こんにちは!マナラボの菅野です。
皆さんは「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」という言葉を聞いたことがありますか?企業が自社の中で行っている業務を外部に委託する仕組みですが、このBPOがいま、AI(人工知能)と出会い、劇的な変化を遂げています。
今日は、JAFCOが発表した『投資仮説レポート第2号:AI×BPO〜LLMが革新するアウトソーシングの未来〜』をもとに、その変化をわかりやすく解説します。
勉強のもとネタは以下です!
https://www.jafco.co.jp/event/archive/002593.html
この記事のもくじ
BPOの歴史と進化:1970年〜2030年をざっくり!
まずは歴史を見てみましょう。以下の表も参考ください。
①黎明期:1970年代〜1990年代
この時期は、製造業を中心に物流や生産工程が外注化されました。特に、欧米企業が人件費削減のためインドなどの国へ業務を移転(オフショアアウトソーシング)する流れがスタートしました。
②IT化時代:2000年代〜2010年代
ITの普及で、経理や人事などのバックオフィス業務にもBPOが拡大。さらにクラウドサービスやSaaS(サービスとしてのソフトウェア)が登場し、業務効率化やコスト削減が進みました。
③AI時代:2020年代〜2030年
AI、特にChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の登場で、BPOは次のステージへ進化しています。「効率化」だけでなく、これまで外注が難しかった知的業務まで外部委託可能になりつつあります
我々のような会計・税務の業界においてこのAI時代とどう向き合っていくか? また企業にとってはどこをどうBPOするのか?ということについて大きな変換期に突入していると言えます。 ものすごい変化ですね。
🤖 AIはBPOに何をもたらす?2つの大きな変化
AIがBPO市場にもたらす変化を具体的に見ていきましょう。これは以下の図を見ながら考えるとスッと入ってきますよ。

図を見ると「経理」業務はAIというかSAASがすでに自動化するレベルの話でした。もちろん既存のSAASをAIがより便利にすることは間違いないのでAIが無関係だとは思いません。
①既存業務の効率化:AIによる定型業務の自動化
経理業務や給与計算、顧客対応(FAQ)など、比較的定型的な業務をAIが自動化します。例えば、会計記帳や税務申告なども自動処理が進み、作業時間が劇的に短縮されます。
事例1:Vic.aiによる経理業務の自動化
Vic.aiは、AIを活用して請求書処理や経費精算などの経理業務を自動化するプラットフォームです。同社の導入事例では、以下のような効果が報告されています:
請求書処理時間の大幅な短縮
人為的ミスの削減
業務効率の向上
これにより、経理担当者はより戦略的な業務に集中できるようになりました。
事例2:Basisによる会計業務の自動化
AIスタートアップのBasisは、会計業務の自動化エージェントを開発し、以下のような成果を上げています:Reuters
- 仕訳入力やデータ精度の検証などの業務を自動化
- QuickBooksやXeroなどの会計ソフトとの連携
- 大手会計事務所での導入により、作業時間を最大30%削減
これにより、会計士はAIが処理した結果をレビューすることに専念できるようになったんだとか。
②新しい業務領域のアウトソース化
AIは、これまで難しかった高度な知的業務(市場分析や広告コピー作成、経営戦略立案サポートなど)を外注可能にします。人間の専門性とAIの高速処理能力を組み合わせることで、より質の高いアウトソースが実現可能になります。
この領域だと考えられる事例は以下。
事例3:Orby AIによる経費監査の自動化
Orby AIは、従業員が提出した経費報告書の監査を自動化するソリューションを提供しています。導入企業では、以下のような成果が報告されています。
- 監査率を100%に向上
- 手動レビュー時間を95%削減
- 不正検出による400万ドルのコスト削減orby.ai
これにより、企業はコンプライアンスを強化し、財務リスクを低減することができました。
事例4:Shyft Global Servicesによる市場分析の支援
Shyft Global Servicesは、AIを活用して市場分析や顧客体験の向上を支援しています。あるテクノロジー企業では、以下のような取り組みが行われました:shyftservices.com
- 顧客のオンボーディング体験やソフトウェアの利用状況を分析
- クラウドサブスクリプションの更新状況を把握
- 得られたインサイトを製品マーケティングやライフサイクルチームに提供
これにより、企業は製品機能の改善や顧客サポートの強化につなげることができました。
これらの事例から、AIは定型業務の効率化だけでなく、従来は外注が難しかった高度な知的業務のアウトソース化にも貢献していることがわかります。会計事務所やBPO事業者は、AIを活用することで、より付加価値の高いサービスを提供できるようになるでしょう。
今後もAI技術の進化により、BPO業界はさらなる変革を遂げることが予想されます。企業はこれらの動向を注視し、適切な戦略を立てることが求められます。
「AI BPO」の概念とそのメリット
AI BPOは、AI技術と人間の専門知識を融合させた次世代アウトソーシングです。AIが業務のベースラインを作り、人間がチェックや高度な判断を行うことで、精度の高いサービスを効率よく提供できるようになります。
会計事務所への影響と未来の変化
会計事務所にとって、この変化は大きなチャンスだと捉えることだってできます。具体的には、以下のような変化が予想されますね。
- 仕訳や記帳の自動化が標準に:AIを導入することで日々のルーティン作業が激減し、業務効率が大幅に改善されます。人が苦手とするところ(いわゆる人的なミス)を得意とするのがAIです。
- 専門性の高いアドバイザリー業務へシフト:AIに単純業務を任せることで、会計士は企業の経営戦略サポートや税務相談など、より価値の高いサービスに集中できるようになります。AIは優秀ですが、語弊を恐れずに言えば人間は優秀じゃないことが多くあります。とくに専門外のことはAIがテキスト化しても理解できない人が多くいると思います。そこに寄り添っていく専門家のニーズが高まるかもしれません。
- 新サービスの開発:AIを駆使して「リアルタイム会計モニタリング」「AIを活用した税務予測サービス」など、新たな価値提供が可能になるでしょうね。非エンジニアでもアプリなど作れちゃう時代です。アイデアはたくさんある! けれでもITのコストが数千万円するから諦めていた。という人も多いのかなと思います。そういった専門家についてはこの流れはいい流れなはずです。私もいっぱいアイデアはあるのでAIとともに便利なツールを作っていけたらなと思います。
>>話すだけでアプリ完成!?バイブコーディングで使える初心者向けAIツール
まとめ
AIとBPOの融合は、単なる効率化以上の革新をもたらしています。特に会計事務所にとって、AI BPOの波を捉えることは、未来の競争力を高める大きなチャンスです。私たちマナボックスも、AI技術を活用した新しい顧問型BPOサービスを積極的に推進していきたいと思っています。
これからも最新の動向をお伝えしますので、ぜひお楽しみに!
それではまた次回!