日本の本社が引っ越しをしたら、ベトナムにある子会社や支店の登録情報も変えなければならないことがあります。そのとき関係してくるのが「IRC(投資登録証明書)」と「ERC(企業登録証明書)」です。

「日本本社の住所変更をベトナムに報告しないといけない?」と疑問に思うかもしれませんが、必要な場合があります。もし手続きを忘れると、罰金を取られたり、ビジネスに問題が出たりする可能性があるので、この記事でわかりやすく説明します。

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そもそもIRCとERCとは?

そもそもの話です。

証明書の種類内容影響を受ける情報
IRC(投資登録証明書)投資家や投資プロジェクトに関する登録情報日本本社が投資家として登録されている場合、本社の住所変更が影響
ERC(企業登録証明書)会社の基本情報(本社住所、出資者情報など)日本本社がベトナムの子会社・支店の親会社として登録されている場合、住所変更が影響

IRC(投資登録証明書)とは?

IRCとは、投資プロジェクトの情報を記録した証明書です。これは、「投資法2020」(第3条第11項)に書かれています。

「投資登録証明書とは、投資プロジェクトに関する投資家の登録情報を記録した書類または電子文書である。」

つまり、ベトナムで事業を行う外国企業(日本本社など)が投資家として登録されている場合、その情報がここに書かれています。

>>ベトナムの投資登録証明書(IRC)をどこよりも詳しく徹底解説!【保存版】

ERC(企業登録証明書)とは?日本でいう登記簿謄本

ERCとは、企業の基本情報を記録した証明書で、「企業法2020」の第4条第15項に次のように書かれています。

「企業登録証明書とは、企業登録情報を記録し、事業登録機関が企業に対して発行する紙または電子文書である。」

つまり、日本本社がベトナムの子会社の親会社として登録されている場合、本社の住所変更はERCにも影響することになるんですね。

>>どこよりも詳しく、ベトナムERC(企業登録証明書)を徹底解説してみた! 【保存版】

日本本社の住所変更がIRCとERCに与える影響

どんな場合に変更が必要?

ケース

IRCの変更が必要?ERCの変更が必要?具体的なケース
#1日本本社が投資家として登録されているが、親会社ではない✅ 必要❌ 不要
– 日本本社が直接投資しているが、ベトナム法人を設立していない
– 日本本社がベトナムの企業に出資のみしている(経営権なし)
#2日本本社がベトナム子会社の親会社として登録されているが、投資家ではない❌ 不要✅ 必要
– 日本本社のグループ会社(シンガポール法人など)が投資家として登録
– 日本本社がM&Aでベトナム企業を買収し、新しい親会社になった
#3日本本社が投資家であり、かつベトナム子会社の親会社として登録されている✅ 必要✅ 必要
– 日本本社が100%出資でベトナム法人を設立
– 日本本社が50%以上出資し、経営権を持っている

こんな感じです。かなりややこしいので無視してもいです。ほとんどの場合は#3のケースになると思います。

ベトナムにおける住所変更の手続きの流れ

弊社のお客様限定の記事でどんな場合にERC,IRCの変更が必要か?をまとめております。

>>【M-Lab】IRCとERCを修正しなければいけない4つのグループと20のパターンとは?

結論から言えばIRCが先のほうが望ましいようです。

① まず、IRC(投資登録証明書)の変更をする

なぜ?

  • IRCの情報はERCにも影響することが多い。
  • 「企業法2020」第30条第1項で、登録情報を変更する義務があると書かれている。

「企業は、本法第28条に規定される企業登録証明書の内容を変更する場合、事業登録機関に変更登録を行わなければならない。」

必要書類

  • 日本の登記簿謄本(本社住所変更を証明する書類)
  • 翻訳・公証済みの書類
  • IRC変更申請書

② 次に、ERC(企業登録証明書)の変更をする

なぜ?企業の親会社情報を更新しないと、ベトナムの取引先や銀行手続きで問題が起こる可能性がある。

必要書類は以下の2つ。

  1. ERC変更申請書
  2. 更新後のIRCコピー

⭐️重要ポイント:計画投資省(Department of Planning and Investment)に事前に確認し、IRCとERCを同時に変更できるかどうかを相談するのが望ましい。

法律上の住所変更手続きを怠った場合のリスク(罰則)

政令122/2021/ND-CP 第44条第5項 によると、企業登録証明書(ERC)の情報変更を登録しなかった場合、以下の罰則が適用される可能性があります。あくまで法律上です。

🚨 罰則内容

  • 20,000,000 VND 〜 30,000,000 VND(約10万〜15万円相当)の罰金
  • 強制的な変更手続きの実施命令

また、IRCの更新を行わなかった場合、投資登録機関の監査対象となる可能性があります。特に、投資家情報の正確性が求められるため、投資プロジェクトの監査時に問題となるリスクがある。

スムーズに手続きを進めるためのチェックリスト

簡単なチェックリストです。

✅ 日本本社の登記簿謄本を取得する(翻訳&公証も忘れずに!)
✅ IRCを先に変更する
✅ その後ERCを変更する
✅ 計画投資省(DPI)や事業登録機関に事前確認する
✅ 提出書類を整理し、スムーズな申請を目指す

結論:日本本社の住所変更時のベトナムでの対応ポイント

まとめますね。

項目必要手続き変更の優先度必要書類の例
IRC(投資登録証明書)投資家情報の変更(日本本社の住所)最優先①登記簿謄本の公証・翻訳 ②変更申請書 ③投資プロジェクト報告書
ERC(企業登録証明書)企業の親会社情報の更新IRCの変更後に実施①変更申請書 ②更新後のIRCコピー

📌 ポイント:

  • 先にIRCの変更を行い、その後ERCの変更を申請するのが一般的な流れ。
  • 日本の本社住所変更を証明する書類は、公証および翻訳(ベトナム語)を必須とする。
  • 手続きを怠ると、罰金や監査の対象となる可能性があるため、早めの対応が推奨される。

💡 計画投資省(DPI)や事業登録機関に事前確認を行うことで、手続きをスムーズに進めることが可能!