「批判的思考」をすごく大事にしています。
脳を使う場所がちょっと変わっているだけ。筋トレの部位みたいな話。
何が大事か?っていうと「脳に負担かけてる?」ということだと思うんです。 AIを間違って使うと貧弱なガリガリの骨粗鬆症の体(脳みそ)になってしまうのです。
50年?くらい前はPCがなかったから会計事務所は紙で会計帳簿を作っていたのだと思います。だからその処理をする(文字を書くとか)という能力が高い人の価値が高かったわけです。
でも今はPCがありますよね。文字を紙に書く機会が少なくなりました。だから漢字を書ける人も減ってるでしょう。私も大分、漢字を書けなくなりました。でもそれを見て「バカになった」とはならないですよね。使う脳の部位が変わったんです。こんなイメージです。
人間の脳のポテンシャルは何万年も変わっていない、1日は24時間しかないことを考えれば、私たちのやることはあまり変わらないように思います。
「脳に負荷をかけつづける!」がいいんじゃないかなと思います。