こんにちは!マナラボの菅野です。

ベトナムで働くみなさん、そして給与計算を担当されている方、こんなお悩みありませんか?

「月給から時給をどうやって出すの?」
「残業代の計算、単価が会社によって違うのってなぜ?」

実はこの問題、「標準労働日数」と「所定労働時間」の設定方法に深く関係しています。
特に今回は、ベトナムの現場でよくある「固定日数制」vs「実日数制」という2つの考え方について、法令の根拠とともにわかりやすく解説していきます!

まず、残業代の基本をざっくりおさらい

残業代(加班手当)の基本計算式はこちら:

残業代 = 時給 × 割増率 × 残業時間数

この「時給」を出すときに必要なのが、**月給を割る「所定労働時間」または「標準労働日数」**なんですね。
で、ここが企業によってまちまちなんです。

標準労働日数ってなに?

「標準労働日数(Số ngày làm việc chuẩn)」とは、

月給を日給・時給に換算する際の分母として使われる“その月の労働日数”のこと。

実はこれ、ベトナムの法律では**“会社が選んでOK”**という柔軟な運用が認められています。根拠を見てみましょう。

📜 根拠:通達147/2020/TT-BLĐTBXH(労働・傷病兵・社会問題省)より

“Tiền lương theo ngày được xác định bằng tiền lương tháng chia cho số ngày làm việc bình thường trong tháng theo quy định của pháp luật mà doanh nghiệp lựa chọn và áp dụng.”
→「日給は、月給を“会社が選択して適用する法令に基づく”その月の標準労働日数で割って算出される」

つまり、「会社が法の範囲内でルールを決めていいよ」というわけです。

実務で使われる2つの方式

💡超重要:固定日数制 vs 実日数制

ここが今回のキモです。
ベトナムの企業(とくに日系企業)では、以下の2つの方式のいずれかが使われています。

区分内容採用例メリットデメリット
固定日数制月給を24日や26日など固定の労働日数で割る製造業、ローカル企業、週6勤務計算が簡単/定型化しやすい実際の労働日と乖離しやすい(例:祝日が多い月)
実日数制各月の実際の営業日数・稼働日数で割る外資系、日系企業の事務系実態に合致/労使で納得されやすい月ごとに日数が変動し管理が煩雑

固定日数制(例:26日制)

たとえば月給13,000,000ドンを26日で割ると:

日給=500,000ドン

残業代(平日・150%)は

1時間=500,000 ÷ 8 × 1.5 =93,750ドン

このように、常に同じ計算式が使えるのが大きなメリット
ローカルの会計ソフトや工場の勤怠管理でもよく使われています。

実日数制(例:営業日ベース)

たとえば、9月が「営業日21日(祝日+日曜で9日休み)」だとすると:

日給=13,000,000 ÷ 21日 ≒ 619,048ドン

残業代(150%)は

1時間=619,048 ÷ 8 × 1.5 ≒ 115,600ドン

月によって時給・残業代が上下するのが特徴です。
ただ、公正さ・透明性を重視する外資系企業では好まれやすいです。

おまけ:173時間?208時間?という話

「うちは時給は月173時間で割ってますよ」という企業もあります。

これは…

  • 週40時間労働 × 年間52週 ÷ 12ヶ月 = 約173時間

  • 製造業なら 週6日制(8h×26日)= 208時間

つまり、どんな勤務体系かによって「標準所定労働時間」も変わるんです。

まとめ:正しい単価設定は、残業代トラブルの予防線!

最後にポイントを整理します。

  • ベトナムでは、「標準労働日数」は法律で固定されておらず、企業が法に則って決めてOK
  •  実務では「固定日数制(24日や26日)」と「実日数制(月ごとに変動)」の2方式がある
  • どちらも正しい。大事なのは労働契約・就業規則にきちんと明記すること!
  •  単価が違えば残業代も変わる。だからこそ、根拠を持った設計が超重要なんです。

「うちの会社はどう設定してるのかな?」
「制度を見直すタイミングかも?」
そんな気づきのきっかけになれば嬉しいです!

ご希望があれば、「実際の就業規則例」や「労働契約書の文例」も紹介しますね。

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それでは、また次の記事でお会いしましょう〜!