ラボの菅野です。

はじめに|「まとめて請求」は違法?合法?

お店で毎日たくさんのお客さんに対応していて、「毎回請求書なんて出せないよ〜」と感じたことはありませんか?

または、「顧客が請求書をいらないって言ってるけど、本当に出さなくていいの?」と不安に思ったことはありませんか?

実は、そんな悩みを持つ一部の業種に限っては、“まとめて”請求書を発行することが法律で認められているんです。

この記事では、政令123/2020/ND-CP 第9条に基づく「合算請求が特例として認められる5業種」について、専門用語をかみ砕いて、やさしく、具体的に解説していきます。

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まとめて請求が認められている5業種(早見表)

まずは結論から。

業種対象サービス例合算請求の単位条文引用
① 通信サービスプリペイドカード、接続料など日次/月次第9条第4項b号
② 小売・飲食業POSレジ販売(本社一括会計)日次第9条第4項g号
③ 金融・保険・電力サービス等電子マネー送金、電力再供給など日次/月次第9条第4項l号
④ 医療サービス診療、検査、画像診断など日次第9条第4項n号
⑤ ETC(通行料)月間で複数車両利用など月次第9条第4項o号

各業種の解説と「なぜ認められるのか?」

① 通信サービス業|プリペイド型や接続料などの処理

💡ポイント

顧客が税コードや住所を出さず、請求書も希望しないケースが多い通信業界。
1件ずつ処理すると手間もコストもかかるため、一定期間分をまとめて処理できるとされています。

📜 政令123/2020/ND-CP 第9条第4項b号:
「…サービス提供事業者は、接続料の発生月から起算して2か月以内にインボイスを発行する。」

📝 わかりやすく言うと:

「2か月分までなら後からまとめて請求書を出してOKですよ」というルールです。

② 小売・飲食業|レジのレシートから“あとで請求書”(これが多い!)

💡ポイント

レジで商品を売ってレシートを渡すけど、請求書を出すのは後回し。
これが許されるのは、本社が全ての売上を会計処理している場合に限られます。

📜 第9条第4項g号:
「…当日の業務終了後に、POSレジのデータをもとに電子インボイスを作成する。」

g) For retailers, and foods and drinks trading establishments that sell foods and drinks directly to consumers through their stores but all business operations are recorded at their head offices (the head office directly enters into contracts for sale of goods/provision of services; each store shall issue sales invoices to clients through its POS cash register in the name of the head office), POS cash registers are connected to computers but unable to transmit data to tax authorities, bills are printed out and presented to clients who do not request for e-invoices and data therein is stored on the system, at the end of a business day, the business establishment shall, based on bill data, issue e-invoices for goods or foods and drinks sold during the day, and send them to clients if requested.

📝 わかりやすく言うと:

「レジはレシート、本社はインボイス。まとめて作って、必要なら送ればいいよ」という制度です。

シンプルに言えば、**「1件ごとに請求書を出すのが現実的ではない場合」**には、法律がそれを考慮して、特例としてまとめ発行を認めているということです。

たとえば、毎日1,000人が買い物するスーパーで、全員分の毎回電子インボイスを出していたら、現場もシステムもパンクしてしまいます。まあ、電子インボイスのソフトによってはPOSのデータを1000人分おくれば自動的に1,000人分のインボイスを出してくれそうなシステムはありそうですけどね。

だからこそ、レジのデータなどを「あとでまとめて処理してもOK」という制度があるんですね。

③ 金融・保険・電力サービス|チリツモの積み上げ処理

💡ポイント

1件ごとの取引金額は小さいけれど、件数は多い──そんな業態では、まとめて請求ができると管理がしやすくなります

📜 第9条第4項l号:
「…事業者は、当日または月次で、システム内の取引情報に基づき合算請求書を発行することができる。」

📝 シンプルに言えば:

「毎日発行じゃなくて、1か月まとめて発行もできるよ」という制度です。

④ 医療サービス|レセプトはあるけど請求書は後日

💡ポイント

患者さんがインボイスを希望しない場合、診療記録と領収情報をもとに、まとめて電子請求書を作成できます。

📜 第9条第4項n号:
「…医療機関は、当日に提供したサービスをもとに電子インボイスを作成し、希望者に送付する。」

📝 比喩で言えば:

「レセプトは医者のメモ、請求書はあとで出す公式な伝票」みたいな感じです。

⑤ ETC(ノンストップ通行料)|月末まとめて1枚

💡ポイント

1人で複数車両を使う企業ユーザーや頻繁に通行する個人ユーザーには、月末にまとめて請求書を出せるという特例があります。

📜 第9条第4項o号:
「…ETCサービス提供者は、月末までにまとめて請求書を発行できる。」

🎯 なぜ「まとめて請求」が認められているの?

✅ 実務負担の軽減のためです。

たとえば、スーパーで1日1,000人来客があるとして、全員に電子請求書を出していたらどうなるか…。
サーバーもスタッフも悲鳴を上げますよね。

この制度は、「都度の請求が非現実的な場合に限り、まとめてOKだよ」という配慮です。

⚠ 実務上の注意点

  • 顧客が請求書を希望した場合は、必ず個別発行が必要です
  • 合算処理のためには、全ての取引情報がシステムに正しく記録・保存されていることが前提
  • 本社名義で発行するには、契約・会計処理も本社で行っていることが条件

✅まとめ

「請求書は毎回出さないといけない」と思っている方、業種によっては“まとめて発行”ができます!
それも法律(政令123/2020/ND-CP 第9条)で明確に認められているんです。

この特例を活用すれば、

  • 現場の負担が減る
  • 請求書の発行漏れが防げる
  • 顧客対応の柔軟性も高まる

という、まさに一石三鳥の効果があります。

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