~ダナン進出を考えるあなたに届けたい、特別政策のすべて~

こんにちは!マナラボの菅野です。

最近、「ダナンってよく聞くけど、進出するならどんなメリットがあるの?」っていうご相談が増えてきました。

たしかに、ホーチミンやハノイと比べて、まだまだ情報が少ないダナン。
でも実は今、ベトナム政府が“国家ぐるみ”でダナンを未来都市にしようとしている大改革が始まってるんです。

そのカギとなるのが、今回ご紹介する【ベトナム国会決議第136/2024/QH15号】。

簡単にいうと、

🌟「ダナンは特別ルールで動いていいよ。都市政府としても、経済特区としても、ベトナムの中で1歩先を行っていいよ」
っていう国会公認の“特区化宣言”です。

この記事のもくじ

まずは第136/2024/QH15号の全体像から!【条文構造一覧】

この決議は全部で18条、4章構成。かなりのボリュームですが、流れはシンプルです。重要な視点は、私たち日系企業にどんなインパクトがあるのか?です。

内容条文番号ポイント
第1章総則第1条~第3条用語の定義、対象、決議の範囲など
第2章都市政府の組織第4条~第8条人民評議会・人民委員会の役割と人事制度など
第3章ダナン市の特別政策の試行第9条~第15条👉 ここが本命!インパクトを知れる!投資・税制・FTZ・AI支援などがギュッと詰まってます
第4章実施・移行条項第16条~第18条施行日(2025年1月1日)・試行期間(5年)・既存制度との関係

第III章の中身をぐぐっと深掘りして、
「どこがどれだけ日系企業にチャンスなのか?」をひとつずつ解説していきます。

とくに、

  • 第12条:戦略的投資家の定義と優遇制度
  • 第13条:ダナン自由貿易区(FTZ)の設立と税制メリット
  • 第14条:AI・半導体・スタートアップ支援策
  • 第15条:給与制度の柔軟化

このあたりは「え、それもうベトナムじゃなくて“シンガポール化”じゃん!」ってレベルの中身です。なのでここを深堀り!

【第III章】ダナン市における特別政策の試行って?ダナンの本気度!

ここからが実質的な本丸です。

ダナンを本気で「国家戦略都市」にしていくための、税制・投資・行政の“特例パッケージ”が全部ここに詰まってます。

第12条:戦略的投資家って誰のこと?何がもらえるの?

「戦略的」と聞くと、ちょっと大げさに感じるかもしれません。
でもこの条文を読むと、ダナン市がどれだけ本気で「呼びたい企業とか人」を明確に決めてるかがわかります。

この条文、簡単に言うと──

「ダナンに本気で投資してくれる企業には、特別ルールと特別優遇をあげますよ!」

っていう**国家レベルの“特別待遇メニュー”**なんです。

 どんな企業が“戦略的投資家”になれるの?

戦略的投資家になるには、「この街を本気で支えるぞ」っていう気概とお金が必要です。

ベトナム政府が「ぜひ来てほしい」と思ってるのはこんな分野👇

分野最低投資額日本円換算(概算)
AI・IT・新素材・R&Dセンター等2兆VND1,200億円
半導体・電子・IC・バッテリーなど4兆VND2,400億円
FTZ(自由貿易区)内インフラ整備3兆VND1,800億円
川や港を活用した観光・水運事業8兆VND4,800億円
Lien Chieu港の超大型開発45兆VND2兆7,000億円

戦略的投資家になるには?

ただお金を出すだけじゃダメで、**「資本金」+「これまでの実績」**の両方が必要なんだとか。

たとえば…

投資分野最低資本金過去の実績条件
AI・R&D系5000億VND(約30億円)同分野で1兆VND以上(約60億円)
半導体やFTZ整備1兆VND(約60億円)同分野で2兆VND以上(約120億円)
水上観光2兆VND(約120億円)同分野で2兆VND以上
Lien Chieu港9兆VND(約540億円)同分野で25兆VND以上(約1,500億円)

登録・選定はどうするの?

① ダナン市が案件を電子調達システムで公開
② 投資家が申請
③ 市が審査して以下のように決定:

  • 応募1社のみ or 1社だけが基準クリア → そのまま承認!
  • 複数いても1社だけが戦略基準クリア → その1社を承認!
  • 複数社が全部戦略基準クリア → 入札などで選定!

💡 手続きはしっかりしてるけど、チャンスは明確に開かれてます!


どんな優遇があるの?

めちゃくちゃ手厚いです。

  • R&D費用の150%を損金として税金計算に反映OK

  • 税関手続き・税務手続きが優先レーンに!
     ※輸出入の金額条件はなくてOK

  • 土地は“リース料一括払い”で取得可能(柔軟!)

実行の義務もちゃんとある

戦略的投資家になったからといって、好きにやっていいわけじゃありません。

プロジェクトの種類投資完了の期限譲渡できない期間
一般的なプロジェクト(a〜c)5年以内に全額投入5年
観光関連(d)7年以内に全額投入7年
Lien Chieu港開発(đ)10年以内に全額投入10年

さらに、

  • 地元の人の職業訓練支援
  • 地元雇用の優先
  • 先端技術の導入・移転

…こうした「地域に貢献する姿勢」も求められます。

達成できなかったらどうなる?

  • 条件未達成 → 優遇措置はなし!
  • 責任もちゃんと問われます。

【第13条】ダナンFTZの正体とは?国家が認めた“特別区”の全貌!

次の内容はその**“制度の受け皿”=自由貿易区(FTZ)**にあたります!


🌐 ダナンFTZって何?

決議第136/2024/QH15号では、**Lien Chiểu港と連携する新しい特区=ダナン自由貿易区(FTZ)**の設立を正式に定めています。

キーワードは:

✅ 明確な地理的境界
✅ 外部と隔離された非関税ゾーン
✅ 投資・貿易・観光・高付加価値サービスのハブ


どんなエリアがあるの?

条文では、FTZを構成するエリアを以下のように定義しています:

  • 製造ゾーン(khu sản xuất)
  • ロジスティクスセンター(trung tâm logistics)
  • 商業・サービスゾーン(khu thương mại – dịch vụ)
  • その他、法令で定める機能エリア

これらはすべて外部と「物理的にフェンスで隔離」され、税関や国家機関が輸出入・取引を完全に監視・管理できるようになっています。

つまり、**国内⇄FTZ、国外⇄FTZ間の物流はすべて“輸出入扱い”**になります。

誰が作るの?どうやって設立されるの?

設立〜運用まで、しっかりした手続きが定められています:

フェーズ誰がやる?内容
設立・拡張首相設立の最終承認を行う
計画調整ダナン市人民委員会都市計画の修正・整合を建設省と連携して進める
投資承認市人民委員会各ゾーンへのインフラ整備プロジェクトを承認

 土地の取り扱いは?用計画に載っていない場合でも、計画追加が可能(市議会承認で)

そして…

FTZインフラを整備する投資家は、市から直接土地を借りられる!
再リースする入居者も、工業団地と同じ権利を持てる!


どんな投資優遇があるの?優遇税制など

これがかなりすごいです!まとめると以下のようになります。

優遇項目内容備考/対象日系企業への影響度
法人所得税(CIT)EZと同等の免税・減税措置(例:4年免税+9年50%減税)実際の適用は政令次第★★★★★
土地使用料の免除・軽減長期リースで免除・軽減ありインフラ事業者/入居企業ともに対象★★★★☆
VAT・関税・特別消費税の非課税FTZ内の取引や輸出入で非課税となる可能性国内⇄FTZ⇄海外すべて輸出入扱い★★★★☆
投資登録手続きの簡素化(外資)投資登録証(IRC)の事前取得が不要で設立可日本企業の現地法人設立が楽に★★★★☆
優遇制度の選択自由複数優遇条件に該当した場合、有利なものを選択可税・土地・信用・会計の各法分野にまたがる★★★☆☆
関税・税務手続きの優先制度通関・納税の事務が優先処理対象に輸出入額の条件は適用外★★★☆☆
土地リースの柔軟化市から直接借地でき、競売なしで取得可能特にインフラ開発系の日系事業者に有利★★★☆☆
入居企業の法的地位確保再リース企業にも工業団地と同等の保護長期運営の安定性が増す★★★★☆
公共インフラ整備への市の支援FTZ関連インフラへの市予算投入が可能間接的恩恵あり。物流・上下水・電力等★★☆☆☆
  • 最も影響が大きいのは「法人税の優遇」:特に製造業・IT・ロジスティクス系の日系企業にとって、投資判断を左右する重大項目。
  • 土地関連の制度(使用料・リース・再リース)も高評価:長期進出・現地固定資産の取得を伴う事業者には追い風。
  • 行政手続の簡素化も日系企業にとって嬉しいポイント:設立の初期障壁が下がることで、リードタイムが大幅短縮。
  • インフラ整備支援は間接的ながら重要:サプライチェーンや従業員の居住環境に効いてくる要素です。

ダナン市のハイテクパーク・工業団地管理委員会」が運営します。

彼らがFTZの運営・許可・審査・管理を一括して担うことが決議で定められています。

具体的には…

  • 投資登録証(IRC)の発行・修正・取消
  • 建設許可・都市計画の審査
  • 環境影響評価・環境許可
  • 外国人労働者の許可発行・雇用計画承認
  • 原産地証明(CO)の発行

💡 中央省庁レベルの手続きをダナン市内で完結できるようにしたのが最大のポイントです!

国と市の役割分担も明確

  • 中央政府:政令の整備・制度の補完・最終判断
  • 各省庁:指導・監督・助言
  • ダナン市:実行と報告、管理ルールの整備

:FTZは“制度の受け皿”、投資家の「安心装置」

第12条で見た「戦略的投資家への特典」は、この第13条で設けられたFTZという制度の器があるからこそ成り立ちます。

✅ 外資が安心して投資できる仕組み
✅ 行政の一元化と税制優遇
✅ そして都市レベルでの柔軟な運用

…これらすべてが、国会決議で保証されているというのが何よりの安心材料です。