こんにちは!マナラボの菅野です。

  • 「うちのPOSレジ、電子インボイスに対応してないかも…?」
  • 「そもそもレジのレシートって請求書になるんですか?」

そんな声を最近よく耳にします。

2025年6月から本格施行される政令70/2025/ND-CPでは、POSレジを使っている事業者さんにとって無視できないルール変更が盛り込まれています。

>>【2025年6月施行】POSレジを使ってる会社は要チェック!政令70/2025の改正ポイントをやさしく解説【ローカルレストランも!】

今日はこの特集で、POSレジ対応にフォーカスして、
「どこが変わったのか?」「誰に関係あるのか?」をやさしく整理していきます。

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■ なぜ今、POSレジが注目されているの?

まず前提ですが、今回の改正でPOS(Point of Sale)レジから発行されるレシート=電子インボイスとして扱うルールが明文化されました。

背景には、こんな事情があります。

現金商売では、売上の記録を調整しやすい(つまり脱税リスクが高い)

電子化・一元化することで、売上をそのまま税務データに反映できる

消費者にも「正しい請求書を受け取る権利」がある時代に

つまり、POSレジからそのまま電子インボイスを出すことで、
「取引の透明性」と「税務の正確性」を両立させようという動きなんです。

■ 改正ポイント①|POSレジからの電子インボイス発行が“義務化”
📌【引用:政令70/2025 第1条(第11条の修正)】

Households and businesses with annual revenue over VND 1 billion must use e-invoices from POS cash registers.
(年商10億VND以上の事業者は、POSレジから電子インボイスを発行しなければならない)

これ、地味に大きな変更ですよね。飲食店にとっては大きな影響です。

「POSでレシートを出せば十分でしょ」と思っていた方も、

売上が一定規模を超えたら、それが“電子インボイス”として税務署に連携される仕組みが必要になります。

いわゆる(基本)売上除外ができなくなります。

売上除外の典型的な方法(例としての把握のため)

タイプ方法解説
① 手書きレシートで処理電子レジを使わず、伝票や手書きのレシートで処理し、売上計上しない小規模店舗で今も多く見られる方法。現金収入を帳簿外に留める
② レジの「ノンセール(練習モード)」を利用レジの売上記録を行わないモードで実際に販売処理を行うPOSであっても、練習モードや開封返品などを使って売上を抜く
③ 売上データの一部削除閉店後に日次売上データの一部を意図的に削除・編集スーパーマーケットなどで夜間にレシート記録を削除するケース
④ 返品処理の乱用実際には返品がないのに、返品処理として売上をマイナス計上商品を返されたように偽装して帳簿上の売上を減らす
⑤ 売上分を“預かり金”や“前受金”として処理実際に売ったのに、仕訳上はまだ売っていないように処理工事業や分割請求で、意図的に売上タイミングを後ろ倒しにする例
⑥ カード決済分だけ帳簿化現金売上だけ帳簿外にし、カード・電子マネー決済分のみ記帳POSにカード連携しているが、現金は手動処理して省く場合あり
⑦ 一部の店舗だけ非連携にする本部POSにデータを送信しない支店・仮設店を設ける移動販売・期間限定店舗などで本部システムと切り離す形態

🚫 注意

これらは過去に実際にあった事例をもとにした「不適切な売上操作の例」です。
当然ながら、現在の税制および政令70/2025の下では、明確な違反行為となるかと。

POSレジ義務化で「売上除外」が難しくなる理由は以下。

  1. リアルタイムで税務署へデータ送信される
  2. XML形式で記録され、改ざんが困難
  3. QRコード・署名付きで証拠が残る
  4. POSとインボイス発行が連動している
  5. 未発行は購入者から請求されることで露見しやすい

■ 改正ポイント②|POSレジの要件も明記されました
📌【引用:政令70/2025 第1条(第3条の定義補足)】

POS cash register means a billing system… that stores and transfers sales data to tax authorities.
(POSレジとは、販売データを保存し、税務当局に転送するシステム)

つまり、単にレジで金額が出るだけでは不十分。
電子的に販売記録を保存でき、税務署に送信できるPOSシステムが対象になります。

■ どんな事業者が対象になるの?

これ大事。

  • ✔️ レストラン・カフェ・バー

  • ✔️ コンビニ・小売店・スーパー
  • ✔️ 美容院・サロン・マッサージ
  • ✔️ 薬局・雑貨店・衣料品販売 など

共通点は、「エンドユーザーに直接商品やサービスを提供している業態」です。
特に現金決済が多い業種は、脱税リスクが高いと見なされがち。だからこそ、POSレジと電子インボイスの連携が求められているのです。

■ 実務担当者が今チェックすべきこと

  • ✅ 自社の売上が10億VND(約600万円)を超えているか?
  • ✅ POSレジが電子インボイスの形式(XMLなど)に対応しているか?
  • ✅ 税務署へのデータ送信ができる仕様になっているか?
  • ✅ 顧客へのインボイス発行手段(SMS、QR、メール)があるか?
  • ✅ POSベンダーと新制度に向けたアップデートについて話をしているか?

■ ひとこと

「POSからインボイス?そんなの大企業の話でしょ?」

そう思っていた小規模飲食店の方でも、売上が年々伸びていたら対象になるかもしれません。

逆に今のうちから対応しておけば、

  • インボイスの発行忘れがなくなる
  • 売上データの二重入力が不要になる
  • 会計との連携もスムーズになる

など、実務の手間が減るという嬉しい副産物もあります。

■ まとめますね

政令70/2025/ND-CPによって、POSレジは「ただのレジ」ではなく、
税務インフラの一部として扱われるようになります。

だからこそ今、
「うちのレジ、対応してるのかな?」と気になったタイミングが絶好の見直しチャンスです。

POSレジ対応に関して不安な方は、チェックリストPDFやPOSベンダー確認シートなどもご用意しています。
お気軽にマナラボにご相談くださいね!

それではまた、マナラボの菅野でした!