― 期間・対象・業種拡大の動きと企業が備えるべきこと ―
こんにちは。マナボックスのすげのです。
2025年3月8日、ベトナム政府が発行した政府決議46/NQ-CPの中で、企業にとってとても重要な一文がありました。
✅ 「財務省は、2025年の付加価値税(VAT)を一時的に2%引き下げる政令案を策定し、2025年3月10日までに政府へ提出すること。」
これを受けて、いま話題になっているのが「2025年7月から年末までのVAT2%減税案」です。
この減税案が本当に実施されれば、販売価格の見直し、会計処理、税務申告など、企業の実務に直結する動きがたくさん出てきます。
今回は、「今わかっていること」と「何を準備すればいいのか」を、やさしい言葉で、でも“実務に効く形”で解説していきます。
この記事のもくじ
1|今回の減税案の概要(政府決議46/NQ-CPより)
決議に明記されているのは、以下の内容です:
- 減税対象期間:2025年7月1日〜12月31日(予定)
- 現行10%のVATが 8%に引き下げられる
- 法人税・個人所得税・土地賃料などとの併せた支払猶予措置とともに、税負担軽減を目指す
- 対象業種については、一部の業種を追加で減税対象に含めることを財務省が検討中
この減税の背景には、内需を下支えする目的と、物価の安定化、企業支援があります。
なお、これは**過去に実施された減税(例:政令15/2022/ND-CP)**と似ていますが、業種の広がり方や対象期間が異なる点に注目です。
2|⭐️対象業種:「一部新業種も含まれる方向性」とは?
政府決議46号では、対象業種の具体名は明記されていませんが、次のように指示されています:
「財務省は、付加価値税の減税対象を拡大する方向で検討し、関連草案を関係機関に提出すること。」
過去の減税(政令15/2022/ND-CP)では、主に小売、飲食、製造業の一部が対象となっていました。一方で、情報通信業、鋳造金属、石炭や石油製品、化学品などは除外されていた経緯があります。
今回の草案検討では、これら除外されていた業種の一部が対象に含まれる可能性があると政府決議で明記されており、特に以下の業種が注目されています:
- 情報通信業(ITサービス、ソフトウェア提供など)
- 鋳造金属製品(建築資材や機械部品)
- 輸入石炭およびコークス・精製石油製品
- 化学製品(プラスチック、化成品など)
ただし、具体的にどの品目が含まれるかは、財務省が作成中の政令草案が公表されるまで未確定です。
とくにITなんかは日系企業が影響あるかもです。
3|企業が今から準備すべきこと
「発表されてから対応」だと遅いのがVAT減税。
なぜなら、請求書の発行や売上計上、契約単価の設定が“税率込み”で動いているからです。
企業としては、以下のような観点から早めの対応を進めることをおすすめします。まあ過去からずっと2%減税されてまるのでそこまで準備することはないです。ただ上記の通り範囲が変更している点は注意です!
会計・税務チーム
- 対象商品・サービスのコード分類の確認
- 7月1日をまたぐ取引(前受・後請・納品ズレ)に対する処理ルールをあらかじめ整備
- 会計ソフト・ERPへの税率適用設定の準備
営業・契約担当
- 見積書・契約書の税率欄を柔軟な表現に(例:「法令に基づく税率に従う」など)
- 取引先への周知資料・案内文のドラフト準備
管理者・経営層
- 影響金額の試算(売上/仕入/税額)
- 商品価格戦略の見直し(減税分を価格転嫁するかしないか)
- 月次申告・財務報告スケジュールの見直し
4|今後のスケジュール(予想される流れ)
これまでの主な流れ(法令ベース)
期間 | 法令 | 内容 |
---|---|---|
2022年2月〜12月 | 政令15/2022/ND-CP | 一部10%品目を8%に引下げ(初回) |
2023年7月〜12月 | 政令44/2023/ND-CP | 再実施(内容を一部変更) |
2024年1月〜6月 | 政令94/2023/ND-CP | 再延長中(2024年上半期) |
2025年7月〜12月(予定) | 未定(決議46/NQ-CPで指示) | さらなる延長案として提案中 |
つまり、8%税率は過去から続く“臨時税率”であり、2025年で3年目に突入することになります。
今後の流れの予想。
時期 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
2025年3月中旬 | 財務省が政令草案を提出 | 決議46号に基づく |
2025年5月〜6月 | 国会第9会期で審議 | 承認されれば正式決定 |
2025年7月1日 | 実施開始(予定) | 8%税率適用がスタート(引き続き) |
※上記スケジュールは政府決議・報道発表に基づくものであり、最終的には国会での承認が必要です。
おわりに:変化は“読む前に動く”
今回のVAT減税案は、制度そのものよりも、「変化への備え」が企業に問われるテーマです。
実務担当者としては、いまのうちから:
- 過去の減税経験をふり返る
- 自社に関係ありそうな業種・品目を洗い出す
- 社内の関係部署との連携を確認しておく
このあたりを意識するだけで、いざという時に慌てずに済みます。
マナボックスでは、法令発表後の草案翻訳や、業種別の減税影響分析なども行っております。
必要があれば、お気軽にご相談ください!
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📌 本記事は、政府決議46/NQ-CP(2025年3月8日発行)の公式文書に基づいて作成しています。
減税対象業種の確定は、今後財務省より公表される正式な政令をお待ちください。