こんにちは!マナラボの菅野です。
「税務調査が入ります」という通知、もらったことありますか?
ある日突然、税務署から通知が届いて「えっ、うちが対象?」と慌てた企業さん、実は少なくないんです。
この記事のもくじ
ベトナム進出企業が知っておくべき「7ステップ」と「10日のルール」
今回のテーマは「ベトナムで事業をしているなら、絶対知っておきたい」税務調査・検査の流れと期限について。
調査は避けられない。でも、準備と理解次第で“安心して迎え撃つ”ことはできます。
なぜあなたの会社に税務調査が入るのか?
「ちゃんと納税してるのに、なんでうちが?」
そんな声をよく聞きます。でも、ベトナムの税務調査は下記のような基準で動いています。まあ必ず入ると思ってください。
- 税法違反の兆候(過去に遅延、控除ミスなどがあった)
- 税務リスク評価(赤字継続、関連当事者間取引が多い等)
- 通報・苦情・国家監査からの指摘
- 年次スケジュールに基づく定期調査
📚 【根拠】税務管理法2019 第113条
「税務当局はリスク管理・苦情・行政監査の結果に基づき、税務検査・調査を行うことができる」
実は“予告あり”!毎年の調査対象はこうして決まる
調査は完全にランダムではなく、実は年次でしっかり選ばれています。きちんとプランニングはしてるんですね。
ステップ | 内容 | 期限目安 |
---|---|---|
GDTから通達 | 各地方税務局へ方針提示 | 10月15日 |
地方→管轄税務署へ実施指示 | 11月1日 | |
納税者リストの作成と送付 | リスク評価にもとづく | 11月25日 |
最終承認と企業への通知 | 12月15日まで |
現地調査の流れ「7つのステップ」とは?
いよいよ本題。調査対象に選ばれたら、こんな流れになります👇
Step 1|税務署が調査決定 → 3営業日以内に通知
調査が決まると、正式な決定通知(決定書)が3営業日以内に届きます。
【根拠】通達80/2021/TT-BTC 第71条
Step 2|事前通知(通常5〜10営業日前)
「いつ行きますよ〜」という調査予定通知。これが来たらまず社内で会議!
延期申請も可能ですが、正当な理由がある場合のみ最大3ヶ月。
Step 3|現地調査スタート
検査(Kiểm tra):10営業日以内
調査(Thanh tra):最大45営業日(複雑な場合は延長あり)
📚 【根拠】税務管理法 第115条
Step 4|「説明してください」通知(01/KTT)
内容に不備があれば、税務署から「説明or補足をお願いします」という通知が来ます。
📆 通知から10営業日以内に対応が必要!
📚 【根拠】通達80/2021/TT-BTC 第71条第3項
Step 5|再通知(03/KTT)はこれがラストチャンス!
追加資料や説明が不十分だと、税務署は2回目の通知を出します。
📆 再通知からも10営業日以内に対応しないとアウト!
➡ これ以上の催促はありません。最大2回の通知で終わりです。
📚 【根拠】同第4項
Step 6|報告書作成 → 同意or不同意の署名
税務署は調査結果をまとめ、報告書を作成します。
企業はその内容に「同意」または「不同意(理由付き)」で署名。
Step 7|処分決定 → 7〜30営業日以内に通知
違反があると判断されれば、追加納税や罰則の決定書が出ます。
通知は2営業日以内に届きます。
表でもまとめます。
ステップ | 内容 | 期限 | 根拠条文 |
---|---|---|---|
Step 1 | 税務署が調査を決定し、調査決定通知を発行 | 通知は決定日から3営業日以内 | 通達80/2021/TT-BTC 第71条 |
Step 2 | 調査予定日が通知される(事前通知) | 通常5〜10営業日前(延期申請は最大3ヶ月) | 実務慣行/同上通達 |
Step 3 | 現地での調査を実施 | Kiểm tra(検査):10営業日以内 Thanh tra(調査):最大45営業日(延長可) | 税務管理法2019 第115条 |
Step 4 | 税務署から説明・資料補足の依頼通知(01/KTT) | 通知日から10営業日以内に対応 | 通達80/2021/TT-BTC 第71条第3項 |
Step 5 | 再度通知(03/KTT)が来ることも(最大2回まで) | 同じく10営業日以内に対応 | 同 第71条第4項 |
Step 6 | 税務署が報告書を作成し、企業が確認・署名 | 調査終了後、企業は同意/不同意を選択 | 通常プロセス |
Step 7 | 処分決定書が発行される | 決定は7〜30営業日以内、通知は2営業日以内 | 税務管理法2019 第75条 |
こんな感じ。
あなたの会社が説明しないとどうなるの?
10営業日を過ぎても反応しないと…
- 税務署が強制的に税額を決定(ấn định thuế)
- 根拠不足なら本社での再調査や将来の監査対象に登録
📚 【根拠】通達80/2021/TT-BTC 第71条第4項
調査に備える!3つのリアル対策、ヘルスチェックも大事!
税務調査は、事前準備が9割です。いざ調査が入ってから慌てるのではなく、日常業務のなかで「備えておくこと」が最大の防御になります。ここでは、実際の現場でよくある“つまずき”を踏まえたリアルな3つの対策をご紹介します。
①書類は「整理」より「説明できる状態」で
ただ帳簿がそろっているだけでは不十分です。
税務署が注目するのは、「この数字、どうやって出したのか?」「この契約に基づいてこの支払いで合ってるのか?」という根拠の明確さです。あと重要なのが「事業関連性」です。
- 会計仕訳と請求書、契約書の紐づけ
- 項目ごとの証憑(証明書類)フォルダ分け
- ベトナム語での説明書類が用意できるかも大事
② 経理チームと専門家の税務顧問の“月次連携”を習慣に!ヘルスチェックも大事
「税務顧問にすべて任せてるから大丈夫」と思っていませんか?
でも、顧問は日々の現場をすべて把握しているわけではありません。大事なのは、社内と社外をつなぐ定期的な情報共有です。
- 月1回の経理レビュー会議
- 新しい契約や取引スキームがある場合は事前相談
- 過去の調査履歴や指摘事項も洗い出しておくと◎
税務ヘルスチェックも大事です。
>>ベトナム税務ヘルスチェックとは? 企業の税務リスクを未然に防ぐ方法
>>税務ヘルスチェックの考え方 「武器」を配りたいの意味【トレードオフだ!】
③ マインドセット⭐️
ベトナムの税務リスクについての心構えです。
これが一番大事かも! 税務調査の結果、指摘がゼロは基本ありえません。その前提を
>>【M-Labo】限定動画 税務調査のテクニック【行動経済学、心の会計を利用する】
また弊社お客様限定のコンテンツを「駐在員塾」で提供しています。税務調査の対応などもかなり詳しく、実務も踏まえて説明していますよ。
税務調査は、「来てから考える」では遅いです。
でも、今日からできる小さな準備を積み重ねるだけで、対応の“安心感”は大きく変わりますよ!