こんにちは!マナラボの菅野です。
今日はベトナムで外国人を雇う会社さんや、これから進出を考えている方にとっても大事な新ルールのお話です。

2025年8月7日から施行された政令219/2025/ND-CP
名前だけ聞くと「なんだか固そう…」ですが、実はこれ、外国人労働者の労働許可証や免除証明書のルールをガラッと整理した法律なんです。

「許可証の申請って時間かかるし、書類も大変なんでしょ?」
「免除対象って結局誰なの?」

そんな疑問をスッキリさせるのが、今回の記事の目的です。

この記事では、政令219の全体像をわかりやすいチャートとともに解説し、
「どこが変わったのか」「日本企業や日本人にどう影響するのか」を一緒に見ていきます。

シンプルに言えば——
これまでバラバラだった手続きや条件を一本化して、期限や手順もハッキリさせたのが今回の政令です。
でも、もちろんメリットばかりじゃありません。思わぬ落とし穴もありますので、そこも包み隠さずお伝えしますね。

では早速、全体の構造から見ていきましょう!

この記事のもくじ

政令219/2025/ND-CP 構造マップ!

第1章 総則(第1条〜第6条)

  • 第1条 適用範囲
  • 第2条 適用対象(外国人労働者の形態・雇用者)
  • 第3条 職位の定義(管理者・経営責任者・専門家・技術者)
  • 第4条 発給権限
  • 第5条 領事認証・翻訳証明の規定
  • 第6条 電子申請・情報連携の規定

第2章 外国人労働許可証免除証明書

第1節 免除証明書の発給(第7条〜第10条)

  • 第7条 免除対象(15類型)
  • 第8条 発給申請書類
  • 第9条 発給手続き・通知義務
  • 第10条 有効期間(最長2年)

第2節 免除証明書の再発給(第11条〜第14条)

  • 第11条 再発給事由(紛失・破損・情報変更等)
  • 第12条 再発給申請書類
  • 第13条 再発給手続き
  • 第14条 再発給後の有効期間

第3節 免除証明書の延長(第15条〜第17条)

  • 第15条 延長申請書類
  • 第16条 延長手続き
  • 第17条 延長後の有効期間(1回のみ・最長2年)

第3章 労働許可証

第1節 発給(第18条〜第22条)

  • 第18条 発給申請書類
  • 第19条 職位別証明書類
  • 第20条 一部ケースでの申請要件
  • 第21条 有効期間(最長2年)
  • 第22条 発給手続き

第2節 再発給(第23条〜第26条)

  • 第23条 再発給事由
  • 第24条 再発給申請書類
  • 第25条 再発給手続き
  • 第26条 再発給後の有効期間

第3節 延長(第27条〜第29条)

  • 第27条 延長申請書類
  • 第28条 延長手続き
  • 第29条 延長後の有効期間(1回のみ・最長2年)

第4章 取消し(第30条〜第33条)

  • 第30条 労働許可証の取消事由
  • 第31条 労働許可証の取消手続き
  • 第32条 免除証明書の取消事由
  • 第33条 免除証明書の取消手続き

第5章 施行・経過規定・責任(第34条〜第36条)

  • 第34条 経過規定(旧制度からの移行措置)
  • 第35条 施行日(2025年8月7日)と旧政令の失効
  • 第36条 関係省庁・地方自治体の責任

それでは詳細に見ていきましょう!

第1章:一般規定


第1条 適用範囲

日本語全文
本政令は、ベトナムにおいて就労する外国人労働者、およびベトナム国内において外国人労働者を使用する雇用者に関する規定を定める。

すげの注釈

  • 対象は「外国人労働者」と「その使用者」の両方です。
  • 駐在員、外国籍の技術者、短期プロジェクト派遣など、日本人の多くもこの範囲に含まれます。

第2条 外国人労働者の就労形態

日本語全文
外国人労働者は、以下のいずれかの形態でベトナムにおいて就労する:

  1. 労働契約の履行;

  2. 企業内異動;

  3. 経済、商業、金融、銀行、保険、科学技術、文化、スポーツ、教育、職業教育および医療に関する契約または協定の履行;

  4. 契約によるサービス提供者;

  5. サービス提供の申し出;

  6. ボランティアとしての活動;

  7. 商業的プレゼンス(事業拠点)の設立責任者;

  8. 海外の機関、組織または企業からベトナムで勤務するために派遣された者(企業内異動を除く);

  9. ベトナム国内の入札パッケージまたはプロジェクトの実施への参加;

  10. ベトナムが加盟する国際条約の規定に基づき、ベトナムでの就労が認められた外国代表機関構成員の親族;

  11. 株式会社の取締役会長または取締役会員、有限責任会社の所有者または構成員で、その出資額が30 億VND未満の者;

  12. ベトナム国内の外国外交代表機関または国際組織との労働契約の履行。

すげの注釈

  • この分類は後の**第7条(免除対象)**と密接にリンクします。
  • 日本人の場合、1号(労働契約)、2号(企業内異動)、8号(海外本社からの派遣)が多いです。
  • 11号の「出資額30億VND未満」は金額基準なので注意。

第3条 職位の定義

日本語全文

  1. 管理者(nhà quản lý):企業法の規定に基づき企業を管理する者、または機関・組織の長およびその副である者。

  2. 経営責任者(giám đốc điều hành):機関、組織または企業の部門の長として直接運営を行い、その機関等から権限委譲を受け、かつベトナムで従事予定の職務に適合する分野で少なくとも3年の経験を有する者。

  3. 専門家(chuyên gia)
    a) 大学卒業または同等の学位を有し、ベトナムで従事予定の職務に適合する専攻分野で少なくとも2年の実務経験を有する者;
    b) 金融、科学、技術、イノベーション、国家デジタル変革または社会経済発展の優先分野においては、大学卒業以上で、適合分野で少なくとも1年の実務経験を有する者。

  4. 技術労働者(lao động kỹ thuật)
    a) 技術またはその他の職業分野で少なくとも1年の訓練を受け、かつその分野で少なくとも2年の実務経験を有する者;
    b) または、適合分野で少なくとも3年の実務経験を有する者。

すげの注釈

  • 「経営責任者」は今回新設。旧政令では定義がなく、工場長や事業部長も管理者扱いでした。
  • 専門家・技術者は経験年数が短縮され、採用の間口が広がります。
  • 管理者には年数要件はなく、職務権限の証明が重要です。

第4条 発給権限

日本語全文
労働許可証および免除証明書の発給、再発行、延長、取消しは、省レベルの人民委員会が行う。複数省またがる勤務の場合は、本社所在地の省が所管する。

すげの注釈

  • 窓口が省に一元化され、手続の経路は明確になりました。

  • ただし、省ごとに運用差があるため、事前確認は必須です。


第5条 領事認証と書類認証

日本語全文

  1. 外国で発行された労働許可証関連の書類は、原則として領事認証が必要。ただし、国際条約や相互主義、法令により免除される場合を除く。

  2. 領事認証済みの書類は、ベトナム語に翻訳し、公証(認証)を受ける必要がある。コピーの場合は原本と照合して認証後、翻訳・公証する。

すげの注釈

  • 日本発行の書類(卒業証明書、職務証明書など)は、通常ベトナム大使館での領事認証+翻訳公証が必要です。
  • 領事認証免除国リストに該当するかの事前確認で、手続き期間を短縮できます。

第2章 外国人労働許可証の免除証明書


第6条 労働許可証および免除証明書発給における電子取引の規定

日本語全文

  1. 雇用者は、外国人労働者の労働許可証および免除証明書の発給・再発給・延長申請を、国家公共サービス・ポータルを通じてオンラインで提出する。

  2. 国家公共サービス・ポータルは、ワンストップ制度および国家公共サービス・ポータルの規定に従って、所轄発給機関へ申請書類を送付する。

  3. 外国人労働者の委任を受けた雇用者が、労働許可証申請と同時に**司法記録証明書(無犯罪証明書)**をオンラインで申請する場合、次の手順による:
    a) 雇用者は労働許可証申請書と司法記録証明書申請書を同時に国家公共サービス・ポータルへ提出する。
    b) ポータルは所轄発給機関と所轄公安機関に書類を送付する。
    c) 公安機関は申請書を確認し、受理するか、補正を求めるか、不受理の場合は返送する。承認されれば、電子形式の司法記録証明書を発給機関へ送付する。
    d) 発給機関は書類を審査し、労働許可証と司法記録証明書を電子形式で雇用者に返送する。

※所要期間は、司法記録証明書と労働許可証の処理期間の合計となる。

すげの注釈

  • 手続きの電子化は大きな進展です。これまで別々に申請していた無犯罪証明と許可証が一度に可能になりました。

  • 実務では、電子申請しても原本提示が求められるケースが当面残ると思われます。


第7条 労働許可証免除の対象(15類型)

日本語全文
以下のいずれかに該当する外国人労働者は労働許可証が不要である:
(1)労働法第154条第3〜8項のいずれかに該当する者。
(2)有限責任会社に30億VND以上出資する所有者または出資者。
(3)株式会社に30億VND以上出資する会長または取締役。
(4)政府間合意に基づくODAプロジェクト等で専門・技術コンサルを行う者。
(5)外務省が認めた外国報道関係者。
(6)外国の機関等から派遣され、外国の外交機関または国際機関が設立を提案する教育機関で教員・管理者等として勤務する者。
(7)実習生・研修生として就業する者(国内外の教育機関所属を含む)。
(8)外交団構成員の親族で国際条約により就労が認められる者。
(9)国家機関や政治団体等で勤務する外交旅券所持者。
(10)商業的プレゼンスの設立責任者。
(11)国際条約に基づき無償で活動するボランティア。
(12)中央機関または地方機関が締結した国際協定を履行する者。
(13)管理者・経営責任者・専門家・技術労働者で以下の条件に該当する者:
 a) 年間90日未満の短期勤務
 b) WTO約束の11サービス分野における企業内異動(12カ月以上の事前雇用要件あり)
(14)教育省の確認を受け、国際教育プログラムの教員・研究者・学校管理者として勤務する者。
(15)各省庁または省人民委員会が確認した、金融・科学・技術・イノベーション・国家デジタル変革・社会経済発展優先分野で勤務する者。

すげの注釈

  • 旧制度の14類型から1つ増えました。
  • 特に(15)の追加は、AI・DX人材を呼び込みやすくする狙いです。
  • 免除でも「免除証明書」か事前通知が必要な場合が多いので注意。

第8条 免除証明書の申請書類

日本語全文

  • 申請書(フォーム01)
  • 健康診断書(12か月以内、相互承認条約国の場合は例外あり)
  • 写真(4×6cm)2枚
  • 有効なパスポート
  • 免除事由を証明する書類(第7条該当類型ごとに詳細規定あり)

すげの注釈

  • ほとんどのケースで雇用契約書や派遣文書が必要になります。
  • 相互承認国扱いでも日本は通常対象外です。

第9条 免除証明書の発給手続き

日本語全文

  • 就労開始予定日の60日前〜10日前に申請。
  • 処理期間:5営業日(不発給は3営業日以内に理由通知)。
  • 第7条特定類型(例えば短期就労や一部の国際条約)は通知のみで証明書発給不要。

すげの注釈

  • 「通知のみOK」の類型は、誤って証明書申請してしまう事例も多いです。
  • 通知期限(3営業日前)を守らないと違反になるため注意。

第10条 免除証明書の有効期間

日本語全文

  • 有効期間は関連契約や派遣文書に基づくが、最長2年。

すげの注釈

  • 契約期間が短ければその期間しか発給されません。
  • 実務上、再発給より延長の方が期間を長く確保できる場合があります。

第11条 免除証明書の再発給事由

日本語全文

  • 紛失または破損で使用不能になった場合
  • 氏名・国籍・パスポート番号・勤務地・雇用主名(ID変更なし)の変更

すげの注釈

  • 雇用主ID変更が伴う場合は再発給でなく新規申請です。


第12条 再発給申請書類

日本語全文

  • 申請書(フォーム01)
  • 変更事実を証明する書類
  • 有効な免除証明書(紛失時は不要)

すげの注釈

  • 勤務地や雇用主名変更は、契約書や商業登記簿等の添付が必須です。


第13条 再発給手続き

日本語全文

  • 所在地の省の公共行政サービスセンターに提出(直接、郵送、委託、代理可)
  • 公共行政サービスセンターが所轄発給機関に送付
  • 3営業日以内に再発給。不発給は理由通知

すげの注釈

  • 迅速ですが、不備があると差し戻しで倍以上かかることもあります。


第14条 再発給の有効期間

日本語全文

  • 元の証明書の残存期間が新しい証明書の有効期間となる。

すげの注釈

  • 有効期限がリセットされるわけではありません。


第15条 延長申請書類

日本語全文

  • 申請書(フォーム01)
  • 健康診断書(12か月以内)
  • 有効な免除証明書
  • 有効なパスポート
  • 免除事由を証明する書類

すげの注釈

  • 延長でも証明書類はほぼ初回と同じ内容が必要です。


第16条 延長手続き

日本語全文

  • 満了の45日前〜10日前に所在地の省に申請
  • 5営業日以内に延長。不承認は理由通知

すげの注釈

  • 延長申請期限を過ぎると新規申請扱いになります。


第17条 延長後の有効期間

日本語全文

  • 延長は1回のみ、最長2年。
  • 有効期間は第21条に準拠。

すげの注釈

  • 実質的に「免除証明書の最長利用可能期間は最大4年」という運用になります(初回2年+延長2年)。

第3章 労働許可証の発給・再発給・延長

第1節 労働許可証の発給


第18条 労働許可証の申請書類

日本語全文
労働許可証の発給を申請する場合、雇用者は以下の書類を準備する:

  1. 雇用者による「外国人労働者使用需要報告書兼労働許可証申請書」(本政令付録フォーム03)。

  2. 健康診断書(12か月以内、有資格医療機関発行。相互承認条約国発行の場合は有効期限内かつ条約適用)。

  3. 有効なパスポート。

  4. 無犯罪証明書または刑事訴追を受けていないことを証明する書類(発行から6か月以内)。※第6条第3項による連携申請時は除く。

  5. 写真(4×6cm、白背景、正面、無帽、眼鏡なし)2枚。

  6. 就労形態を証明する書類(第2条第1項各号に対応)。例:派遣文書、契約書、サービス提供契約等。

  7. 管理者・経営責任者・専門家・技術者であることを証明する書類(第19条参照)。

すげの注釈

  • ポイントは6番と7番。ここが不足・不適合で差し戻しが最も多いです。
  • 「使用需要報告書」と許可証申請を一体化したのは大きな改正で、事務負担は減ります。
  • 無犯罪証明は母国とベトナム両方が必要な場合があります(過去の居住期間による)。

第19条 管理者・経営責任者・専門家・技術者であることを証明する書類

日本語全文

  1. 管理者(nhà quản lý)
     - 会社定款+管理職の役職証明書(取締役会決議、任命書など)
     - または機関・組織の設立許可証+長または副長の任命書。

  2. 経営責任者(giám đốc điều hành)
     - 支店・駐在員事務所・事業所の登録証明
     - または組織構造規程+該当分野での3年以上の経験証明(外国雇用者発行)
     - ベトナムでの勤務経験がある場合、過去の労働許可証または免除証明書で代替可。

  3. 専門家(chuyên gia)
     - 大学卒業以上の学位+2年以上の経験証明
     - または特定分野(金融、科学、技術、DX等)の学位+1年以上の経験証明
     - 芸術・スポーツ分野や航空分野は専用資格証明も可。

  4. 技術者(lao động kỹ thuật)
     - 1年以上の職業訓練修了証+2年以上の経験証明
     - または3年以上の経験証明(職業訓練証なしでも可)
     - ベトナムでの勤務経験がある場合、過去の労働許可証または免除証明書で代替可。

すげの注釈

  • 「経営責任者」は政令152/2020にはなく、今回新設された職位定義です。
  • 専門家・技術者の「経験年数」の起算や分野適合性の判断は、地方労働局で解釈が分かれる傾向があります。

第20条 発給済み労働許可証保持者の特定ケースにおける申請

日本語全文

  1. 他の雇用者に同一職務・同一分野で就労する場合 → 新規発給申請が必要(書類は第18条の一部+現在の許可証写し)。
  2. 同一雇用者で職務や就労形態を変更する場合 → 新規発給申請(第18条所定書類+変更を証明する書類+現在の許可証写し)。
  3. 延長済み許可証で同一職務・同一分野に継続就労する場合 → 新規発給申請(第18条所定書類+現在の許可証写し)。

すげの注釈

  • 旧制度では「修正申請」で済んでいたケースも、すべて新規発給に一本化。

  • 実務ではこれが最も影響が大きい改正のひとつです。


第21条 労働許可証および免除証明書の有効期間

日本語全文

  1. 契約や派遣文書等に基づき決定するが、最長2年。
  2. 第7条14・15号該当の場合、各省庁や省人民委員会が確認した期間内(最長2年)。

すげの注釈

  • 有効期間は実質2年まで。長期契約でも自動的には延長されません。

  • 延長は別条(第29条)で「1回のみ最長2年」と規定されているため、同一条件で最長4年が限界です。


第22条 労働許可証の発給手続き

日本語全文

  1. 就労開始予定日の60日前〜10日前に、所在地の公共行政サービスセンターに申請(直接・郵送・委託・代理可)。
  2. センターが所轄発給機関に書類送付。
  3. 10営業日以内に審査し発給。不発給は3営業日以内に理由通知。
  4. 雇用契約が必要な形態(第2条第1項a・m号)の場合、発給後に契約締結し、写しを所轄機関へ送付。
  5. 同一雇用者で複数省で勤務する場合は、開始3日前までに追加勤務地の所轄機関へ通知。

すげの注釈

  • 処理期間は旧制度の「5営業日」から「10営業日」に延びましたが、実態に合わせた現実的な期限です。

  • 新制度では複数勤務地の事前通知義務が明文化され、違反すると罰則対象になります。

第2節 労働許可証の再発給


第23条 労働許可証再発給の事由

日本語全文
次の場合、有効な労働許可証(以下「許可証」)の再発給を行う:

  1. 許可証が紛失、または破損して使用できなくなった場合。

  2. 許可証に記載された以下の内容を変更する場合:
     - 氏名
     - 国籍
     - パスポート番号
     - 雇用者の名称(ただし雇用者の識別番号は変更しないこと)

すげの注釈

  • 雇用者の識別番号(事業者コード)が変わる場合は「再発給」ではなく新規申請扱いです。

  • 旧制度(政令152)では、勤務地や職務変更も再発給対象でしたが、新制度では新規申請に一本化されました(第20条)。


第24条 再発給申請書類

日本語全文
再発給を申請する場合、雇用者は以下の書類を提出する:

  1. 再発給申請書(本政令付録フォーム03)。

  2. 写真(4×6cm、白背景、正面、無帽、眼鏡なし)2枚。

  3. 第23条第2項に規定された変更内容を証明する書類。

  4. 有効な許可証(紛失の場合は不要)。

すげの注釈

  • 写真は発給時と同様の規格で、過去6か月以内に撮影したものが推奨です。

  • 変更証明書類は、パスポートの新旧コピーや改姓証明、法人名変更の登記簿謄本などが典型です。


第25条 再発給手続き

日本語全文

  1. 雇用者は、再発給申請書類を以下の方法で提出できる:
     - 直接、外国人労働者の勤務地の公共行政サービスセンターに提出
     - 公共郵便サービス経由で送付
     - 企業または個人に委託
     - 委任による代理人を通じて提出

  2. 公共行政サービスセンターは、ワンストップ制度に基づき、申請書類を所轄発給機関へ送付する。

  3. 所轄発給機関は、申請書類を受理してから3営業日以内に再発給を行う。
     - 再発給を行わない場合は、理由を明記した書面で回答する。

すげの注釈

  • 「3営業日」という短期間ですが、書類不備や確認待ちで延びることがあります。
  • 紛失の場合、警察への届出や理由説明書を求められる場合もあるため、早めの対応が重要です。

第26条 再発給後の有効期間

日本語全文
再発給された許可証の有効期間は、元の許可証の有効期間から、申請日までに外国人労働者が実際に就労した期間を差し引いた残存期間とする。

すげの注釈

  • 再発給では有効期限がリセットされません。
  • 例えば元の許可証が2年有効で、1年経過後に再発給する場合、新しい許可証の有効期限は残り1年です。
  • 長期の残存期間を確保したい場合は、再発給ではなく延長(第27条以降)を検討するのが有利なこともあります。

第3節 労働許可証の延長


第27条 延長申請書類

日本語全文
労働許可証(以下「許可証」)の延長を申請する場合、雇用者は以下の書類を提出する:

  1. 雇用者による外国人労働者使用需要報告兼許可証延長申請書(付録フォーム03)。
  2. 健康診断書(12か月以内、有資格医療機関発行。相互承認国発行の場合は条約条件に従う)。
  3. 写真(4×6cm、白背景、正面、無帽、眼鏡なし)2枚。
  4. 有効な労働許可証。
  5. 有効なパスポート。
  6. 外国人の就労形態を証明する書類(第18条第6項に準拠、a号該当者を除く)。
     - 例:派遣文書、契約書、サービス提供契約など。

すげの注釈

  • 健康診断書やパスポートの有効期限切れによる差し戻しは非常に多いです。期限管理は必須です。
  • 就労形態証明は、発給時と同じく「どの号に該当するか」を明確にして添付します。

第28条 延長手続き

日本語全文

  1. 許可証の有効期限満了日の10日前から45日前までの間に、延長申請を提出する。
     - 提出先は、外国人の勤務地の公共行政サービスセンター。
     - 提出方法は直接・郵送・企業委託・代理提出が可能。

  2. 公共行政サービスセンターは、ワンストップ制度に基づき、所轄発給機関へ書類を送付する。

  3. 所轄発給機関は、申請書類を受理してから10営業日以内に延長を承認する。
     - 不承認の場合は、理由を明記した書面を通知する。

  4. 第2条第1項a号およびm号に該当する形態の場合、延長後に雇用契約を締結し、その写しを所轄機関へ提出する。

すげの注釈

  • 申請期限(10〜45日前)は厳格運用される傾向があります。特に期限を過ぎると新規申請扱いになります。
  • 第2条第1項a号=労働契約、m号=外交団等の外国機関との労働契約です。
  • 複数省で勤務する場合の事前通知義務は発給時と同じです。

第29条 延長後の有効期間

日本語全文
延長後の有効期間は、第21条に定める有効期間に従う。ただし延長は1回のみ、かつ最長2年まで。

すげの注釈

  • 実務上は「発給時の最長2年+延長時の最長2年=合計最長4年」が限度です。
  • 4年経過後は、同一職務・同一雇用主であっても新規申請が必要になります(第20条参照)。
  • これは旧制度(複数回延長可)からの大きな変更で、日本企業にも直接的な影響があります。

第4章 労働許可証または免除証明書の取消し


第30条 労働許可証の取消事由

日本語全文
次の場合、労働許可証を取消す:

  1. 労働許可証の有効期限が、労働法第156条第2〜7項に従って満了した場合。
  2. 雇用者または外国人労働者が、本政令の発給・再発給・延長に関する規定に従わない場合。
  3. 外国人労働者がベトナム国内での就労中に法令違反を行い、刑事責任を問われる場合。

すげの注釈

  • 実務上最も多いのは期限切れによる取消です。
  • 条件違反(職務・勤務地の無断変更など)でも取消対象になります。

第31条 労働許可証の取消手続き

日本語全文

  1. 第30条第1号の場合、許可証の有効期限満了から15日以内に、雇用者は許可証を回収し、発給機関へ返納するとともに、取消報告書を提出する。回収できない場合は理由を明記すること。

  2. 第30条第2・3号の場合、発給機関が取消決定を出し、雇用者へ返納を通知するとともに、公安省入国管理局へ情報提供し、管理を協力して行う。

すげの注釈

  • 期限切れの場合は雇用者から返納する流れ。違反や刑事事件では行政側が主導して取消します。
  • 入管情報と連動するため、取消後の在留資格維持は基本的にできません。

第32条 免除証明書の取消事由

日本語全文
次の場合、免除証明書を取消す:

  1. 発給された免除証明書の内容と異なる形態で就労している場合。
  2. 海外雇用者がベトナムでの就労継続をしない旨を文書で通知した場合。
  3. ベトナム国内または国外の雇用者が事業活動を停止した場合。
  4. 本政令の発給・再発給・延長に関する規定に従わない場合。
  5. 外国人労働者がベトナム国内での就労中に法令違反を行い、刑事責任を問われる場合。

すげの注釈

  • 免除証明書も許可証とほぼ同じ取消理由ですが、**「事業活動停止」**が明文化されている点が特徴です。
  • NGOや国際機関関連の案件で見られるパターンです。

第33条 免除証明書の取消手続き

日本語全文

  1. 第32条第1〜3号の場合、免除証明書の有効期限満了から15日以内に、雇用者は証明書を回収し、発給機関へ返納するとともに、取消報告書を提出する。回収できない場合は理由を明記する。

  2. 第32条第4・5号の場合、発給機関が取消決定を出し、雇用者へ返納を通知するとともに、公安省入国管理局へ情報提供し、管理を協力して行う。

すげの注釈

  • 許可証取消とほぼ同様の流れです。
  • 実務では、事前通知なしで国外に帰国したケースも取消手続きが必要になるため、雇用者側の管理体制が重要です。

第5章 施行・経過規定・責任


第34条 経過規定

日本語全文

  1. 本政令施行前に、政令152/2020/ND-CP(政令70/2023/ND-CPで改正)に基づき発給・再発給・延長された免除証明書や労働許可証は、有効期限までそのまま使用できる。有効期限内であれば、本政令に基づき発給・再発給・延長を行う。

  2. 本政令施行日前に申請が受理された案件は、従前の政令152/2020/ND-CP(改正政令70/2023/ND-CP)に従って処理する。

  3. 従前政令で「管理者・経営責任者・専門家・技術者」または「外国NGOや国際機関に勤務する外国人」として発給された免除証明書や許可証は、有効期限まで使用可能。再発給や延長時は本政令の形態(第2条第1項h号)に基づく。

  4. 従前政令に基づき発給された免除証明書や許可証で、第30条・第32条の取消事由に該当するものは、本政令に基づき所轄機関が取消を行う。

  5. 政令128/2025/ND-CPに基づき発給・再発給・延長された免除証明書や許可証も有効期限まで使用でき、本政令に従って手続きを行う。施行日前に受理された申請は政令128に基づき処理する。

すげの注釈

  • 要するに「古い制度で出た許可証も、そのまま期限まで有効。ただし更新・再発給は新制度で」ということです。

  • 過渡期には旧様式の証明書と新様式が混在するため、社内や監査対応では「どの政令ベースで出た許可証か」を控えておくと良いです。


第35条 施行日

日本語全文

  1. 本政令は2025年8月7日から施行する。

  2. 政令152/2020/ND-CP(2020年12月30日付)および政令70/2023/ND-CP(2023年9月18日付)における外国人労働者に関する規定は、本政令の施行日をもって失効する。

  3. 政令128/2025/ND-CP付録II第8条および第2節も、本政令施行日をもって失効する。

すげの注釈

  • 施行日は2025年8月7日。この日以降の申請は全て新制度です。

  • 旧政令の関連条文は完全に無効化されます。過去の運用マニュアルも差し替え必須です。


第36条 施行責任

日本語全文(要約含む)

  1. 内務省
     - 外国人労働者データベースを中央〜地方レベルで統合管理し、入管データ等と連携
     - 外国人労働者の採用・管理の国家統一管理
     - 関係省庁と連携して監督・評価・監査を実施
     - 実施上の問題点を取りまとめ報告

  2. 国防省
     - 国境・島嶼・戦略地域などでの安全確保と外国人労働者管理
     - 国境警備隊による外国人労働者の確認・監督

  3. 公安省
     - 外国人労働者の治安管理
     - 労働許可申請に伴う犯罪経歴証明の発給手続き指導

  4. 工業貿易省
     - WTO約束11サービス分野における「企業内異動」の判断ガイドラインを作成

  5. 文化スポーツ観光省
     - 芸術家・コーチ・選手の資格や実績の証明ガイドラインを作成

  6. 教育訓練省
     - 教育分野における資格基準や証明書のガイドラインを作成

  7. その他各省庁
     - 管轄分野(金融・科学・技術・イノベーション・国家デジタル変革・社会経済優先分野)における外国人労働者の資格認定を担当

  8. 省人民委員会
     - 地域内の外国人労働者管理、優先分野の特定、法令遵守指導
     - 違反取締りと年次報告(毎年12月15日まで)

すげの注釈

  • 実務上は、地方の省人民委員会(労働局)が窓口になりますが、国レベルのガイドラインとのギャップが出やすい部分です。

  • 特に犯罪経歴証明は公安省のオンライン連携で時間短縮が見込まれますが、実際の現場では移行期の混乱が予想されます。