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はじめに:個人事業主にとっての税金とは?
「売上100百万VND未満(60万円くらい)なら税金ゼロ!なの?」この話、もしかしたら耳にしたこともあるかも?です。
ただこの金額基準は変更する可能性が大なのでそこは要注意。
>>付加価値税(VAT)の新しい法律のドラフトを解説!【2024年】
小さな飲食店を営んでいる人、ネットショップを運営している人、副業で少しずつ収入を得ている人など、多くの個人事業主や事業世帯にとって気になる話題です。日本人はあまりないかもですがあなたの周り、例えば大家さんとかは該当あるかもしれません。
しかし、「税金ゼロ=何もする必要がない」というわけではありません。実は、税金が免除される場合でも、税務申告の義務は残りますし、税務当局の監査もあります。適切に対応しないと、後から思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
今回は、ベトナムで個人事業を営む人が知っておくべき税務の基本 を、具体的な条文を引用しながらわかりやすく解説します。
. 売上100百万VND未満の個人・事業世帯は税金を支払う必要がないのか?
結論から言うと、「年間売上100百万VND未満なら、付加価値税(VAT)と個人所得税(PIT)は支払わなくてもよい」というのは本当です。
この点について、財務省通達40/2021/TT-BTCの第4条では、次のように明記されています。
第4条
2. 事業世帯および個人事業主のうち、暦年における生産・営業活動からの売上が100百万VND以下である場合、付加価値税(VAT)および個人所得税(PIT)を支払う義務がない。
つまり、売上が100百万VNDを超えない限り、税金の支払い義務は発生しません。
ただし、ここで大切なのは「売上」の定義です。「手元に入ってきたお金」だけではなく、「未回収の売上」「販売促進のインセンティブ」「手数料収入」なども含まれるため、実際の計算では思ったより高くなることもあります。
税金ゼロでも書類の準備は必要!手続きしないとどうなる?
ここでよくある誤解が、「税金を払わなくていいなら、何もしなくていい」という考え方です。しかし、これは大きな間違いです。
税務申告の義務は免除されていない ため、年間売上100百万VND未満であっても、適切に税務書類を提出する必要があります。通達40/2021/TT-BTCの第4条では、次のように定められています。
第4条
2. Business households and business individuals with revenue from production and business activities in the calendar year of VND 100 million or less are not required to pay VAT and personal income tax according to the provisions of the law on VAT and personal income tax. Business households and business individuals are responsible for declaring taxes accurately, honestly, completely and submitting tax dossiers on time; and are responsible before the law for the accuracy, honesty, and completeness of tax dossiers according to regulations.
申告を怠るとどうなるのか?
例えば、税務署が監査を行い、申告していない事業者に対して追加徴税や罰則を科すことがあります。実際、銀行口座の入出金や近隣住民の聞き取り調査などをもとに、売上が過小申告されていないかチェックされるケースもあります。
まとめ:税金ゼロでも気をつけるべきポイント
今回のポイントを整理すると、次のようになります。
✅ 年間売上100百万VND未満なら、付加価値税(VAT)と個人所得税(PIT)の支払い義務はない
✅ ただし、税務申告は必要。申告しないと監査の対象になり、罰則が科される可能性あり
✅ 売上の計算は「実際の入金額」だけでなく、「未回収の売上」「販促支援金」「補助金」なども含む
✅ 売上が100百万VNDを超えた場合、VAT、PITの原則どおり納税が必要
事業を続けるうえで、税務の基礎を正しく理解しておくことはとても大切です。「知らなかった」では済まされないのが税金の世界。
日系企業がこれに直接は該当することはないでしょう。ただ取引相手がこれに該当する可能性があるので知っておいてもいいかもしれません。
正しく申告し、リスクを減らしながら安心して事業を続けましょう