こんにちは!ラボの菅野(すげの)です。
今日は「ベトナム個人所得税控除証明書の徹底解説」というテーマでお届けします。なんだか名前だけで小難しそうに感じるかもしれませんが、そこはご安心ください。
この記事では、専門用語を噛み砕きながら、優しく・軽やかに・わかりやすくご案内していきます。
ここの記事を読んでいただければ以下のようないいことが待っていますよ!
- 「個人所得税控除証明書」が何かわかる
- どんなときに発行するのか、わかりやすく理解できる
- 電子証明書に移行すべき理由がわかる
- 実務の現場での実用ポイントや心の持ち方を見つけられる
それでは行ってみましょう。
この記事のもくじ
そもそも、個人所得税抵除証明書(No. 03/TNCN)ってなんでしょうね?
これ、ざっくり言うと「既中で税を引いたときの年計」のようなものです。
従業員に税を抵除して支払うとき、会社側でその内容を証明する書類を発行するのが「抵除証明書」です。
法的には、次の条文で規定されています。
政令123/2020/ND-CP 第3条第4項によると、以下のように定義されています。
「証明書とは、法律に基づき国家予算に関わる税、手数料、料金などを控除・徴収する情報を記録するための文書であり、電子形式、印刷形式、自社印刷のいずれかである。」
また、通達111/2013/TT-BTC 第25条では以下のように定めています:
「税の控除とは、所得を支払う組織または個人が、支払い前に納税者の所得から納税額を差し引く行為である。」
つまり、「個人所得税控除証明書」とは、所得を支払う側(会社)が、個人所得税を控除したことを記録するために発行する公式文書です。その名前は「Form No. 03/TNCN」です。
シンプルに言うと、税金を引いてあげた、ってことを示す書類ですね。
何のために使用するのか?これも気になると思うので説明します。
- 納税者が控除された税額を証明するため(これがメインですね)
- 納税者自身が、所得税を支払う必要があるか、控除額が正しいかを確認する基礎資料として
- 所得からの控除内容を透明に記録するため
- 税務署へ直接確定申告を行う場合の必要書類の一部(政令126/2020/ND-CP付録Iに記載)
※ 所得支払者がすでに業務を停止している場合、税務機関は業界のデータベースを活用し、証明書がなくても処理します。
どんなときに発行される?【発行タイミングと条件まとめ】
では、もう一歩踏み込んで「誰に、どんな条件で出すのか」を明確にしておきましょう。
✔ 発行が必要なケース(通達111/2013/TT-BTC 第25条より)
従業員の契約状況 | 発行の要否 | 備考 |
---|---|---|
契約期間3ヶ月未満 or 非契約 | 原則、従業員の請求があれば発行 | 控除のたびに or まとめて1枚でもOK |
契約3ヶ月以上かつ在籍中 | 原則1年に1回の発行(請求があれば) | 年末調整を会社で行わない場合に使用 |
税申告を会社に委任している | 発行不要 | 年末調整が社内で完結しているなら不要です |
絶対に必要なわけではありませんね。よくあるケースは、会社が期中、誰かに業務を外注して10%の所得税を控除している場合ですね。あとは日本人駐在員が日本の給与をもらっている場合もこれが必要になります。
Form 03/TNCN の記載内容は?中身をのぞいてみよう
さて、ここまでで「控除証明書って何?」と「いつ・どうやって発行するのか?」という話をしてきました。
次に気になるのは、「結局この証明書(Form 03/TNCN) には何が書いてあるの?」というところですよね。
たとえば、従業員から「これ、何に使うんですか?」と聞かれたとき、サッと説明できたらスマートです。
一緒に中身をのぞいてみましょう。
◉ 法令に書いてある内容まとめ(政令123/2020/ND-CP 第32条第1項より)
控除証明書には、最低限次のような情報が入っている必要があります:
- 証明書の名前とその様式記号(ちょっとお役所っぽい部分ですね)
- 所得支払者(会社)の名称・住所・税コード
- 所得を得た従業員の名前・住所・税コード(あれば)・国籍
- 所得額と支払日(いつ、いくら払ったか)
- 課税所得・控除税額・手取り額(ざっくり言えば、引かれた分と残った分)
- 作成日(証明書を発行した日付)
- 所得支払者の氏名と署名(※電子版なら電子署名)
これだけ見ると「うっ……項目が多いな……」と思うかもしれません。
でも、イメージとしては「給与明細と源泉徴収票の中間」みたいなものです。
月額給与の中から税を引いて払った、という事実を証明する、という目的なので、これらの情報は欠かせないんですね。
◉ 実務の現場ではどう使う?
たとえば、こんなときに登場します:
- 従業員が年末調整を会社に任せず、自分で確定申告するとき
- 転職して、前職の所得証明が必要なとき
- 海外赴任や外資系企業などで、日本との二重課税回避の証明が必要なとき
こういう場面で、「あ、この証明書があってよかった」と実感する瞬間がきます。
◉ 電子化したら記載項目も変わるの?
電子化についての詳細は後述しますね。
いい質問です。結論から言うと、基本的な項目は紙でも電子でも同じです。
ただし、電子の場合は「印鑑の代わりに電子署名を使う」ことになっています。
この電子署名、最初はなんだか仰々しく感じるかもしれませんが、使ってみるとむしろ安全で便利です。
紙なら押印ミスや紛失の心配もありますが、電子署名は一意で改ざんできないですからね。
では、次は「導入の手順とおすすめのサービス」についてお話ししましょうか。
「どうやって始めればいいの?」という疑問、ここでスッキリ解消していきます!
▶ 電子化ってどういうこと?2022年以降のルール変更
上記で「電子化」について述べました。これ昔は紙面だったんですよね。
【ベトナム税務】個人所得税の納税を証明したい場合に必要な源泉徴収票と「CTT25/AC」を作成する方法
さて、ここ最近「この証明書はもう電子でやるのが当たり前ですよ」なんて声、聞いたことありませんか?
そう、2022年7月1日を境に、個人所得税控除証明書の世界にも電子化の波が押し寄せてきました。
ここで一度立ち止まって、法的な背景をさらっと確認しておきましょう。
■ 根拠:政令123/2020/ND-CP 第59条第1項
「2022年7月1日から、情報インフラが整っている事業者は、電子形式の請求書・証明書に完全移行すべし」
要するに、今までみたいに「控除証明書をプリンターで印刷して、ハンコ押して、封筒に入れて……」というアナログなやり方は、基本的に卒業なんですね。
◉「うちはまだ紙でやってるけど……」という方へ
たまに、「でも在庫の紙の証明書がまだ残ってて……」というご相談もあります。
実際、それに関しては2022年7月12日に出された税務総局の公文書2455/TCT-DNNCNでも触れられていて、
「電子証明書に移行していない組織については、それまでに取得した紙の控除証明書の使用を認める。ただし、それは移行準備が整うまでの暫定対応」
という位置づけです。つまり「使ってもいいけど、なるべく早く電子に変えてね」というニュアンスなんですね。これ2022年のお話しなので今はもう完全に電子になっていると思います。
◉電子化すると何がいいの?
正直、最初は「うちの業務にITを入れるのは大変だ」と感じるかもしれません。
でも、慣れてしまえば、メリットはかなりあります。
- 紙の保管がいらない(オフィスの棚が空きます)
- 発行・送付がワンクリック(郵送費もゼロに)
- エクセルでいちいち集計しなくて済む(地味に助かる)
- 過去分の検索が超ラク(あのファイルどこだっけ?がなくなります)
シンプルに言えば、「効率とミスの削減」です。効率化が一番大きいですかね。
▶ 電子フォームの導入の手順とおすすめのサービス
「電子の控除証明書が必要なのはわかった。でも、実際どうやって始めるの?」
そう思った方も多いのではないでしょうか。
はい、ここからが本題です。
特に中小企業の現場では、「IT?電子化?うちはそこまでじゃないよ〜」という声もよく聞きます。でも大丈夫です。思っているよりずっとシンプルにスタートできますよ。
◉ 導入のステップはたったこれだけ(例:MISA AMISの場合)
ここでは、ベトナムで人気のある「MISA AMIS個人所得税ソフト」を例に、導入の流れを紹介しますね。
【ステップ1】証明書パッケージを選ぶ
用途や人数に応じたプランが用意されているので、自社の規模に合ったものを選びましょう。
【ステップ2】申し込み(電話 or オンライン)
MISAのホットラインや公式サイトから申し込みできるようですよ。
問い合わせフォームで名前・会社名・税コードなどを入力すればOKです。
【ステップ3】必要書類の提出
以下の書類が一般的に求められます。
- 営業登録証(スキャン)
- 代表者の身分証明書
- 委任者がいる場合は、委任状とその本人確認書類も
【ステップ4】ソフトのデモ体験
担当者が使い方を丁寧に教えてくれます。実際に試しながら「これなら使えそう」と思えるか確認できるので安心です。
【ステップ5】正式導入・運用開始!
試用後に問題がなければ本導入へ。あとは社内で運用ルールを決めて、活用していくだけです。
◉ 金額は?コスパは?
これ、結構気になるところですよね。
たとえば、MISAの場合、年間わずか240,000ドン(約1,500円)で電子証明書が無制限に発行できるプランがあります。
しかも、2年目以降は10%割引。大量導入(100人以上)なら15%割引も。
なんというか…コンビニ3回我慢すれば、業務がグッとラクになる世界です。
◉ 他にもある?おすすめサービス一覧(参考)
以下は、ベトナムでよく使われている証明書発行ソリューションです。あくまで参考。
サービス名 | 特徴 | コメント |
---|---|---|
MISA AMIS | コスパ◎・機能充実 | 初心者におすすめ |
VNPT Invoice | 国家系インフラ強みあり | セキュリティ重視派に |
BKAV eChungtu | 法人向け幅広い展開 | 大規模法人に人気 |
Softdream EasyPIT | UIがシンプルだそう | 操作のしやすさで好評 |
それぞれに特徴があるので、「価格・使いやすさ・導入スピード」のバランスを見ながら選ぶのがコツです。
よくある質問(FAQ)
❓ Q1:1人の従業員に、何回発行すればいいの?
基本的には「年に1回」でOKです。
特に3ヶ月以上の雇用契約がある従業員については、年末にまとめて1通発行すれば十分です。
ただし、契約期間が短い人(たとえば、プロジェクトごとに報酬を支払っている外注さんなど)については、控除の都度 or 期間単位で発行することも可能です。つまり、「その人が確定申告で使うかどうか」が判断基準です。
❓ Q2:従業員が税申告しない(年末調整を会社に任せてる)場合も、証明書は必要?
この場合、発行しなくて大丈夫です。
理由は明快で、「すでに会社が税務申告を代行している=個人が控除証明書を提出する必要がない」からです。ただし、従業員が途中で退職したり、転職して別の会社で申告するケースなどは別。
その際は「前職分の控除証明書が必要になります」と言われることがありますので、退職時には発行しておくと親切ですね。
❓ Q3:紙の控除証明書が在庫でまだ残ってるんだけど、使っていいの?
これは、一時的にはOKです。ただし条件つき。
2022年7月1日以降は、政令123/2020/ND-CPにより「原則すべて電子形式へ移行」するよう求められています。ただ、税務総局の公文書(No. 2455/TCT-DNNCN)では「すでに取得してある紙の証明書は、一定期間内であれば使ってもよい」としています。
要するに、「移行猶予中の在庫消化」までは黙認だけど、新規購入や印刷はNGということです。
❓ Q4:電子の控除証明書って、税務署に提出しないといけないの?
ここ、多くの方が勘違いされがちですが……
提出義務はありません!
政令123/2020/ND-CP 第33条に明記されていますが、**控除証明書は「納税者本人が保管して、必要なときに使う書類」**なんですね。
税務署に対して一括でアップロードしたり、事前に登録したりする必要はありません。つまり、発行だけしておけばOKです。
❓ Q5:日本からの給与とベトナムの給与、両方ある場合はどうするの?
これは、日本人駐在員あるあるの代表例ですね。
結論から言うと、ベトナム側で確定申告(02/QTT-TNCN)を行う際に、両方の給与を合算して申告する必要があります。
その際、
- 日本からの給与は「02/KK-TNCN」などで四半期申告
- ベトナムでの給与は会社が「05/KK-TNCN」で申告+源泉徴収
となっている場合、ベトナムで受け取っている給与についても源泉徴収された証明書(=03/TNCNフォーム)が必要になります。つまり、確定申告時にそれを「証拠」として提出するため、会社は発行してあげないといけません。
まとめと実務アドバイス
ここまでの内容を、最後にスッキリとまとめますね。
今すぐ確認すべき3つのポイントは以下。
「電子控除証明書」への移行状況をチェック(すでにほぼ電子。ただ紙が残ってる場合もあり?)
→ 紙はもう基本NG。まだならすぐ検討を。従業員に対して発行が必要かを確認
→ 特に短期契約者・確定申告予定の人がいる場合、対応必須です。導入済みのソフト・運用体制の確認
→ 発行ミスや対応遅れは、信用問題にもつながります。
🌿 実務のヒント
「従業員が言ってこないから出してない」は、意外と危険。就業規則や入社案内に「請求方法」を明記しておくとスムーズです。
税務署からの問い合わせや、外国人駐在員の申告対応が必要になったとき、慌てないためにも事前準備とシステム整備が肝です。
税務って、正直ややこしいですよね。でも、ひとつひとつを丁寧に扱えば、信頼にもつながるし、何よりトラブルを未然に防げます。
どこから始めたらいいかわからない……という方は、まず「発行ルールの明確化」と「ソフト導入の検討」から始めてみてください。
小さな一歩が、大きな安心につながりますよ。
以上、「個人所得税控除証明書の徹底解説」でした!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。ご不明な点や個別ケースのご相談があれば、お気軽にご連絡くださいね。
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