こんにちは!マナラボの菅野です。
今回は、ベトナムにいる中小企業、スタートアップ、そしてこれから法人設立を考えている皆さんにとって、
**「これは使わないともったいない!」**という、まさに大注目の制度をご紹介します。
それが、決議198/2025/QH15です!
- 「法人税が免除されるらしい」
- 「土地の使用料が下がるって聞いたけど…」
- 「営業許可税がなくなるって本当?」
そんなウワサ、実は全部本当です。
このブログでは、その内容を、根拠とポイントを押さえながら、やさしく丁寧に解説していきます!
この記事のもくじ
なぜこの決議が注目されているのか?
まずこの決議、中小企業・スタートアップ・個人事業主にとって“待望の一手”です。
ポイントは以下の通り:
- 法人税の免除:創業から3年間CITゼロ
- 土地・設備・インフラの支援:国が本気でバックアップ
- 資金・技術・人材育成まで一気通貫で支援
- 行政コスト・監査・手続きも簡素化へ
- 国が「私的経済が主役」と宣言した画期的政策
つまり、これまで「やりにくい」と言われていたベトナムでのビジネスが、一気にやりやすくなる内容がぎっしり詰まっているんです。
第1章|決議198/2025/QH15とは?基本情報と成立の背景
この決議は、2025年5月17日、ベトナム国会(第15期・第9回会議)で正式に可決されました。法的には、以下の法律に基づいています:
- ベトナム憲法
- 国会組織法
- 法令制定法(文書発行法)
この決議が特別なのは、「法律そのもの」ではないけれど、国会が全国の行政機関に対して“すぐ実行せよ”と命じた、非常に強い拘束力を持つ政策文書であることです。
対象となるのは以下のような方々:
- 中小企業(政令80/2021/NĐ-CPに基づく)
- 個人事業主(hộ kinh doanh、cá nhân kinh doanh)
- スタートアップ、ハイテク企業
- 支援機関、投資ファンド管理会社、インキュベーター等
全体は7章17条で構成されており、その中身は非常に実務的かつ具体的です。
第2章|各章の構成とそのポイント解説【全文に基づく】
決議198号の全体像をつかむには、各章が何を語っているのかを整理するのが早道です。
以下がそのまとめ表です👇
章 | タイトル | 内容のポイント |
---|---|---|
第1章 | 総則 | 対象・用語定義・政策目的 |
第2章 | ビジネス環境の改善 | 年1回までの検査制限、後検優先、刑事責任の適正化、破産手続の迅速化 |
第3章 | 土地・公有資産へのアクセス | 工業団地への優先入居、賃料減額、未使用公有資産の貸与 |
第4章 | 税制・金融・公共調達 | CIT免除、営業許可税廃止、ESG金利補助、中小企業向け優先発注制度など |
第5章 | 科学技術・人材・DX支援 | R&D支出200%損金算入、会計ソフト無償提供、CEO育成支援 |
第6章 | 国家プロジェクト参加・Go Global支援 | PPP参入、限定入札、海外進出支援プログラム |
第7章 | 実施体制・監督・スケジュール | 2026年末までの法改正義務、数値目標によるKPI化、国会の監督明記 |
決議198/2025/QH15|章構成と主な内容一覧
もう少しくわしく。
章番号 | タイトル | 該当条文 | 概要 | 主な内容 |
---|---|---|---|---|
第1章 | 総則 | 第1条〜第3条 | 基礎的な定義と対象の明確化 | – 対象:中小企業、個人事業主、スタートアップ、支援機関など- 「創業型スタートアップ企業」「個人事業主」の定義 |
第2章 | ビジネス環境の改善 | 第4条〜第6条 | 行政負担の軽減と公正な競争促進 | – 検査・監査は年1回までに制限- 後検優先/重複排除- 民事・刑事・行政責任の明確な区分- 法令遡及の禁止/推定無罪- 破産手続の迅速化(30%短縮) |
第3章 | 土地・公有資産へのアクセス支援 | 第7条〜第8条 | 生産拠点の確保・公的資産の優先活用 | – 工業団地・インキュベーター等の整備- 土地の30%以上を中小企業等へ優先貸与- 賃料30%以上減額(最大5年間)- 未使用公的資産の貸与と情報公開 |
第4章 | 税制・金融・公共調達 | 第9条〜第11条 | 資金調達・税優遇・公共発注における支援 | – 中小企業の法人税3年間免除(第10条)- スタートアップの法人税2年免除+4年50%減- 出資・譲渡益・給与の税免除- ESG対応事業への年2%金利補助- 公共調達枠で中小企業優遇(20億VND以下) |
第5章 | 科学技術・デジタル化・人材支援 | 第12条〜第13条 | 技術・人材・DX分野への国家支援 | – R&D支出は200%損金算入- 税引前利益の20%をDXファンド積立可- 会計ソフトの無償配布(零細事業者)- CEO育成10,000人計画- 小規模企業への無料研修(法務・会計など) |
第6章 | 国家プロジェクト・Go Global支援 | 第14条〜第15条 | 大規模案件・海外展開への参加支援 | – 国家重点PJへの民間参入拡大(PPP/指定入札)- Go Global支援プログラム:M&A/知財/流通/保険等- 大企業への成長支援枠組み |
第7章 | 実施体制・監督・スケジュール | 第16条〜第17条 | 実施責任・期限付きの法改正義務 | – 政府・省庁・自治体に施行責任を明記- 2026年末までに土地・投資・規制法を改正- 手続時間・コスト・条件の各30%削減- 非故意リスクに限り職員の責任免除可- 国会・人民議会による監督条項 |
こんな感じ。
⭐️第3章|日系企業が特に注目すべき制度ベスト6(制度活用ガイド)
ここからは、すべての企業が「これは活かしたい!」と思える制度を6つに絞って紹介します👇
① 法人税が3年間まるっと免除! 影響でかい!
- 中小企業(定義あり)が、2025年5月17日以降に初めて企業登録証明書を受けた場合、CIT(法人所得税)が3年間免除
- 設立費・初期投資の回収を加速できる絶好の制度
② 営業許可税(事業登録税)が廃止(2026年〜)
- lệ phí môn bài(営業許可料)の徴収・納付が完全撤廃
- 小規模・個人事業主にとって特にありがたい負担減
③ 公的資産・土地の優先貸与&賃料減額
- 工業団地などの土地について、最低30%以上の賃料減額(最長5年)
- 地方政府が予算でインフラを整備し、貸与支援
④ ESGプロジェクトへの金利補助(年2%)
- 環境・社会・ガバナンス型プロジェクトに対し、年利2%分を国が補助
- 資金調達コストがぐっと下がり、再エネやリサイクル企業は特に恩恵大
⑤ R&D支出は“200%”まで損金算入OK
- 研究開発費について、実支出の2倍額を経費として計上可能
- 節税しながら将来への投資ができる神制度
⑥ スタートアップには特別税制優遇セット!
スタートアップをやっている方、朗報です。
決議198号には、「スタートアップを国家が応援する」ための特別な税制優遇がセットで含まれています。
内容は以下のとおり:
- スタートアップ企業の所得に対して:法人税2年免除+4年50%減税
- 出資・株式譲渡などの収入に対して:法人税・個人所得税ともに免除
- スタートアップに勤務する専門家・研究者への給与:個人所得税を2年免除+4年50%減税
さらに、スタートアップ投資ファンドや支援機関も含まれるため、
“ベンチャーまわりまるごと”優遇される仕組みになっています。
第4章|施行スケジュールと今後の動き(ただし政令を待つ必要ありかなと)
- 決議の施行日:2025年5月17日(可決日と同日)
- 法人税の段階的優遇税率(15%・17%)導入:2025年10月1日スタート(別の改正法による)
- 土地法・投資法・規制法の見直し完了期限:2026年末まで
さらに、行政側には数値目標が課されています:
- 手続コスト:30%削減
- 法定条件数:30%削減
- 処理時間:30%短縮
つまり、「現場の“めんどくさい”も減らしていこう」という方針です!
第5章|あなたの会社は制度対象?チェックリストで確認!
以下の項目に✓がつけばつくほど、この制度の“お得な対象”かもしれません!
- ☑ 設立日は2025年5月17日以降か?
- ☑ 初回の企業登録証明書を受けているか?
- ☑ 年商・従業員数・資産などが中小企業の定義に合っているか?
- ☑ 技術開発やスタートアップ支援分野の事業をしているか?
- ☑ 税務申告や社会保険など、最低限のコンプライアンスは守っているか?
第6章|すげの的まとめと現場へのアドバイス
いや〜、これはもう、
「知らない人だけが損する制度」です。
決議198号は、「つくっただけ」じゃない。
・明確な対象 ・具体的な優遇内容 ・期限つきの実施命令 ・数値目標と監督体制
すべてがセットで整っています。
これは本気の国家政策です。
もしあなたが、
- これからベトナムで会社を設立したい
- 現地法人に追加投資したい
- ESGや研究開発にも関わっている
そんな状況にあるなら、この制度はあなたの“追い風”になってくれるはずです。
ぜひ信頼できるパートナー(税理士・会計士・法律顧問)と一緒に、制度を最大限に活かしてくださいね。
以上、すげのでした!
この記事が、「制度を知って、使える人」になるきっかけになれば嬉しいです。
必要であれば、次回は【FAQ形式】や【ケース別活用例】も書きますので、お気軽にどうぞ!