こんにちは!マナラボの菅野です。
今日は、「行政区画が変わると、事業登録ってどうなるの?」という、ちょっと気になるテーマをお届けします。
というのも、2025年に入ってから、ベトナムでは全国的に地方行政の大再編が進んでいますよね。
「63の省・市が34に統合される」というのは、なかなかインパクトのある話です。詳細は以下を参照。
>>🇻🇳 ベトナム地方省・直轄市再編の最新情報〜決議第60号(60-NQ/TW)の徹底解説〜
そしてこのタイミングで財務省が出したのが、今日の主役となる公文書4370/BTC-DNTNです。
この記事のもくじ
これ、意外と知られていません:「住所が変わってもERCは変えなくていい?」
まず最初に、想定される疑問について紹介します。
「うちの会社、もともとハナム省で登録しているんだけど、行政再編で“ニンビン市”にまとめられるみたい。
住所が“ニンビン省”になるなら、事業登録証明書(ERC)も変更しないとダメなのかな……?」
気持ち、すごくわかります。
住所が行政的に変わるなら、当然登録内容も合わせないといけない気がしますよね。
でも結論から言うと、その心配、いりません!
なおERCの内容については以下を参照のこと。
どこよりも詳しく、ベトナムERC(企業登録証明書)を徹底解説してみた! 【保存版】
公文書4370号が伝えていること:登録変更、強制しません
2025年4月5日、財務省はこの公文書(公文書4370/BTC-DNTNを)出して、以下のように明確に指導しました。
💬 財務省の公式な立場(要点)
- 企業、個人事業主、協同組合などがすでに保有している事業登録証明書(ERC)は、
行政区画が変わってもそのまま有効です。 - 行政区域(たとえば省や社)が統合されても、
ERCの登録住所情報を更新するよう“強制”してはいけません。 - 住所情報を変えたい場合は、企業の任意で手続きをすることが可能です。
たとえば、他の登録内容(代表者変更や資本金変更など)と一緒に申請する際に、あわせて更新してもOKです。
これ、すごく大事なポイントです。
たとえば、こんな場合……
では、もっと具体的にイメージしてみましょう。
◾️変更前
あなたの会社は「ハナム省」で設立・登録(ERCもハナム省の住所付き)
◾️変更後(行政再編)
- ハナム省+ナムディン省+ニンビン省 → **新「ニンビン省」**に統合
- つまり、地図上の「所在地」は自動的にニンビン省になる可能性があります
でもこのとき、財務省はこう言っています。
「“ハナム省”のERCを、わざわざ“ニンビン市”に書き直さなくてもいいですよ」
要するに、「法律上の登録」と「地理的な名称変更」は切り離して考えてOKなんです。まあそう言われてみればそうですよね。
なぜこのルールがありがたいのか? ただでさえ役所の動きは遅い
ここでちょっと考えてみましょう。
もし行政区画の変更があるたびに、
全国の企業が一斉に「事業登録証明書の更新」に走ったら、どうなるでしょう?
手続きは大混雑。こ企業側も書類対応に追われますし、行政機関もパンクします。
なにより、「ビジネスとは関係ない住所の表記」で、余計なコストが発生してしまいます。
だからこそ財務省は、この公文書で「原則、登録変更は求めません」と宣言してくれたんです。
これは、企業目線に立った実務的な配慮だと感じます。
もちろん、更新したい人はしてOK
とはいえ、「最新の住所を反映したERCにしたい」という気持ち、あると思います。
そういう場合は、無理に我慢しなくて大丈夫です。
他の登録変更とあわせて届け出ることができます。
たとえば、資本金を増やすときや、代表者を変更するとき。
そのついでに「登録住所の表記も最新の行政区にあわせますね」と申請すればスムーズですよね。
>>【M-Lab】IRCとERCを修正しなければいけない4つのグループと20のパターンとは?
各地方の行政にもお願いされています
この公文書では、地方の人民委員会に対してもこんな指示が出されています。
各レベルの登録機関にこの内容をしっかり理解・実行させ、
地元の企業や事業主に対して周知・啓発を行ってください。
つまり、「企業に優しいルール」だけで終わらず、
ちゃんと全国の現場にこの方針を浸透させてねという要請まで含まれているんです。
おまけ:登録書類って何通必要なんだっけ?
ちなみに、新しく会社を設立する場合、書類の提出は1セットでOKです。
これは政令01/2021/ND-CP 第9条にしっかり書いてあります。
変に「余計な書類」や「地方独自の追加要件」を出してはいけない、というルールも明記されています。
つまり、「ベトナムの事業登録って実はシンプル」という点も、ぜひ知っておいてほしいです。
まとめますね
今日は「4370/BTC-DNTN」の内容を一緒に読み解いてきました。
ちょっと長くなりましたが、大事なポイントをまとめるとこんな感じです👇
- 行政区画の変更があっても、ERCの住所表記を必ず変える必要はありません
- 「更新したい人だけがやればいい」、つまり任意対応です
- 財務省は「企業に負担をかけない制度運用」をしっかり考えてくれている印象です
- 登録手続きは1セットでOK。過剰な手続き要求は禁止されています
「行政が変わる=手続き地獄になる」
そんなふうに思っていた方には、少しホッとする内容だったかもしれません。
不安を感じやすい場面で、こうした**公式な“安心材料”**があるのは、とてもありがたいですよね。
ではまた、次のテーマでお会いしましょう。
すげのでした!