こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。
CFは事実で、PLは経営者の“意見”だ。
こんな風に言われることがあります。キャッシュフロー計算書は、実際のお金の動きに基づいて作成されます。
したがって、誰がどのように作っても、結果は同じになります。(もちろん、銀行の残高を粉飾してない前提で。)
しかし、損益計算書はどうでしょうか?最近、新聞記事でもよく耳にしますね。海外子会社不適切会計。粉飾決算。
損益計算書を作成するには、いろいろな前提が必要になります。専門用語で、会計基準や会計方針などといいます。いわゆる、ルールのことですね。
- 〇売上を計上する基準
- 〇棚卸資産を評価する基準
- 〇費用や仕入を計上する基準
などなどです。
したがって、損益計算書の数値は、このルールの内容によって変わってしまいます。
別な言い方をすると、いかようにも変えることができるのです。だから、決算書は、【社長、経営者の意見】とも言われるのですね。ルールの中の一つには、減価償却費の計上基準というものがあります。
本日は、損益計算書に大きな影響を及ぼす減価償却費についてお話していきたいと思います。この考え方について理解して頂ければ、5年経過した。
「実は全然利益ないじゃん!!」
といったサプライズを避けることが出来ます
なぜならば、減価償却費の理解を深め、正しく計上することで損益計算書はより実態に近い数値になるからです。
減価償却費とは?
海外で製造業を営んでいる社長様は、多額な設備を導入しているのではないでしょうか?機械というのは、使っても商品のようになくなりません。形を変えずに残っていますよね。したがって、何年も動く機械設備を購入したのに一時にすべて費用として処理するのは妥当ではありません。かといって、使い終わった時に、初めて費用として落とすというのも変ですよね。
そのため、その機械がきちんと動いて、あなたの会社の製品をつくることができる年数を決めて、その期間にわたって費用に計上するのが正しいのです。なんとなく、ピンとくるのではないでしょうか?
例を挙げてみましょう。
- 100,000ドルの機械設備を購入した。
- 10年利用できます。
- 1年間の減価償却費=100,000÷10=10,000ドル
10,000ドルの減価償却費が計上されます。
この時、利用されるのが、耐用年数という考え方です。
耐用年数はどうやって決めている?法定耐用年数?
それでは、どのように耐用年数を決めているのでしょうか?実務上は、減価償却費は、通達に定める耐用年数で償却(費用処理)されることが多いです。つまり、法律が定めた期間の基準です。
耐用年数は“実態”を把握する必要がある
しかし、理論的には、法律が定めた期間ではなく、その機械を使うことが出来る期間ですよね。また、陳腐化するかという観点も必要です。今の世の中の変化が激しい時代です。たとえ、モノ自体が使えても、製品自体が陳腐化してしまうこともありますよね。
たとえば、、、。アイフォン。物自体が使えても新しいモデルがでると、古いモデルの価値って低くなってしまいますよね。
そのような場合、モノを製造する設備の価値もなくなってしまいます。このように、耐用年数というのは、本来であるならば会社によって違うはずですよね。それにも関わらず、通達で定められた期間を使うと、減価償却費が正しくない可能性があります。5年後には、もう、使えない。でも、耐用年数15年で償却している。そのような場合、損益計算書の数値は正しくありませんよね。利益が正しくありません。5年後に廃棄した時に、利益がガクーンと減ってしまうことも考えられます。
ベトナムの税法上の決まり
ベトナムでは税法上、日本のように耐用年数が種類ごとに一律に決まっているわけではなく、Circular45の別表1において種類ごとに最短年数と最長年数が定められています。
つまり、耐用年数にある程度の幅があります。その中から実態に近いものを選ぶというのが実務上、手間と効果を考えたときには、一番いい方法だと考えています。
なぜならば、会社が当該年数以外の耐用年数を採用したい場合には、算定の基準を添付して、財務省に申請する必要があるからです。
耐用年数が、実態と大きくかい離し、しかも、インパクトが大きいという場合には、考えましょう。
☆本日のまとめ☆
✔耐用年数は、正しいか?
実際に設備を使える期間と陳腐化ということを考慮する。
✔ベトナムの決まり(税法)には耐用年数には幅があり、その中から実態に近いものを選ぶ。
✔それでも、違う場合は、個別に考慮する。(税法以外の年数)
それを確認してくださいね。
ものすごーく高い設備を使っている、その機械が汎用性がなく専用機であるという時には、要注意です。
耐用年数が正しいかどうかで損益計算書の数値がぜんぜん変わってしまいます。
あなたの会社が、設備の耐用年数を正しく理解し、正しい処理をすることによって、実態に即した損益計算書を作成できることことを祈っております。
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