ベトナムでは、企業が債務免除(xoá nợ/免除や放棄)を受けた場合、その免除額は会計上「債務免除益」として計上され法人所得税(thuế TNDN)の課税対象となりますvbpl.ts24.com.vnvbpl.ts24.com.vn

しかし、債務超過や破産状態の企業ではこの法人税を支払えないケースが多く、税務当局は未納税額を破産債権として届け出たり、税務管理法の規定(例えば2019年税務管理法第85条)に基づき**税金債務の帳消し(xoá nợ thuế)**を行います。以下、ベトナム国内で実際に発生した外資系企業または現地法人企業の具体的事例を、日本語で整理します。

3つの事例をご紹介します。その前にまずは理論から(法律と実務に乖離はあるのですが)

「清算」でなく「破産」した場合に残った税務の債務を帳消し(ベトナム税務当局があきらめる)

 1. 破産した企業は税金債務を帳消しにできるのか?

税務管理法2019(第38/2019/QH14号)第85条第1項に基づき、以下のように規定されています:

税金・延滞金・罰金の帳消しが可能なケース:

  1. 破産が宣告された企業または協同組合が、破産法に基づく支払いを完了し、かつ、税金・延滞金・罰金を支払う資産が一切残っていない場合。

  2. 死亡、または裁判所により死亡と認定された、あるいは民事行為能力を失ったと認定された個人が、相続財産を含めて、税金や延滞金、罰金を支払う資産を有していない場合。

  3. 上記1・2に該当しない場合でも、税務当局が税務管理法第125条第1項gに基づく強制執行措置を講じたにもかかわらず、納税期限から10年以上経過し、回収不能と判断された税債務(税金・延滞金・罰金)

👉 上記のように、破産手続が完了し、かつ税金を支払う資産が残っていない場合、破産した企業は未納の税金を帳消しにすることが可能です。

2. 破産企業が税金債務の帳消しを申請する際の必要書類は?

財務省通達80/2021/TT-BTC 第65条第2項a号によると、破産企業・協同組合が申請する際には以下の書類が必要です:

📄 帳消し申請に必要な書類一覧:

  1. 帳消し申請書(Mẫu số 01/XOANO)
     - 通達80号付属様式Iに準拠

  2. 破産宣告決定書(企業または協同組合)
     - 原本または税務機関の認証を受けた写し

  3. 執行官(破産管財人)による資産分配報告書
     - 税債務の回収可否が明記されたもの(原本または税務機関の認証付き写し)

  4. 民事執行機関による「破産宣告決定の執行停止決定書」
     - 原本または税務機関の認証付き写し

  5. 帳消し申請時点での未納税金通知書
     - 原本または税務機関の認証付き写し

👉 これらの書類は、税務局に対して正式に提出する必要があります。

3. 破産企業の税金を帳消しにできるのは誰か?

税務管理法第87条第1項により、帳消しを決定できる権限者は以下の通りです:

✅ 税債務の帳消し決定を行う権限者:

  1. 省レベル人民委員会(Ủy ban nhân dân cấp tỉnh)の委員長は、以下のケースで税金、延滞金、罰金の帳消しを決定する権限を持つ:

 a) 税務管理法第85条第1項および第2項に該当するケース(破産企業、死亡個人など)
 b) 家計経営者、小規模事業者、個人事業者等が第85条第3項に該当する場合
 c) 第85条第3項に該当する企業・協同組合で、未納税金等が5,000,000,000ドン未満

  1. 税務総局長または関税総局長は、以下のケースで帳消しを決定する権限を持つ:

 - 第85条第3項に該当し、未納税金等が5,000,000,000ドン以上10,000,000,000ドン未満の企業・協同組合


法律上の結論:

破産手続を終えた企業で、資産が一切残っておらず、税金を支払えない場合には、未納の税金・延滞金・罰金を帳消しにすることができます。
🏛 帳消しの決定権限は、原則として省レベル人民委員会の委員長が持ちます(債務額により上位機関が決定することもあります)。

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