こんにちは!マナラボの菅野です。
電子インボイス、便利だけど……やっちゃいけないミスって、意外とあるんですよね。
しかも、「あっ、出しちゃったあとに気づいた…」ってことも現場ではよくある話です。
今日はそんなときに大事なテーマ――
「このインボイス、修正で対応していいの?差し替えなの?そもそも放置してていいの?」
というお悩みにしっかり答えていきます!
この記事のもくじ
🧾 電子インボイスの修正って、どんなときに必要?
インボイスに「修正が必要」なケース、実は限られています。
「名前ちょっと間違えた」レベルなら通知だけで済むこともあるんですが――
税務に影響するようなミスは、きちんと修正対応が求められます!
修正が必要なエラーの代表例(税務・会計処理に直結するもの)
パターン化できます。
エラー内容 | 処理が必要? | 対応方法 |
---|---|---|
税コードの誤り | ✅ 必須 | 修正 or 差し替え |
金額の誤記(合計、単価、税額など) | ✅ 必須 | 修正 or 差し替え |
税率・税額のミス | ✅ 必須 | 修正 or 差し替え |
商品名や内容の誤り | ✅ 必須 | 修正 or 差し替え |
買手の「名前・住所」のみ誤記(税コードは正しい) | ❌ 不要 | 通知のみでOK(再発行不要) |
📌 根拠条文で確認!
根拠も確認しましょう。
📜 政令123/2020/ND-CP 第19条第2項 b)
「電子インボイスにおいて、税コード、金額、税率、税額、または記載された商品が誤っている場合、
修正または差し替えのいずれかの方法により対応できる。」
📜 通達78/2021/TT-BTC 第7条
「エラーが再発した場合、初回に適用した処理方式(修正 or 差し替え)を継続して使用すること。方式の切替やキャンセルは不可。」
つまり、「どっちで対応するか最初に決めたら、それを最後まで貫いてくださいね」というルールです!
修正方法は2パターン!違いをしっかり理解しよう
電子インボイスの誤りを正す方法には、大きく分けて
- 「修正(調整)」
- 「差し替え(再発行)」
の2つがあります。どちらを使うかは、誤りの内容や範囲によって判断します。
1. 修正インボイスを発行する(調整方式)
- 元のインボイスをそのまま残しつつ、間違っていた部分だけを正す方法です。
- 金額の増減は、正の値・負の値で記載します。
- 明細にはこう書きます:
「インボイスフォームNo.…、記号…、番号…、発行日…に対する調整」
この方法が向いているのはこんなとき:
- 税率や金額の一部にだけ誤りがある場合
- 一部の商品情報(例:単価や数量など)に限定した修正で済む場合
- 商品やサービス内容そのものは正しいが、計算や表示のミスがあった場合
2. 差し替えインボイスを発行する(再発行方式)
- 元のインボイスを無効にして、新しく発行し直す方法です。
- 新しいインボイスには新しい番号と記号が付きます。
- 明細にはこう書きます:
「インボイスフォームNo.…、記号…、番号…、発行日…に対する差し替え」
この方法が向いているのはこんなとき:
- 商品やサービスの内容がそもそも違っていた場合
- 数量・種類・単価など、複数の項目にわたって大きく誤りがあった場合
- 元のインボイスの内容を修正するより、ゼロから作り直した方が明確で確実な場合
このように、「修正」か「差し替え」かを判断するには、
ミスが部分的か/全体的かを見極めることが大切です。
修正処理のステップ(実務手順)
ざっくりとはなりますが以下のようになります。
✅ Step 1:エラーの確認と判定
税コード?金額?税率?商品?どこが間違っているか特定しましょう。
✅ Step 2:修正 or 差し替えの選択
上記のルールに従って、どちらで処理すべきかを判断します。
✅ Step 3:必要であれば合意書を準備
✍️ 売手と買手で事前合意がある場合は、書面にて誤りの内容を明示することが望ましいです。
✅ Step 4:修正 or 差し替えインボイスを発行・署名
- 電子署名付きで発行
- 税務署コード付きインボイスの場合は、再度コード取得が必要
✅ Step 5:税務署へ通知(様式04)
- 様式名:04/SS-HĐĐT(政令123号付属IA)
- 修正・差し替えした旨を税務署に報告する義務があります!
注意!修正・差し替えインボイスはキャンセルできません!
たとえば、こんなケース👇。
F0(元インボイス)に間違い → F1で修正 → でもF1も間違ってた!
このときに…
- 修正で対応したなら → F2も「修正」で対応
- 差し替えで対応したなら → F2も「差し替え」で対応
要は整合性を気にしてねってことです。2回も連続で間違えないで!って感じはしますけどね。
途中で方式を変える(修正→差し替えなど)
❌修正・差し替えインボイスを「取消」することはできません!
まとめ:現場対応チェックリスト
詳細チェックリストです。
チェックカテゴリ | チェック項目 | 確認内容・アクション | ✔ |
---|---|---|---|
① エラーの有無と内容確認 | インボイスに誤りがあるか? | 内容を目視・データで確認(発行後の控え、会計ソフト等) | |
誤りは税務・会計に影響するか? | 金額、税率、税コード、商品名など重要項目かどうか | ||
誤りの内容は何か? | 以下から該当項目を確認: – 税コード誤記 – 金額ミス – 税率・税額ミス – 商品情報の誤り | ||
② 処理方法の判断 | 修正方法の選択は正しいか? | 修正 or 差し替えのどちらが適切か判断(軽微なら修正、広範なら差し替え) | |
初回対応が修正 or 差し替えだったか? | 過去に調整済なら同じ形式を継続(方式の切替は不可) | ||
氏名・住所のみの誤記で、税コードが正しい場合か? | → 通知のみで再発行不要(政令123 第19条第2項a) | ||
③ 合意書の有無 | 売手・買手間で合意は取れているか? | 書面で「誤りの内容」と「修正内容」を記載(特に金額等の修正時) | |
調整議事録を作成したか? | 作成済・未作成・不要のいずれかを確認 | ||
④ 修正インボイスの作成 | インボイスの形式は正しく選択されたか? | 「調整」または「差し替え」で明記されているか | |
対象インボイスの情報を明記しているか? | 「対象:フォームNo.… 記号… 番号… 発行日…」の記載あり | ||
増減の記載形式は正しいか? | 調整インボイス:増額は「+」、減額は「−」で記載 | ||
電子署名は行われたか? | 電子署名済みであること(署名日と作成日の差異にも注意) | ||
⑤ 税務署への通知(様式04) | 様式04/SS-HĐĐTを作成したか? | 政令123附属IAの様式に従い誤りを記載 | |
提出期限は守られているか? | 調整インボイスが属するVAT申告期の末日までに提出 | ||
税務署へ電子送信したか? | 電子インボイスシステム経由またはポータルで送信済 | ||
⑥ インボイス管理と保管 | 修正記録と元インボイスを一緒に保管しているか? | 会計資料とあわせてファイリング or 電子保存 | |
修正・差し替えの履歴は明確に整理されているか? | F0 → F1 → F2など、変更履歴が残っている |
実務レベルですね。細かい。
使用フォーム・文書名リスト
以下のフォームがあります。
種別 | フォーム名 | 備考 |
---|---|---|
エラー通知・報告書 | 様式04/SS-HĐĐT | 政令123/2020/ND-CP 附属IAに準拠 |
調整議事録(任意) | VATインボイス修正議事録 | 自由形式だが明確な内容と双方署名が必要 |
税務署からの指摘通知 | 様式01/TB-RSĐT | 税務署が誤りを通知する際に使用 |
運用上のアドバイス
- 修正 or 差し替えは「どちらかを最初に選んだら、その後も統一」
- 軽微なミスでも、税額に関わる場合は慎重に対応
- 様式04は「後回し」になりがちですが、出さないと罰則の可能性もあり
- 処理のたびに「誰が・いつ・何を修正したか」を記録に残すクセを
最後にひとこと
「ちょっと数字違ってたかも…」「商品名にスペルミスが…」
そんなときに慌てず対応するためには、ルールを知っておくことが一番の安心材料です。
電子インボイスは「出して終わり」じゃなくて、「間違ったときにどうリカバリーするか」も含めて管理する時代。
マナラボでは、そんな“ちょっとしたミス”にもやさしく寄り添います😊
それではまた、マナラボの菅野でした!