こんにちは!マナラボの菅野です。

「昼食手当って、昔は上限730,000ドンまで非課税だったよね?」

はい、それ、確かに昔の話です。

でも今――そのルールは2025年6月15日をもって役目を終えました。

>>「え、もう730,000ドンじゃ足りない?」―2025年ベトナム昼食手当の新常識とは?【ベトナム個人所得税の論点】

しかも、その後どう扱えばいいのか、企業にとってはちょっとモヤモヤする部分が多かったんですよね…。

そんな中、ついに!バクニン省税務局が正式な見解を出してくれました。それが、今回ご紹介する 文書番号945/BNI-QLDN1(2025年7月22日付) です。

この記事では、「これからの昼食手当をどう処理すればいいの?」という疑問に、税務局の公式文書をベースにやさしく解説していきます。

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1. 昼食手当の基本 ― おさらい程度でOK!

昼食手当(mid-shift meal allowance)は、交替勤務中の食事提供のために企業が支給するもの。

以下の3つの形態があります:

  1. 自社調理や外部ケータリング

  2. 弁当・食券の配布

  3. 現金支給

税務上、③現金支給がもっとも慎重な対応が求められるのはご存知のとおりですね。


2. あの730,000ドンルールはどこへ行った?

長年使われていた「730,000ドンまで非課税」ルールは、通達26/2016/TT-BLĐTBXHに基づいていました。

ところが2025年6月15日、この通達が通達003/2025/TT-BNVにより正式に廃止

代わりに、政令44/2025/NĐ-CPが施行され、「食事手当は社内規程や労働協約に基づく」とされたんです。


3. じゃあ、今は何を基準にすればいいの?

結論から言うと、国が一律で「この金額までなら非課税」と決めてくれる時代は終わりました。

これからは企業が、自らルールを整備し、それに基づいて支給すればOKという仕組みに変わったんです。

でも、ここで大事になるのが、「整備されたルールの有無」と「そのルール通りに運用されているかどうか」です。

4. そして出た!バクニン省税務局の見解【文書945/BNI-QLDN1】

本題です。
2025年7月22日付の文書945/BNI-QLDN1で、バクニン省税務局はシフト間食事手当に関する個人所得税(PIT)の扱いについて、はっきりと次のように述べています。

ケース①:会社が食事を提供する場合(自社調理 or 弁当)

非課税扱いOK!

会社が食事を直接提供するなら、金額の上限に関係なく、従業員の課税所得には入りません。

ケース②:会社が現金を支給する場合

以下の2つに分かれます。

A)社内規程・労働協約が整備されていて、明確な金額・条件がある場合

非課税扱いOK!

つまり、たとえば「○○部門は月額1,000,000ドンを支給する」「交替勤務者のみ対象」といった条件が、きちんと社内文書に明記されているかどうかが問われます。

B)社内規程がない、あるいは金額が不合理なほど高い場合

その支給分はPIT課税対象になる可能性が高い!

税務局は「社内ルールがないまま、現金をバラまく」のを認めていません。
また、「月5,000,000ドンの食事手当」なんて金額を払っていたら、「それ本当に食事?」と疑われてもしかたありません。

5. 適用タイミングも超重要!

税務局の文書には、はっきりとこう書かれています:

「このルールは 2025年6月15日以降 の支給から適用する」

つまり、それ以前は従来の730,000ドンルールを守っていたかどうか、
それ以降は**“整備された社内ルールがあるか”がカギ**になるということです。


6. 企業がすぐにやるべきことは?

バクニン省税務局の方針をふまえて、今企業がすべきことは以下の3つです。

✅ ① 社内規程を整備する

  • 昼食手当の支給対象者、金額、頻度を明文化
  • 団体協約就業規則に組み込むのが理想

✅ ② 労働者代表との合意の証拠を残す

  • 議事録、通知メール、ポスターなど、合意形成の証跡を保管

✅ ③ 実支給額が規程通りかチェック

  • 税務調査では「支給額と規程が一致しているか?」が真っ先に見られます


7. まとめ:ルールは終わった。これからは「昼食手当は自分たちで決める」時代へ

  • ✅ 2025年6月15日以降、「730,000ドン上限」の時代は完全に終了
  • ✅ 現在は、自社のルールがしっかりしていれば非課税も可能
  • ✅ ただし、「整備されているか」「合理性があるか」が問われます

食事手当をただ“配る”のではなく、
“説明できるカタチ”で支給する時代が、いよいよ始まりました。

 参考リンク・法令出典