こんにちは!マナラボの菅野です。

生成AI、特にChatGPTのようなチャットボットが急速に広まり、いよいよ「仕事がAIに取られるんじゃないか」という不安を抱く方も多いのではないでしょうか?

先日、Microsoft Researchが注目の研究結果を発表しました。その名も:

「Working with AI: Measuring the Occupational Implications of Generative AI」(AIが仕事に与える影響を測る)

この論文、すごいんです。Copilot(旧Bing)との20万件以上の会話データをもとに、AIがどの職業にどれだけ適用されやすいかを定量的に分析してくれています。

https://www.businessinsider.com/ai-jobs-overlap-affect-research-2025-7?utm

ということで今回は、

🔥 Microsoftの調査結果をもとに、どんな仕事がAIに置き換えられやすくて、逆にAIには手出しされにくいのか?
🧩 そして、私たちはこれからどう行動すればいいのか?

を、やさしく・わかりやすく解説していきます!

1. AIは「通訳はできる」が「川はさらえない」

Microsoftの研究者が、非常に的を射たコメントを残してるんだそうです。

「AIは通訳としては優秀ですが、川をさらう(dredge)ことはできません。」

この言葉が意味するのは、「AIは言葉・情報のやり取りには強いけれど、物理的な作業や身体性が問われる仕事には弱い」ということ。

2. 調査方法:Copilot 20万件の会話から導かれた「AI適用性スコア」

今回の研究では、米国のCopilotユーザーとの20万件以上の会話ログを分析。

それぞれの職業が行っている作業と、AIが得意とする作業とを比較して「AI適用性スコア(AI Applicability Score)」を算出しました。

つまり、「この仕事の作業のうち、どれくらいがAIでもできるか?」という観点で職種をランキングにした、ということです。

3. AIが得意な仕事トップ40(=AIに置き換えられやすい?)

では早速、AIとの相性が「抜群に良い」仕事から見てみましょう!つまりAIに置き換わる可能性の高い職業です。

【AI適用性スコアが高い】TOP 40職業リスト(Microsoft調査より)

#職業名(英語)日本語訳
1Interpreters and Translators通訳・翻訳者
2Historians歴史家
3Passenger Attendants乗務員(客室乗務員など)
4Sales Representatives of Servicesサービス営業職
5Writers and Authors作家・著述家
6Customer Service Representativesカスタマーサービス担当者
7CNC Tool ProgrammersCNC工具プログラマー
8Telephone Operators電話交換手
9Ticket Agents and Travel Clerksチケット・旅行事務員
10Broadcast Announcers and DJs放送アナウンサー・DJ
11Brokerage Clerks証券事務クラーク
12Farm/Home Management Educators農業・家庭管理教育者
13Telemarketersテレマーケター
14Conciergesコンシェルジュ
15Political Scientists政治学者
16Journalists記者・ジャーナリスト
17Mathematicians数学者
18Technical Writersテクニカルライター
19Proofreaders and Copy Markers校正者・コピーエディター
20Hosts and Hostesses接客係・案内係
21Editors編集者
22Business Teachers, Postsecondary大学ビジネス教師
23Public Relations Specialists広報スペシャリスト
24Demonstrators and Product Promoters商品実演販売員
25Advertising Sales Agents広告営業職
26New Accounts Clerks新規口座開設クラーク
27Statistical Assistants統計補助員
28Counter and Rental Clerksカウンター・レンタル係
29Data Scientistsデータサイエンティスト
30Personal Financial Advisorsファイナンシャルアドバイザー
31Archivists書庫司書・アーカイブ専門職
32Economics Teachers, Postsecondary大学経済学教師
33Web Developersウェブ開発者
34Management Analysts経営アナリスト
35Geographers地理学者
36Modelsモデル
37Market Research Analystsマーケティング調査アナリスト
38Public Safety Telecommunicators公共安全通信オペレーター
39Switchboard Operators代表電話交換手
40Library Science Teachers, Postsecondary図書館情報学の大学教員

これらの仕事に共通するのは、「情報を処理・伝える仕事」であること。そして、言葉でのやり取りが中心であることです。

 4つのグループと特徴解説

グループ1:言語情報職系(知識・文章・翻訳)

ここの領域については私が実際に実施している領域にもなるのでしっかりと考えてないとなあと感じました。ライターのところですね。

代表職種:

  • 通訳・翻訳者(#1)
  • 作家・著述家(#5)
  • ジャーナリスト(#16)
  • テクニカルライター(#18)
  • 校正者・編集者(#19、#21)
  • 大学教師(#22、#32、#40)

特徴:

  • 「読む・書く・説明する」ことが中心
  • 内容はデジタル化しやすく、**AIの得意分野(自然言語処理)**と直結
  • ChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)と強く重なる

AIとの親和性:
✅ 業務内容の8〜9割がAIで代替可能と評価
✅ すでに多くのツールで自動要約・翻訳・文章生成が可能

グループ2:対話・受付・案内職系(反復的コミュニケーション)

代表職種:

  • カスタマーサービス(#6)
  • テレマーケター(#13)
  • 電話交換手・スイッチボードオペレーター(#8、#39)
  • チケット案内・旅行クラーク(#9)
  • 公共安全通信オペレーター(#38)
  • コンシェルジュ・接客係(#14、#20)

特徴:

  • 会話パターンが定型化されており、AIボット化が進行中
  • 顧客対応チャットボットや音声アシスタントがすでに実用段階

AIとの親和性:
✅ 「ルールに従って話す」系業務はAIが非常に強い
✅ 一部を人間が補完しつつ、ハイブリッド運用が現実的


💼 グループ3:ホワイトカラー分析・事務系

代表職種:

  • 経営アナリスト(#34)
  • 統計補助員(#27)
  • データサイエンティスト(#29)
  • マーケティング調査アナリスト(#37)
  • ファイナンシャルアドバイザー(#30)
  • 新規口座開設クラーク(#26)

特徴:

  • エクセル、数値、グラフ、レポートなど「分析・報告」が中心
  • AIが定量データを処理する能力は人間を上回る

AIとの親和性:
✅ 「大量データの読み取り→要約→提案」はAIの十八番
✅ 人間の判断力と組み合わせれば意思決定支援AIとしても優秀


🎨 グループ4:創造・メディア・表現系

代表職種:

  • 広告営業(#25)
  • 商品実演販売員(#24)
  • 広報スペシャリスト(#23)
  • 放送DJ・アナウンサー(#10)
  • モデル(#36)
  • ウェブ開発者(#33)

特徴:

  • クリエイティブ要素がある一方で「見た目・言葉」で再現可能
  • 画像生成AI・音声合成AIとの組み合わせで代替余地が広がる

AIとの親和性:
🟨 一部「発想」「演技」は人間にしか出せない領域も残る
🟩 ただしプロンプトで代替可能な業務は拡大中(例:広告画像作成)

以上を表にしますね。

グループ名主な職種例主な業務の特徴AIとの親和性代表的なAI活用・代替可能業務
🧠 言語情報職系(知識・文書・翻訳)通訳・翻訳者作家・著述家ジャーナリスト編集者・校正者大学教師(文系)・言葉での伝達・文書作成・要約・情報の検索と整理非常に高い(LLMとの重複度が大)翻訳、記事生成、レポート作成、FAQ生成、要約、講義ノート作成
📞 対話・受付・案内職系(反復的コミュニケーション)カスタマーサポート電話交換手旅行案内係テレアポコンシェルジュ・定型応対・ルールに従った処理・顧客との一次対応高い(音声・チャットボットで代替可能)チャット対応、電話応答スクリプト、予約受付、自動クレーム処理
💼 ホワイトカラー分析・事務系(数値・データ・レポート)経営アナリスト統計補助員データサイエンティストファイナンシャルアドバイザーマーケ調査員・情報分析・数値処理・資料作成と報告高め(定量業務は代替しやすい)エクセル自動処理、統計分析、スライド作成、意思決定支援ツール
🎨 創造・メディア・表現系(広報・表現・見た目)広告営業モデルアナウンサー商品プロモーターウェブ開発者・クリエイティブ要素・見た目や音の表現・人目を引く演出中〜高(画像・音声・動画生成と一部競合)画像生成、広告コピー、ナレーション音声、ランディングページ設計

 総括:AIに“狙われやすい”仕事の共通点

共通点内容
📝 テキスト中心情報の収集・要約・説明が仕事の中心
🔁 反復作業決まった手順や会話パターンが多い
💻 デジタル完結パソコン上で完結する業務が多い
📊 判断根拠が言語化可能「この条件ならこうする」が明確

逆に、AIが苦手な仕事の共通点は?

以下でしょう。

  • 物理的・空間的な操作
  • 対人感情・気遣いが必要
  • 臨機応変なアドリブ力
  • “暗黙知”や“経験則”による判断

4.【AI適用性スコアが低い】TOP 40職業一覧(Microsoft調査)

#職業名(英語)日本語訳
1Dredge Operators浚渫(しゅんせつ)作業員
2Bridge and Lock Tenders橋・水門操作員
3Water Treatment Plant Operators浄水場オペレーター
4Foundry Mold and Coremakers鋳物成形工
5Rail-Track Laying Equipment Operators線路敷設作業員
6Pile Driver Operators杭打ち作業員
7Floor Sanders and Finishers床仕上げ作業員
8Orderlies看護助手
9Motorboat Operatorsモーターボート操縦士
10Logging Equipment Operators林業用機械オペレーター
11Paving and Tamping Equipment Operators舗装機械オペレーター
12Maids and Housekeeping Cleanersメイド・清掃員
13Roustabouts, Oil and Gas油田作業員
14Roofers屋根職人
15Gas Compressor Station Operatorsガス圧縮・供給施設オペレーター
16Helpers–Roofers屋根作業補助員
17Tire Buildersタイヤ組立工
18Surgical Assistants手術助手
19Massage Therapistsマッサージ師
20Ophthalmic Medical Technicians眼科医療技術者
21Industrial Truck and Tractor Operatorsフォークリフト・農機オペレーター
22Supervisors of Firefighters消防監督官
23Cement Masons and Finishersセメント仕上げ作業員
24Dishwashers食器洗い係
25Machine Feeders and Offbearers機械投入作業員
26Packaging and Filling Machine Operators梱包・充填機械オペレーター
27Medical Equipment Preparers医療器具準備員
28Highway Maintenance Workers道路保守作業員
29Helpers–Production Workers生産補助員
30Prosthodontists義歯専門歯科医
31Tire Repairers and Changersタイヤ修理・交換作業員
32Ship Engineers船舶機関士
33Automotive Glass Installers and Repairers自動車ガラス修理工
34Oral and Maxillofacial Surgeons顎顔面外科医
35Plant/System Operators, All Otherその他プラント設備オペレーター
36Embalmers遺体防腐処理技師
37Helpers–Painters/Plasterers塗装補助作業員
38Hazardous Materials Removal Workers有害物除去作業員
39Nursing Assistants看護補助員
40Phlebotomists採血技師

 4つのグループとその特徴(表で整理)

抽象化しましょう。

グループ名主な職種例特徴AIとの相性代替が困難な理由
🧱 肉体労働・建設系
(現場・屋外・重機)
浚渫作業員、舗装作業員、屋根職人、杭打ち作業員、フォークリフト運転手、塗装補助員・現場での空間認識
・身体の動きが複雑
・安全管理が重要
非常に低いAIには
「柔軟性」「地形対応」「身体バランス」が困難
🧰 手作業・技能職系
(組立・整備・清掃)
鋳物工、タイヤ修理工、自動車ガラス修理工、食器洗い係、清掃員、梱包作業員・手指の細かい動き
・不規則な物理環境での作業
低いAIロボットには
「物理的な調整力」「目視判断」が難しい
🩺 医療・介護・対人ケア系看護助手、手術助手、採血技師、眼科助手、マッサージ師、義歯歯科医、遺体処理技師・身体接触や衛生管理が必要
・感情的配慮や判断が重要
極めて低い患者対応や細かい判断、倫理的責任は
AIに代替しにくい
🚧 インフラ・安全運用系
(設備・保守・消防)
浄水場オペレーター、道路保守、ガス供給、消防監督官、船舶機関士、石油作業員・監視と即応がセット
・物理環境が変化する
非常に低い「機械の異常を五感で察知」など、経験値や反射判断が必要

総括:AIが苦手な仕事の共通点

共通点内容
👷‍♂️ 物理的動作「重いものを持つ」「微妙な力加減で作業」など
🧠 臨機応変な対応同じ作業でも現場で状況が変わる
💬 対人・感情配慮高齢者・患者への配慮、遺族対応など
🦶 現地判断が必要センサーやデータではなく“目視”で判断する必要あり

 補足:AIではなくロボティクス分野の進化がカギ

これらの職種は、言語AI(LLM)では置き換えられない一方、**今後のロボティクス・感覚AI(マルチモーダルAI)**が進めば、部分的に自動化される可能性もあります。

しかし現在(2025年)の段階では、身体性・人間らしさ

5. でも、「リスト外の仕事」でも安心はできない!

重要なのは、今回の研究が対象としたのは**チャットボットに特化したAI(言語モデル)**だという点。

たとえば、会計士・税理士・総務の仕事がリストに入っていないからといって、油断してはいけません。

なぜなら:

  • 定型的な入力作業(記帳、計算、入力)はすでにAIが得意
  • 帳簿データの読み取り、レポート作成もCopilotやGPTが可能
  • ChatGPT×Excel連携で、請求書の作成・集計すらできる
  • つまり、「今は安全圏でも、明日はわからない」のが現実です。

6. ケーススタディ:会計士・税理士はどうなる?

ぼく自身も会計の仕事をしていますが、結論から言えば――

「機械にやらせられるところは、全部やらせよう。でも、人間にしかできない部分に集中しよう。」

という姿勢が重要です。

たとえば:

  • ✅ AIが得意:月次の仕訳、試算表の作成、税務申告書のドラフト
  • ❌ AIが苦手:クライアントとの交渉、経営判断の助言、業界特有の解釈

AIに“委託”しながら、戦略・対話・人間性を磨くことが、これからの専門家に求められる力になります。

7. あなたの仕事は大丈夫?“AI耐性”チェック

以下の3つの質問を、自分の業務にあてはめてみましょう:

  1. 作業の出力物は「テキスト」中心?(YesならAIと競合しやすい)
  2. 仕事に「人との関係構築」や「現場対応」がある?(YesならAIは苦手)
  3. あなたの判断は「経験」や「勘」だけじゃなく、言語化できる?(YesならAIに置き換えられやすい)

全部Yesなら、AIリスクはそれなりに高いかも。

8. AI時代を生き残るための5つの戦略

「不安だ…」と思った方、ご安心ください!
ここからは“人間ならではの強み”を発揮するステップです。

  1. AIと一緒に働くスキルを磨く(例:ChatGPT + Excel、Notion AI)
  2. マネジメント・コンサル・戦略系のスキルを学ぶ→人間はバイアスがあるし、そんなに賢くない。
  3. 一次情報にアクセスする力を鍛える(言語・現場感)→とにかく行動!
  4. 創造力・ストーリーテリングを高める(AIが苦手かも・)
  5. 学び続ける習慣をつける(リスキリング)

AIは“敵”じゃありません。**上司でも部下でもない「相棒」**として使っていくのがコツです!これ本当にそう。

9. 企業や社会の責任もある

Microsoft自身が2025年だけで15,000人以上をAI活用でリストラしたと言われています。

今後、企業には以下のような責任が求められます:

  • ✅従業員への再教育(リスキル)機会の提供
  • ✅ AI導入による業務プロセス設計の透明化
  • ✅ 新しい働き方(週4日制など)の模索

国や自治体も、**ベーシックインカム(UBI)**のような制度設計に真剣に向き合う時期かもしれません。


10. まとめ:「あなたのスキルは“AIと共に伸びる”タイプですか?」

今回のMicrosoftの研究を通じて、改めて考えさせられるのは、

「AIがどの仕事を奪うか」ではなく、
「人間がどこで価値を発揮するか」

という視点です。

AIの進化は止められません。でも、「変化に適応できる人」には、きっとチャンスが増えるはず。

 引用元・参考リンク:


最後まで読んでくださりありがとうございました!
この記事が少しでも「自分のスキルと未来を考えるきっかけ」になれば嬉しいです。

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