こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。
ベトナムでお仕事をされている方は、下記のような言葉や文字を見たことはありませんか?
ディクリー? オフィシャルレター? サーキュラー?(県人会?)
111_2013_TT-BTC???
「うん?なんだこれ?よくわからないな(涙)」
ベトナムに来たばかりの私は、そう思っていました。
実は、これですね…。
ベトナムの法の名称なのです。
本日は、簡単にベトナムの法体系を整理していきたいと思います。
これを読んで頂ければ、
なんとなーく羅列した番号かな? → 体系的に意味を理解し、背景も理解できる。に変わります!
まずはベトナムの法体系の全体像をつかもう!
ベトナム法律ですが、下記のような全体像となっています。図にすると、よりイメージできますし理解が深まりますよ。
個別に見て行きましょう。
①憲法(Hiến Pháp/Constitution)
憲法は基本法であり、最高の法的効力をもちます。つまり、一番上位になります。すべての法律は、“憲法”をもとに作成されます。
②法律(Luật/ Law)
憲法に準拠したうえで、国会が制定したものです。
③政令(Nghị Định/Decree)
内閣は、上記の法律の具体的な実施方法を定めるために「政令」を作成、発行します。
④通達(Thông Tư(通知)/Circular)
内閣の指示を受けた各省庁は、法律や政令を実施するための手続きや指針を詳細に説明した「省令」を定めます。
⑤オフィシャルレター
上記に記載した法令等の実施に当たって特定の事象について、わからない点が出てくることがあります。実務のケースは複雑ですからね。
この場合、具体的な指針を得るための質問を各企業から政府機関に提出することができます。政府から書面による公式回答を得られる場合がありますが、これを「オフィシャルレター(Official Letter)」といいます。
質問に対する回答書のことですね。あくまで役所別の回答であり、この回答が絶対とは限りません。
法律名の構造を理解するとわかる
冒頭で述べた、≪111_2013_TT-BTC≫これは法律の名称です。これを例にして、理解を深めましょう。
この法律の名称のつけ方には、一定のルールがあります。
4つに構造化するとスーッと頭に入ってきます。
①法律の番号(順番)
まずは、法律の番号です。
法律文書の順番の数え方は、文書の種類及び発行の年ごとに連番で行います。
つまり、111であれば111個目と理解することができますね。
②発行した年
次に法律が発行された年度が記載されます。2014であれば2014年に発行された法律ということになります。
これで、新しいか古いか?ある程度、判断できますね。
③法律のレベル(文書の種類)
ここでは、法律レベルの略語が記載されます。
上記、法体系で記載した通り、憲法なのか?法令なのか?政令なのか?通達なのか?という話がありましたよね。
この例ではTTと記載されていました。これは、英語ではありません。
これは、Thông Tư(ベトナム語)の略です。意味は、“通達”となります。
④文書の発行機関、省
次に文書の発行機関の略号が記載されます。
この例では、BTCでした。これは、Bộ Tài Chínhという意味になります。基本はベトナム後ですね。
意味は、財務省です。財務省が発行した文書という意味です。
このように構造化していくと、
②2013年度に、④財務省が発行した①111番目の③通達(circular)であるということがわかります。
どの省が発行したか?法のレベルは?(政令(ND)?通達(TT))いつ?何番目に発行された?というのが読み取る事ができますよね。
法律等がいっぱい。頭が混乱する。
いかがでしたでしょうか?これで、ベトナムの法律の名前の構造が理解できたのではないでしょうか?
ベトナムでは、まさに法律が整備されている段階で、たくさんの法律やオフィシャルレターが日々提出されています。
そのため、ものすごい量の法が存在します。
そして、気を付けないといけない一つとして、それが最新版であるか?ということがあげられます。
「実は、古かった。すでにアップデートしてある。」のようなことがあるかもしれません。
なぜならば、上記のように構造が①順番②年度③法律レベル④発行機関だからです。
仮にアップデートされていても、過去の文書を、履歴を残して修正・加筆するのではないのですね。
本日は、ベトナムの法律の体系と法律名の構造についてお話させて頂きました。
あなたが、ベトナム法律を少しでも体系的かつ構造的に理解できることによってスッキリできることを祈っていますね!
では、また!