日本人がベトナムで働くときに必要な書類、それが「労働許可証(Work Permit)」です。

ビジネスビザを持っているだけでは、仕事をすることは基本的にできません。

正式に働くためには、労働・傷病兵・社会問題省や、各省の労働局(DOLISA)が発行するこの証明書が必要です。

今日は「労働許可証」がない場合には法律上はどうなるの?というお話しです。あくまでも法律上のお話しです。

その前提としてどんな場合に労働許可証が必要か?です。

原則として「外国人がベトナムで労働契約に基づいて働く場合、原則として労働許可証が必要である。」です。ただ例外として免除される場合があるだけです。

>>ベトナムの労働許可証免除制度:申請が必要なケースと報告のみでOKなケースを解説!

マナボックスの新しい顧問支援とは?
マナボックスの顧問支援ではベトナム会計・税務、法務の雛形も提供しています!法務Q&Aデータベースも閲覧可能です。ぜひサービスをご利用ください。 >>マナ・ビジネス・顧問の6つの特徴を見る!

マナボックスが提供するコミュニティ一覧はこちらから!

日本人が労働許可証がないとどうなるの?

では労働許可証が必要なのにそれを取得していなかった場合どうなるんでしょう?

📘 根拠:政令12/2022/ND-CP 第32条 第3項

外国人が以下のような場合にあたると、罰金15,000,000〜25,000,000 VND(日本円で約9〜15万円くらい?)が科されます:

  • 労働許可証を持たずに働いた
  • 「許可がいらない」という証明書を持たずに働いた
  • 有効期限が切れた労働許可証を使って働いた

さらに…

📘 同 第32条 第5項:

「上記のような違反があった場合、**国外退去(強制送還)**の対象になります。」

👀 つまり、ルールを守らずに働くと、ベトナムから出国させられる可能性があるということです。

雇用主(会社)にも罰則があります!

会社にもあるんですよね。

📘 政令12/2022/ND-CP 第32条 第4項、および 第6条

労働許可証がない外国人を雇った企業には、以下のような罰金が科されます。

違反人数事業主(個人)
法人(企業)※罰金は倍額
外国人雇用状況の報告遅れや内容の誤り1,000,000〜3,000,000 VND
2,000,000〜6,000,000 VND
1〜10人30,000,000〜45,000,000 VND
60,000,000〜90,000,000 VND
11〜20人45,000,000〜60,000,000 VND
90,000,000〜120,000,000 VND
21人以上60,000,000〜75,000,000 VND
120,000,000〜150,000,000 VND

法人とは「会社や企業」のこと。罰金は個人の2倍になります。

全体を表にすると以下のような感じ。ベトナムにおける外国人労働に関する違反と罰則一覧(政令12/2022/ND-CP 第32条)

区分

違反内容罰則備考
雇用主

外国人雇用の報告を怠る・誤る・遅れる

1,000,000〜3,000,000 VND第32条 第1項 a)
雇用主

労働契約書の原本/コピーを提出しない

同上第32条 第1項 b)
雇用主

労働許可証や免除証明に反して外国人を雇用

1人あたり5,000,000〜10,000,000 VND(上限:75,000,000 VND)第32条 第2項
雇用主

労働許可証なし・期限切れで外国人を雇用

下記参照第32条 第4項
┗ 1〜10人の場合同上
30,000,000〜45,000,000 VND
 
┗ 11〜20人の場合同上
45,000,000〜60,000,000 VND
 
┗ 21人以上の場合同上
60,000,000〜75,000,000 VND
 
外国人労働者労働許可証/免除証明がない状態で就労15,000,000〜25,000,000 VND第32条 第3項 a)
外国人労働者有効期限切れの許可証等で就労同上第32条 第3項 b)
外国人労働者上記の違反をした場合の追加処分国外退去(強制送還)第32条 第5項

📌 補足:

  • 法人(企業)が違反した場合、罰金は上記の「個人に対する罰金の2倍」となります(第6条 第1項)。
  • 書類不備・報告漏れも「軽微な違反」として罰則対象となります。

罰則が出せる「期間=時効」はどれくらいなの?

📘 政令12/2022/ND-CP 第5条、第6条
📘 行政違反処理法2020年改正 第6条

以下を参照。

政令12/2022/ND-CP 第5条

労働・社会保険・海外労働者に関する行政違反の処理については、「行政違反処理法」の規定に従う

行政違反処理法(2020年改正)第6条 第1項 a号:

「行政違反の時効は原則1年である。
ただし、以下の分野においては時効は2年とする:
税務/会計/建設/知的財産/環境保護/土地/水資源/原子力/禁制品の製造・販売 など」

基本的に、違反があっても1年以内に見つからなければ、行政処分(罰金など)はされません。

ただし、税務や建設など特別な分野は「時効が2年」とされることがあります。

📝 でも、だからといって「バレなければいい」という考えはNG!もし違反が見つかれば、企業の信頼やビザの延長にも影響するでしょう。

やっておきたい!かんたんチェックリスト

簡単ですけどチェックリストの紹介をしますね。

  • □ 労働許可証が必要な外国人が働いていないか?
  • □ ビジネスビザだけで業務をさせていないか?
  • □ 労働許可証の有効期限が切れていないか?(ギリギリで気がつくケースは結構あります)
  • □ 「労働許可証が不要」のケースでも、証明書等をきちんと取得しているか?

まとめ|“知らなかった”ではすまされない

日本人(駐在や現地採用を問わず)をベトナムで働かせるときには、「労働許可証」というルールをきちんと守ることがとても大切です。

  • 労働者にとっては、安心して働ける証明
  • 企業にとっては、信頼と安全な運営につながる

ビザがあるだけでは「合法」ではないということを、ぜひ覚えておいてくださいね。