ラボの菅野です
シンガポールの監査法人が電子署名(署名画像やデジタル署名)のみで署名した決算書をベトナムで公式に使用する場合、公証➡SAL認証➡ベトナム大使館認証➡翻訳とベトナム外務省認証という領事認証プロセスでいくつかの注意点があります。
この記事のもくじ
ステップ1:シンガポールでの書類の公証手続き
シンガポールで作られた会社の書類(たとえば決算書やBizFileなど)は、そのままでは外国で使えません。まず、「これは本物の書類です」と公的に認めてもらう必要があります。
そのためには、シンガポールの**公証人(こうしょうにん)**という法律の専門家に書類を見せて、「本物です」と書いてもらいます。これを「公証(こうしょう)」といいます。
- 自分がサインした書類なら、その場でサインして見せる必要があります。
- 会社の書類のコピーなら、元の書類を見せて、「コピーは正しいです」と認めてもらいます。
ステップ2:シンガポール法律協会(SAL)での認証取得
公証人が「本物の書類です」と認めてくれたら、次は**SAL(シンガポール法律協会)**に行きます。
SALでは、「この公証人はちゃんとした人です」という証明をしてくれます。これがないと外国では通用しません。
SALに書類を持って行くと、「アポスティーユ」という特別なシールを付けて返してくれます。これで、「この書類は本当にシンガポールで正しく認められたものです」と示すことができます。
ステップ3:在シンガポール・ベトナム大使館での領事認証取得
SALでの手続きが終わったら、次はシンガポールにあるベトナム大使館に行きます。ただ、ベトナムでできる場合もあるようです。
>>シンガポール発行の会社書類をベトナムで使うには?認証をわかりやすくを解説!
そこでは、「この書類が本当にシンガポールの公的なものかどうか」をベトナム政府が確認してくれます。大使館で確認が終わると、またスタンプを押してくれます。これを「領事認証(りょうじにんしょう)」といいます。
この認証があると、ベトナムでの手続きに使えるようになります。
ステップ4:ベトナム語への翻訳と公証
最後に、シンガポールの書類は英語で書かれているので、ベトナム語に翻訳する必要があります。
さらに、翻訳した内容が正しいことをベトナムの公証所で認めてもらいます。これが「翻訳公証(ほんやくこうしょう)」です。
翻訳と公証が終われば、その書類はベトナムの役所や会社で正式に使える書類になります。
STEP1と2: シンガポール公証人・SALによる電子署名文書の取扱条件
公証人の要求:シンガポールのNotary Public(公証人)は通常、「原本への直筆署名」を基本としますcliffordchance.comdocusign.com。電子署名のみの文書を公証するには、原則として署名者本人が公証人の面前で署名するか、公証人が文書の真正な原本を確認する必要がありますcliffordchance.comdocusign.com。したがって、決算書に物理的な直筆署名がない場合、公証人はそのままでは認証できない可能性があります。
公証の実務対応:電子署名のみの決算書を公証する実務としては、次のいずれかの方法が取られます:
監査法人による原本再発行 – 監査法人に依頼し、代表者の直筆署名付きの紙の原本を再度発行してもらいます(最も確実な方法)。
関係者による宣誓供述 – 会社の代表者などが公証人の前で「この決算書は真正に発行されたものである」旨の宣誓供述書(Affidavit)に署名し、その宣誓書に決算書を添付して公証を受ける方法です。
真正なコピーの認証 – 公証人に電子署名付き決算書のプリントを提示し、原本確認用の手続を経て「原本と相違ないコピー (Certified True Copy)」として公証人の認証をもらいますnotarysingapore.sgnotarysingapore.sg。公証人は電子ファイル等の提示を求め、印刷物が改ざんされていないことを確認した上で認証する場合があります。