こんにちは!マナラボの菅野(すげの)です。
今回は、2025年7月1日から施行されたベトナム国籍法の改正について、特に「ベトナム人の配偶者を持つ日本人」の立場から、分かりやすく・やさしく・正確に解説していきます。
改正内容は広範囲に渡っていますが、「実はこれ、日本人にも関係ある!」というポイントがいくつかあるんです! めっちゃ影響あるかもです。
この記事のもくじ
第1章:そもそも何が変わったの?
まず今回の改正は、正式にはこう呼ばれています。
Luật sửa đổi, bổ sung một số điều của Luật Quốc tịch Việt Nam
(=ベトナム国籍法の一部条文を改正・補足する法律)
この法律が2025年6月24日に国会で可決され、7月1日から施行されるようです
ポイントはひとことで言えば、
💡「もっと簡単に国籍を取れるようにしよう」
💡「だけど国家の安全や秩序には配慮しよう」
というバランスを取った改正です。
改正の柱はこの5つ!
- ✅ 国籍取得・回復の条件が大幅に緩和
- ✅ 一部の人は外国籍を保有したまま国籍取得可能に
- ✅ 「単一国籍原則」が法的に明文化(公務員や軍人など)
- ✅ ベトナム名+外国名の併用がOKに
- ✅ 電子申請制度も将来的に導入へ
第2章:配偶者がベトナム人なら、国籍取得はスーパー簡単!
ここが今回の改正の一番の注目ポイントです。
これまで、外国人がベトナム国籍を取得するには、
- ベトナム語をある程度理解していること
- ベトナムに5年以上住んでいること
- ベトナムで生活できるだけの経済力があること
といったけっこう厳しい条件がありました。
でも今回の改正で…
配偶者がベトナム国籍者である場合は、なんとこれらの条件がまるっと免除されることになりました!
🧾 根拠はここ!【第19条第2項】
「ベトナム国籍を申請する者が、ベトナム国籍の配偶者または実子を有する場合、以下の条件(言語・居住・生活能力)を満たさなくてもよい」
原文:
“Người xin nhập quốc tịch Việt Nam có vợ hoặc chồng hoặc có con đẻ là công dân Việt Nam thì có thể được nhập quốc tịch Việt Nam mà không phải đáp ứng các điều kiện quy định tại các điểm c, đ và e khoản 1 Điều này.”
つまり、日本人のあなたがベトナム人の奥さん(またはだんなさん)と結婚していれば、
ベトナム語が話せなくても、ベトナムに住んでいなくても、国籍申請できるんです。
どこに申請すればいいの?
- 日本に住んでいる場合は:在日ベトナム大使館・領事館へ
- ベトナムに住んでいる場合は:各地の法務局(Sở Tư pháp)へ
【第21条第1項】に明記あり
“Người xin nhập quốc tịch Việt Nam nộp hồ sơ cho cơ quan đại diện Việt Nam ở nước sở tại nếu cư trú ở nước ngoài.”
海外にいても申請OKなのが嬉しいですね!
💡「本当に通るの?」と不安なあなたへ
確かに、最終的には国家主席の決裁が必要です。
でもこの改正では、申請のフローも明確に定められていますし、
公安・法務・外交などの各部門が連携して審査する体制も整えられました。
以前よりも透明性が高く、実務的にも通りやすくなった印象です!
まとめ:配偶者がベトナム人なら、チャンスが広がった!
- ✅ 国籍取得のハードルがほぼゼロに
- ✅ 日本にいながらでも申請OK
- ✅ 書類提出で完結、試験も居住も不要
ということで、もしベトナムとのつながりを今後強めていきたいという方には、
この法改正は大きなチャンスになると思います!
第3章:まさかの二重国籍もOK?その真相と条件とは?
これまでは、ベトナム国籍法の原則として、
❗「一人の人が二つの国籍を持つのは基本的にNG」
という立場でした。
でも、今回の改正ではなんと、
一部の人に限って“外国籍を保持したまま”ベトナム国籍を取得することが可能になったんです!
📜 その根拠はここ!【第19条第6項】
「第2項および第3項に規定される者は、以下の条件を満たし、国家主席の許可があれば外国籍を保持しながらベトナム国籍を取得することができる」
原文:
“Người xin nhập quốc tịch Việt Nam quy định tại khoản 2 và khoản 3 Điều này được giữ quốc tịch nước ngoài nếu đáp ứng các điều kiện sau đây và được Chủ tịch nước cho phép…”
つまりどういう人が該当するの?
以下のいずれかに該当する人です:
- ✅ ベトナム人の配偶者や実子がいる外国人(第19条第2項)
- ✅ ベトナムにとって有益な貢献をした者(例:投資家、専門家など)(第19条第3項)
日本人でベトナム人の奥さんや子どもがいる方なら、まさにこの枠に当てはまります!
外国籍の保持が認められるための条件(2つ)
以下の2点を満たしていればOK:
外国籍の保持がその国の法律に違反していないこと
→ つまり、日本の国籍法で「自動的に喪失」とならなければ問題なし。その外国籍を使ってベトナムの秩序・安全・国益を侵害しないこと
【第19条第6項a・b】に明記
“Việc giữ quốc tịch nước ngoài phù hợp với pháp luật của nước đó”
“Không sử dụng quốc tịch nước ngoài để xâm hại an ninh, lợi ích quốc gia…”
🇯🇵 日本の国籍法との関係はどうなる?
ここがちょっと複雑です。
日本の国籍法(第11条)では:
🛑「原則として、二重国籍を持ったまま22歳を迎えることはできない」
🛑「20歳を超えたら、2年以内に国籍を選択する義務がある」
でも実際には、
✅ 自動で日本国籍を失うことはあまりない
✅ 「黙認されている」ケースもある(例:日本のパスポートでそのまま生活)
というグレーな運用が多いのも事実です。
どうすればいいの?
- 💡 日本とベトナムの両方の国籍に関するルールを理解しておくこと
- 💡 書類上は整合性をもたせて(特に名前や生年月日)、リスクを抑える
- 💡 万が一のトラブルに備えて、領事館や専門家に事前相談するのがベター
📝 まとめ:二重国籍、可能性が広がった!
- 配偶者や子どもがベトナム国籍なら、外国籍の保持も認められる可能性大!
- 国家主席の許可が必要だけど、法的には道が開かれた
- 日本側のリスクにも注意しつつ、慎重に準備しよう
第4章:どうやって申請するの?必要書類と流れを完全解説!
「条件が緩和されたのはわかった。でも、実際にどうやって申請するの?」
ここからは、実務的な手続きの流れと必要書類について、しっかりご案内します。
📍申請はどこで行うの?
これは居住地によって分かれんだとか。
🇻🇳 ベトナム国内に住んでいる人
→ 各省の**法務局(Sở Tư pháp)**へ提出します。🌍 日本など国外に住んでいる人
→ 在外ベトナム大使館・領事館へ提出します。
【法第21条第1項】
“Người xin nhập quốc tịch Việt Nam nộp hồ sơ cho cơ quan đại diện Việt Nam ở nước sở tại nếu cư trú ở nước ngoài.”
つまり、日本在住でもOKなんです!これはありがたいポイントですね。
必要書類はこれだ!(標準パターン)
【法第20条および第24条】を参考にまとめると:
- 申請書(定型フォーマットあり)
- 出生証明書、パスポートなどの本人確認書類
- 本人の履歴書(quá trình cá nhân)
- 司法記録証明書(無犯罪証明):
- ベトナム国内の分はベトナム公安局から
- 海外滞在分は滞在国の発行機関から
(※発行日から90日以内であること) - ベトナム語能力証明書(※対象者のみ)
- ベトナムにおける居住証明書類(※対象者のみ)
- 生活保障に関する書類(収入証明など)(※対象者のみ)
「対象者のみ」とは?
前章で説明したように、配偶者がベトナム国籍者の場合などは、
✅ ベトナム語能力
✅ 居住歴
✅ 生活能力
といった条件が免除されるので、上記⑤⑥⑦は不要です!
【法第20条第2項】
“Được miễn các giấy tờ tương ứng với điều kiện được miễn.”
書類も減って、グッとラクになりますね。
⏱ 審査のスケジュール感は?
こちらも条文で具体的に決められています。
【法第21条・第25条】などをベースにしたおおまかな流れ:
申請書類提出
↓公安による本人調査(最大30日)
↓人民委員会→法務省→国家主席へ回付
↓国家主席が最終決定
↓✅ 国籍取得決定書が発行される!
補足:電子申請ってできるの?
現時点では完全電子化ではありませんが、将来的にオンラインでの申請が可能になる方針です!
【法第39条第7項】
“Chính phủ quy định về việc thực hiện giải quyết hồ sơ quốc tịch trên môi trường điện tử.”
✅ まとめ:用意するのは意外とシンプル!
- ✅ 申請書類はパターン別で明確
- ✅ ベトナム人配偶者がいれば、大幅に簡略化
- ✅ 審査スケジュールも条文で保証されていて安心
第5章:ベトナム名+日本名のハイブリッドが可能に!名前の自由度がすごい
国籍取得で意外と見落とされがちなのが…「名前の問題」。
「ベトナム国籍を取るなら、名前も“グエンさん”にしなきゃいけないの?」
そんな疑問、ありますよね。
でも今回の改正で、これが大きく変わりました!
🧾 条文ではこう書かれています【法第19条第4項】
「ベトナム国籍を取得する者は、ベトナム語またはベトナムの少数民族語による名前を持たなければならない。ただし、外国籍も保持する者は、ベトナム名+外国名の併用が可能」
原文:
“Trường hợp người xin nhập quốc tịch Việt Nam đồng thời xin giữ quốc tịch nước ngoài thì có thể lựa chọn tên ghép giữa tên Việt Nam và tên nước ngoài.”
つまり、こういう名前が合法的に使えるということ:
📘 決定書にもそのまま載ります
この名前は、最終的な国籍取得決定書(Quyết định cho nhập quốc tịch Việt Nam)に正式に記載されます。
なので、パスポート、国民IDカード(Căn cước công dân)、税番号など、あらゆる公式書類でこの“併用名”を使うことが可能になります。
🏦 実務上はどんな影響があるの?
💼 銀行口座の開設
→ 外国籍保持者のままでも、ベトナム国内の銀行でベトナム名+ローマ字併記がしやすくなる!
🏘 不動産契約や法人登記
→ 氏名の一貫性が保たれるので、後々の名義トラブルが減る!
🧾 税務番号や保険証
→ 名前の登録統一が図れることで、重複登録やエラーを防止できる!
じゃあベトナム名はどう決める?
これは本人の自由です!
- 既存のベトナム姓(Nguyen, Tran, Pham など)を使ってもいい
- 音や意味に合わせて創作してもOK
- 配偶者の姓を使っても問題なし!
ちなみに「名字+ミドルネーム+名前」の形式が一般的なので、例えば:
なども自然な形です。
まとめ:自分らしい名前をベトナムでも!
- ✅ 外国名との併用が公式に認められた
- ✅ 書類手続きの整合性も取りやすくなった
- ✅ ビジネス、家庭、日常生活すべてで利便性アップ!
名前ってアイデンティティの一部ですからね。この改正は、地味だけどとても嬉しいポイントです!
第6章:注意点と活かし方。国籍を持つと何ができて、何に気をつける?
「よし、国籍も取れるし、名前も自由。手続きも簡単になったし、やってみようかな…」
…ちょっと待ってください!
制度が整ったからこそ、そのメリットとリスクを正しく理解することが大切です。
ここでは、ベトナム国籍を取得したときにできること・できなくなること、そして注意点を整理してみましょう。
国籍を持つとできるようになること
🛂 1. 長期滞在・無制限の出入りが可能に
→ 外国人のようにビザを更新する必要なし!
🧑🏫 2. 教育・医療・社会保障へのフルアクセス
→ 公立学校・国営病院・国民健康保険に正規加入できる!
🏡 3. 土地使用権の取得や企業登記がしやすく
→ 不動産取得や法人設立において、外国人枠ではなく「ベトナム人」として扱われる!
💼 4. ベトナム人配偶者と完全に対等な権利関係へ
→ 財産分与・相続・家庭内契約等の処理がより円滑に!
国籍を持つことで「気をつけたいこと」
🇻🇳 1. ベトナムでの義務も発生します!
税務登録(MST)
労働許可証が不要になる代わりに「住民としての義務」が発生
結婚・出生などの家族事項はベトナムの法律がフル適用
🇯🇵 2. 日本の国籍を自動で失うわけではないが…
日本国籍法第11条により、
「自発的に外国籍を取得した場合、日本国籍を失う」
とされてはいますが、実務上は「届け出がなければそのまま」というグレーな運用が多いです。
つまり:
- ✅ 実質的に二重国籍状態が存在し得る
- ⚠️ でも、日本でのパスポート更新や戸籍上の手続きに影響が出る可能性あり
🧾 3. 所得税・相続税など、税制上の居住判定が複雑に
- ベトナム国籍を取得し、居住日数が増えると「ベトナム居住者」として扱われる可能性あり
- 日本側でも「海外資産の申告」などが求められるケースも
すげの的アドバイス
📋 事前にチェックしたいことチェックリスト:
チェック項目 | コメント |
---|---|
✅ 日本国籍の取扱い | 喪失リスク、届け出義務は? |
✅ 税務の扱い | 二重課税、住民税との関係は? |
✅ 名前の整合性 | パスポート・銀行・登記は揃ってる? |
✅ 子どもの国籍 | 自動でどうなる?選択の手続きは? |
🧑⚖ 信頼できる士業(弁護士・行政書士・税理士)と相談しながら進めよう!
第6章まとめ:
- 国籍を取得すれば、ベトナムでの生活や事業展開がぐっと自由に
- ただし、日本側の法律や制度にも十分注意を!
- 最後は「自分と家族にとっての最適な選択は何か?」で判断を
第7章(最終章):まとめとQ&A。日本人配偶者が今、知っておくべきこと
ここまで読んでくださった皆さん、お疲れさまでした!
最後に、今回のベトナム国籍法改正の要点をギュッとまとめて、
よくある質問と一緒に、スッキリ整理しておきましょう。
✅ まとめ:今回の改正で何が変わった?
改正ポイント | 概要 | 引用条文 |
---|---|---|
🇻🇳 国籍取得の条件緩和 | 配偶者がベトナム人なら「言語・居住・生活」の3要件が免除 | 第19条第2項 |
🔁 二重国籍の可能性 | 国家主席の許可+一定条件で外国籍を保持したまま取得OK | 第19条第6項 |
📝 名前の柔軟化 | ベトナム名+外国名の併用が可能に | 第19条第4項 |
🗂 手続きの簡素化 | 書類の免除、在外公館でも申請可能 | 第20条第2項、第21条 |
💻 電子化の布石 | 将来的にオンライン申請導入へ | 第39条第7項 |
❓ よくある質問Q&A
Q1. ベトナムに住んでいないけど申請できる?
👉 はい、在日ベトナム大使館または領事館で申請可能です(法第21条)。
Q2. ベトナム語が話せなくても大丈夫?
👉 はい。配偶者がベトナム人であれば、語学要件は免除されます(法第19条第2項)。
Q3. 日本の国籍はどうなるの?
👉 **日本側では「自己申告制」**なので、自動で喪失はしませんが、国籍法第11条により外国籍取得は原則NG。
黙認されているケースもありますが、リスクは理解しておくべきです。
Q4. ベトナム国籍取得後、何か義務は?
👉 はい。納税・居住登録・兵役(※年齢・性別・状況により)など、**「国民としての義務」**が発生します。
Q5. 子どもの国籍はどうなるの?
👉 出生時に両親が合意して選べばどちらでもOK。合意できない場合、ベトナム国内で生まれた子はベトナム国籍になります(法第16条第2項)。
最後に:日本人配偶者が今、取るべき行動は?
- ✏ 国籍取得のメリット・リスクを整理する
- 📑 書類の整合性(名前・出生地など)をチェックする
- 🧑⚖ 必要に応じて、専門家に相談する
- 🕊 家族との将来の暮らし方(日本・ベトナムのどちらを拠点に?)を考える
おわりに:国籍は“選択肢”を広げるパスポート!
今回の法改正で、ベトナムはより開かれた国籍制度へと一歩進みました。
日本人であっても、「ベトナムで生きる」ことを選びやすくなる時代です。
大切なのは「国籍を取るかどうか」よりも、
**“自分の人生と家族の未来にとって、ベストな選択かどうか”**を考えること。
すげのは、そんな選択をするあなたを全力で応援しています!
📩 ご質問・ご相談があれば、ぜひマナラボへお気軽に!