こんにちは!マナラボの菅野です。
今回は、ホーチミン市ビンチャン区のアパート管理組合が、**なんと119億VND(約6,500万円)**という巨額の罰金を科されたという、衝撃のニュースをご紹介します。以下のニュースが元ネタ。
「え、管理組合の話でしょ?うちの会社には関係ないよね?」と思った方。
実は、日系企業の社宅契約や駐在員の住居費精算にも関係大アリなんです!
この記事のもくじ
事件の概要:水道代にVATインボイスを出さなかった!管理組合がインボイス違反で罰金」ってどういうこと?
ニュースの舞台は、ホーチミン市ビンチャン区にある「コニック・サウスイーストアジア・アパートメント」。
その管理組合が、水道代などのサービスに対してインボイス(付加価値税の請求書)を発行していなかったとして、税務署から厳しい行政処分を受けました。
なんと罰金額は119億VND(約6,500万円)。大きな金額
>>ベトナムのインボイス違反で最大数百万円の罰金!? 日系企業が知っておくべきたった一つの注意点【125/2020/ND-CPのまとめ】
なぜインボイスを出さなかったのか?私なりの仮説を少しだけ…
ここからは公式には語られていませんが、実務的な感覚からいくつかの背景を推測してみます。
① 単なる誤解:「非営利だから税金は関係ない」
これはよくある話です。
管理組合のような住民組織は、「利益を出していないから課税対象ではない」と思われがちです。
でも、**サービスを提供してお金を受け取っているなら、それは立派な”課税対象”**なんですね。
シンプルに言えば、「お金を取っているなら請求書を出しなさい」ということです。
② 実務的な対応力不足
管理組合って、会計の専門家がいるわけじゃないことも多いです。
水道業者から請求を受けて、それを住民に分配するだけ…という運用をしていると、
「住民から徴収=売上」という意識がないまま、税務申告をしないで進んでしまうこともあります。
③⭐️(ちょっと怖いですが)意図的に税金を避けた? これ??
これも全然あり得ない話ではありません。十分あり得ます。
インボイスを出さなければ、付加価値税(10%)も法人税もかからない。つまり、徴収した水道代を”まるっと税務署にバレずに保有できる”という仕組みができてしまうわけです。
もちろん、断定はできません。
でも、罰金がここまで高額になった背景には、**「継続的な違反」や「悪質性」**があったと見られます。
購入者側視点:日系企業が気をつけるべき3つのリスク
これ、管理組合だけの問題で終わりではありません。
日系企業も次のような形で巻き込まれる可能性があります。
- 駐在員の住居手当として家賃や管理費を会社が負担している
- その費用を法人税の経費として計上している
- でも実は、インボイス(=正式な請求書)が出ていなかった
…という流れ、けっこうよくあるんです。
つまり、経費(損金)にできないリスクがあるということ。
税務調査の時に「インボイスは?」と聞かれて、「あ、ありません」となると、それはもうアウトです。
他者の失敗から学べることはたくさんあります。
リスク | 説明 | 対応策 |
---|---|---|
経費否認のリスク | VATインボイスがない場合、法人税申告上の経費として認められないことがあります | 月額の家賃・水道代などについて、必ずVATインボイスを取得 |
税務調査時の指摘リスク | 管理費や水道代の支払いにインボイスがないと、税務署に疑われる要素になります | 毎月の経費処理時に、仕訳・領収書・インボイスをセットで保管 |
会社・個人が「共犯扱い」される可能性 | 故意でない場合も、相手先の非申告行為に関与したと見なされることも(※厳密には相手の違反だが巻き込まれ得る) | 管理組合や貸主に**「インボイスの発行が義務です」と確認・通知**しておくことが重要 |
実は…日系企業でも「インボイス未発行」のケースはあるかも?
ここまで読んで「いやいや、うちは日系企業だし、そんなミスはしないでしょ」と思った方。
実はですね…そうとも言い切れないんです。
私たちが関与した案件の中でも、日系の飲食店で、以下のようなことが起きていました:
- 売上はしっかり現金やカードで受け取っている
- でも、VATインボイスはまったく発行していない
- 「手続きが面倒だから」「お客さんが請求しないから」といった理由で放置
このパターン、特に個人オーナー型の飲食店で見られがちです。
そしてここが重要なのですが、法人格を持っている日系企業であっても、
「インボイスを発行していない=納税していない」と見なされれば、税務調査で大きなリスクになります。
シンプルに言えば…
「お金はもらったけど請求書は出してないです」って、
たとえるなら「電車に乗ったけど切符買ってません」みたいな話なんです。
小規模なら見逃されてきたかもしれませんが、今後はそれも難しくなります。
注意すべきなのは、「お客さんが請求しないから大丈夫」ではないということ
飲食店のお客さんは、観光客や一般消費者が多いですよね。だからインボイスを求められることは少ない。でも、それを理由に「発行しない」状態が続くと…
税務署にとっては“売上を隠している”ように見えるんです。
繰り返しますが、インボイスの発行は義務です。
「請求されたら出す」のではなく、「提供したら出す」のが原則です。
飲食業などのB とCの日系企業が見直すべきことリスト
チェック項目 | 理由 |
---|---|
売上に対してインボイスを発行しているか? | 出していなければ脱税扱いのリスク |
POSシステムにVATインボイス機能はあるか? | 仕組みがないと日々の発行が困難 |
スタッフに「インボイス発行は必須」と教育しているか? | 現場任せだと抜け漏れが |
「インボイスを出さなかったら、どこかでバレる」
それが最近のベトナムの税務環境です。
特に、ベトナムは今「デジタルで全部つながる社会」への転換期にいます。
飲食でも不動産でも、現場がゆるくても、データではしっかり追跡されるようになってきているんですね。
というわけで、
「まさかうちが対象になるとは…」なんて言葉が出る前に、
一度、自社のインボイス発行状況を確認してみることをオススメします。
さいごに:経費処理も、人付き合いと一緒で「透明さ」が大事です
今回のニュース、無視できないなあとは思いました。
「まさか管理組合がここまで罰せられるなんて…」という驚きと同時に、
「きちんとインボイスをもらう文化が、まだ根付いていないな」という危機感も。
会計や税務って、「細かいけど大切なマナー」みたいなところがありますよね。
最初にきちんと整えておけば、後からトラブルになりません。
では、まとめます。
- 管理組合でもインボイスを出さなければ罰金対象になります(当たり前)
- 非営利だからといって、税務義務がないわけではありません
- 日系企業も「インボイスの有無」で経費が否認されるリスクがあります
- 契約時に「インボイス発行の可否」を確認しておくことが大切です
「うちも確認したほうがいいかも…」と思った方は、
マナボックスまで気軽にご相談くださいね。
現地の実務と法律をちゃんと踏まえて、分かりやすくお伝えします!